14.しつもんタイム!
バリアント歩兵戦車「ロシアの主張はみんなおかしい」
「最後に、何か質問はあるかな?」
小豆ばばあがそう言うと、真面目な顔をしたべとべとさんが小さく手を挙げた。
「うちは『小さな侵攻国』が貧乏神よりも嫌い。あの腐った侵攻国の侵略をやめさせるには、どうすればいい?」
「それは難しい質問だね。確たる答えは、永遠に見つからないかもしれない。……あえて一つ、言うのであれば、あの侵攻国が侵略を続けても、大幅な損失を出すしかないと分からせることだろう」
「侵略は無意味!」
べとべとさんは叫んだ。
「連中に利益を与えないよう、常に侵略に対する非難を叫び続けることも重要だ」
「侵略者に多大な損益を! 貧乏神よ、くっつけ!」
「向こう側に味方する連中は常々、あの侵攻国を悪者にしようとしていると言うが、破壊と侵略を続ける悪者を悪者と呼ぶのは何らおかしいことではない」
「敵は許されるべきではない! 侵略の代償を食らえ!」
「勝てないなら降伏しろだと? 自分達が同じ状況下になったとしても、それを受け入れられるのか? そのような偏った考えかたは、幼少期に捨て去るべきだった」
「侵略者はおかしい! わけ分かんないべと!」
「ボクも生を受けて長いこと経つが、愚かな人間を何百、何千と見て来た。あんな連中とも共存しなければならないというのは、人間も大変だよ」
「愚かな人間は妖怪に滅ぼされるべきべと! あっ、お嬢様は愚かではないので、別」
「急に私のほうに振らないで下さい」
「お嬢様。うち達は深刻で重大な話をしている。もっと危機感を持つべき」
「ただ侵略者を非難しているだけでは?」
「それが重要だという話を聞いていなかった? この愚か者めっ!」
「結局は愚か者扱いされてます!」
「お嬢様が余計なことを言うからいけない。ここが侵攻国の中だったら、とっくにお嬢様はぼこぼこにされて、この世から消されている」
べとべとさんは全てを知っているような顔で語る。
「はぁ……」
ジーリエスはあまり信じていない感じの声だった。
「――とにかく、君達も侵攻に反対するのであれば、国を追われた避難民に対する寄付など、やれることをやっていくといいね」
「お嬢様! 提案がある! 伯爵家の全財産を寄付するべっと!」
「ムリです!」
「そうだ不可能べと! そういうおかしなことを言って他国を破壊しているのが、あの卑怯で卑劣な最低の侵攻国っ!」
「上手く繋げました!」
「ジーリエス嬢。君はまだ若い。侵攻国を擁護する連中は、侵略されている国を支援しているだけで、戦争を長引かせているなどとほざく。侵攻を自ら進んで継続しているのは向こうのほうなのにな。不快な言葉を吐く汚れた大人にならないよう、注意するといい」
「それは大丈夫です。べとべとさんがいますから」
「任せろ、えいじぇんとBBA! うちは真っ当な妖怪だから、お嬢様を狂った馬鹿共から守ってみせる!」
べとべとさんは立ち上がって勇ましく叫んだ。頼りにはなりそうだったけれども、ジーリエスとしては、もう室内で暴れられるのは御免だった。
煽り運転編。
前を走る車が気に入らない動きをしたので、犯罪者は怒り狂い、煽り運転を開始。
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犯罪者、後ろから強引な体当たりをして、前の車を停車させる。
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運転手至上主義の犯罪者は、車から降りる。
逮捕されるぐらいに悪質な煽り運転手は、基本的に車から降りて自己主張を怠らない。自己中心的なうつけ。
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犯罪者、前の車に近寄り、強引にドアを開けさせ、前の車の運転手を車から引きずり降ろす。
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犯罪者、前の車の運転手を暴行。それに加えて、前の車の車内の金目の物を盗む。最後は自分の車に乗って逃走。
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後日、犯罪者は煽り運転をした相手に対し、殴った時や車内の物色中に怪我をしたから賠償金をよこせと要求する。
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こんな犯罪者の行動・思考が、侵略者ロシアのそれと同じにしか思えません。




