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むにゃむにゃしてたら私にだけ冷たい幼馴染と結婚してました~お飾り妻のはずですが溺愛しすぎじゃないですか!?~  作者: 景華
第二章 寝言の強制力と魔法使い

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確かなものが欲しい


「んん……」


 重たい瞼が薄く開く。

 ぼんやりとした視界の中に浮かび上がり、だんだんとはっきりしていく視線の先のものに、私は思わず息を呑み、さっきまで靄がかかっていた思考が一気にクリアになった。


「し……シリウス!?」


 近っ!!

 まるで縋るように私を抱きしめて眠るシリウスの寝顔がすぐ目の前に浮かび上がった。


「ん……セレン……」

「は、はいっ!?」


 名前を呼ばれて思わず勢い良く返事をするも、その瞳は閉じられたまま。


「……ね……寝言?」

「んん……セレン……必ず……私が……助けてみせ、る……」


 助ける?

 私を? 一体何から?

 夢の中で何かと戦っているのかしら?


「ふふ。夢の中でも私を守ろうとしてくれているのね。……ありがとう、シリウス」


 例え【寝言の強制実行】による仮初めの感情でも嬉しい。

 昨日のピエラ伯爵領で賊に出くわした時もそうだった。


 あの時のまま。

 いいえ。

 あの時よりもたくましくなって、私を守ってくれた。


 ねぇシリウス。

 あなたは私のこの力が無くなっても、今のあなたのように優しいまま、傍にいてくれるのかしら?

 朧げなものではない、確かなものが欲しい。あなたにとって替えのきかない人間になりたい──だなんて、わがままかしら。


 偽りでなく愛されているという確かなものがあれば……。

 なんて、ありもしないことを考えてしまう。


 だけどそれはだめだ。

 期待したら、この力が解けた時辛くなるだけだ。

 私はただ、適度な距離を保ちながら、妻役を演じるのみ。


「んん……っ、……あれ? セレン……?」

「!! シリウス、起きたの?」


 眉間に皺を作り瞼が降る理と揺れて、薄水色の瞳がゆっくりと姿を現した。


「えー……っと……どんな状況なんだろう?」

 戸惑ったようにゆっくりと身体を起こすシリウス。


 それもそおうだ。

 いつもはシリウスが先に起きて、私の寝顔を観察しているのに、目が覚めれば自分が観察をされる側だったのだから。


「あんまり可愛い寝顔だったから、観察してたの。おはよう、シリウス」


 いつもの仕返しにと、満面の笑みでいつも私がシリウスに言われていることと同じことを言ってみると、シリウスの顔にほんのりと赤みが差した。


「何て小悪魔だ……。でも、そんなセレンも可愛いよ」

「へ? ひゃっ!?」


 綺麗な笑みを浮かべたシリウスが、私の身体を勢いよく、強く、きつく抱きしめる。

 突然のことに脳が付いて行かなくなったのは、今度は私の方で、おろおろと視線を彷徨わせた。

 そして静かに、シリウスが言葉を漏らす。


「よかった」

「シリウス?」

「セレンが──ちゃんといてくれて」


 耳元の囁き声がくすぐったい。

 心から安堵したようなその声に、私はシリウスの背を、回した手でそっと撫でた。


「どこにもいかないわよ、私は。攫われそうになったら、シリウスが助けてくれるでしょう?」

 そう言ってほほ笑むと、シリウスは目を丸くしてから、ふんわりとほほ笑んだ。


「あぁ。もちろん。セレンを守るのは、私だけの特権だからね。今も、昔も。これからも──」


 頬に触れる大きな手のひらに、こみ上げる私の熱が気づかれてしまいそう。

 私がどれだけシリウスが好きなのか。

 私がどれだけ、シリウスが離れていくのを恐れているのか。


 そんな心の深い部分に気づかれないように、私は大きく深呼吸した。


「そ、そろそろ支度をして朝食にしましょう!! お腹すいちゃったわ!!」


 我ながらなんて苦しい……。

 それでもシリウスは優しく微笑んで、私の頬に触れていた手をすっと目の前に差し出した。


「そうだね。シレシアの泉にも早く行きたいし。──さ、お手をどうぞ。私の小鳥姫」

「~~~~~っ」


 なんてカッコいいのだろう。

 私の騎士様は。

 こんなの──諦められなくなるじゃないか。


 私はその手を取ると、ゆっくりとベッドから降り、それぞれ身支度を済ませてから朝食を摂った。

 そして食べながら、これから行くシレシアの泉と、二人の大切な思い出である【小鳥姫と騎士】についての話に花を咲かせた。


 そんな時だった。


 王都から王太子殿下の使者が現れ、私たちの新婚旅行が中断されたのは──。















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