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風来坊  作者: 法蓮


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10/23

彼女は僕が連れていく

 私は風来坊の帰りを待つ事にした。すると、明日は嵐だと、月が言った。嵐が来るのは久しぶりで、一人で過ごせるのか心配したが、自分の力であの部屋に行く事を決意していた。その時だった、月は私を見つめながら「君も来るかい?」と言った。どこに、と聞くと嵐が過ぎるまで月と過ごすのが一番いいと言われ、妙に納得してしまう。


 「でも、でもね。風来坊を待っているの」

 「今は彼は帰ってこないよ、明日でも分からない」

 「でも……」

 

 月が話すのはこうだ。今までの私は触る事が出来なかったが、ここに馴染んだ今の私なら月に乗る事が出来ると。そこなら何があろうと安全で、風来坊も安心をすると。その言葉を聞けば聞く程、その通りなのかなと思ってしまう。そういう所が弱い部分でもあるかもしれない。月はそう私を説得すると、光るロープを下ろし、誘ってくる。月の事を全て知っている訳じゃないけど、何故だかその言葉に惹かれる自分がいる。意を決して、ロープを掴もうとすると、ビューンと風が吹き荒れ、邪魔をする。まるで風来坊が行くな、と言っているみたいに。


 「月、ごめんなさい。私行けない」

 「そのようだね、風神がお怒りのようだ、私は寝るよ、明日は会えないが明後日、また会おう」

 「うん、おやすみなさい」

 「おやすみ」


 どっと疲れた私は倒れるように眠りに落ちる。その時だった、雲の上で見守っていた風来坊、いや風神が私の所まで来たのだ。眠っている私は彼の気配に気づけない、だが月は気づいた。


 「姿を隠さずに、出てきなさい風神」

 「やあやあ、僕の大切な人を連れていこうとしていた不届き者は君だね、月」

 「気づかれていたか。私にとっても、この子は大切だ」

 「だから連れていこうとしたと?」

 「君の風神、雷神としての仕事が多いからだろう? 何が悪い」

 「一度君に乗ると、もう降りる事が出来ない、それは僕が困る」

 「だったら大切にしなさい、もう隠れるのはやめにしなさい」

 「やあやあ、君に言われなくても分かっている。彼女は僕が連れていく」

 「そうか……ならもう言う必要もない」


 怒っている風神は風来坊の姿をしている、雷神も同じ姿だ。二人で一つ。だから私の前に出れなかったのだろう。その事を知らずに、私は夢の中へと落ちていた。

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