13.妖怪たい焼き土産ばばあとの交渉劇
V号対空戦車ケーリアン「ロシアは領土を奪い取っている」
べとべとさんも席に着き、隣のジーリエスとともに小豆ばばあと向かい合った。
あなたから見る小豆ばばあは、やはり着物を着たかわいい幼女だった。
「ところで、えいじぇんとBBA。これを見てほしい」
べとべとさんはビニール袋を前に出した。
「この拾った小豆は、もらっても大丈夫?」
「ああ、全然構わないよ。むしろ、それだけでは少ないだろう。足してあげよう」
小豆ばばあが和服の裾をビニール袋の中に運ぶと、そこから多くの小豆が袋の中へと音を立てて落ちて行った。
「拾った小豆と混ぜちゃうんですか?」
「「――あぁん?」」
二人の妖怪からすごい勢いで睨まれ、ジーリエスは及び腰になった。
「それと、台所にはお土産に持って来た、たい焼きがある。後でみんなで食べてくれ」
「おお、ありがたい! 感謝する、えいじぇんとBBA」
べとべとさんは小豆ばばあへと礼儀正しく頭を下げた。その後、ジーリエスのほうへと天狗になったような顔を向けてきた。
「見たか、お嬢様! 今の公平なやり取りこそが、正しい友好関係。うちのような妖怪はどこかの侵攻国と違って、礼には礼を尽くし、自分の悪事を違法と喚いて責任転嫁なんてしない」
「べとべとさんが言うと、説得力がないような気が……」
「――うちがいつ、お嬢様のお部屋を破壊したべと? うちに説得力がないと言うのならしかたがない、たった今から廃墟を作ろう。お嬢様のお部屋は、侵攻国に破壊された町と似たような、荒れ果てた土地になる。覚悟はいい?」
べとべとさんは本気にしか見えなかった。ジーリエスを地獄に落とす凶悪な鬼になろうとしている。
「……ごめんなさい、私が悪かったです」
「いや、侵攻国のほうがもっとはるかに最低で、究極に悪い。――今のうちは、とても真っ当なことを言った。お嬢様は反省しないでいい。今の素晴らしい名言を一字一句紙に書き留めて、額に入れてお部屋に飾って。お嬢様のお部屋に来た妖怪達が笑顔になれる」
べとべとさんは、敵を罵倒する時に、すごく良い表情をする。先ほどが鬼なら、今は福の神のような笑顔だった。
日本の特筆すべき評価点は、キーウ、オデーサ、ハルキウなど、ウクライナの地名をウクライナ風の名称に変更したことですね。国境も守らない侵略者の言語での呼び名なんて、使いたくもありません。
日本がウクライナの名称をどう呼ぼうと自由ですが、ロシアがウクライナの地をめちゃくちゃにするのは自由ではありません。
ロシアがロシア国内で選挙や住民投票、大統領選をやるのは自由ですが、ウクライナ領内でやるのは犯罪行為です。
これは、あたりまえのこと。




