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結婚式当日になりました

皆様のお陰で、5月12日に100万PVに到達しました。

本当にありがとうございます!!

お礼におまけの後日譚を書きましたので、読んでいただければとても嬉しいです。


マリウス様の求婚から三ヶ月で結婚式を挙げ、ウルム公国に引っ越すために、わたくしは山ほどの仕事をこなした。


わたくしのウェディングドレスは、マリウス様のお土産のお陰で、胸元のレース生地にクリスタルビーズや真珠を縫い付けた豪華なドレスになった。

裾を引くスカートは上質の柔らかいシルク生地で、たっぷりと取ったドレープが美しく流れる。


わたくしが一番こだわったのは、繊細なレースをはぎ合わせて、花の咲き乱れる庭園を描き出した長いベールだ。

教会の中央の通路を歩くドレスの後ろ姿を、自分で見られないのはとても残念なのだけれど、マリウス様が後で肖像画を描かせてくれると言うので、わたくしはとても楽しみにしている。




わたくしの結婚式の日には、時間をずらして最初にお兄様とミレイユ様の結婚式が行われる。

ミレイユ様は、叔母様のクチュリエールで作ったクリーム色のドレスを着る。


わたくしも、型紙や胸元のレースなどの部分を作ったので、このドレスには思い入れがある。

コルセットも固いパニエも使わないドレスは、ほっそりとしたミレイユ様の身体を柔らかく包んでいる。


いつもは固く後ろで一つに結ばれているミレイユ様の髪も、すっかり解かれて緩く纏められ、栗色の巻き毛がミレイユ様のお顔を縁取っている。

今日は、叔母様のクチュリエールの助手が、着付けと髪のセットを担当しているのだ。


「こんな美しいドレスは、わたくしには派手ではないでしょうか?」


ミレイユ様の側で、仕上がりを見守っていたモンテマール子爵夫人は、涙ぐんでいる。


「何を言っているの、ミレイユ、とても似合っているわ!

一生に一度の結婚式なのですもの、わたくし達も美しいミレイユの姿を見られて、どんなに幸せなことか......」


ミレイユ様も、潤んだ瞳で嬉しそうに微笑む。


結婚式が始まると、ミレイユ様はお父上のモンテマール子爵にエスコートされて、教会の中央の通路を進んで来る。

お兄様は、祭壇の前でミレイユ様を待っている。


ところがお兄様は、近付いて来るミレイユ様の姿を見ると、感激の余りか涙ぐみ始める。

祭壇の前で誓いの言葉を述べる頃には、嗚咽して言葉が途切れ途切れになって聞き取れない。


式の後、ミレイユ様は、泣いてしまう程兄が結婚を喜んでいると、善意に解釈してくれたようだけれど、わたくしは、はっきり言って呆れていたのだ。


兄の涙と鼻水で汚れた顔を、持っていたハンカチーフで強めに擦ってしまったのは、わたくしの情けないと思う気持ちからだ。


「あんなに美しいミレイユ様が、私の妻だなんて信じられなかったのだ。

悲しくて泣くのではなく、嬉しくて泣いたのだから、男らしくないと言われたくないな」


「それにしても程度、というものがあるでしょう?

お兄様が号泣したせいで、ミレイユ様も誰も泣けなくなってしまったじゃありませんか」


だからこそ、その後で行われるマリウス様とわたくしの結婚式は、厳粛な雰囲気の中で感動出来る結婚式にしたいと願う。

両親やガブリエール叔母様夫婦と共に、数時間前に結婚した兄夫婦もわたくしの結婚式に列席している。


わたくしは、ほとんど自分の手で作ったウェディングドレスを着て、レースで美しく綴ったベールを纏って教会の中央の通路を歩く。

わたくしの子供の頃からの夢が、今、実現しているのだ。


マリウス様は、ウルム公国の正装の宮廷服姿で、祭壇の前に立っている。

わたくしがマリウス様の手を取って見上げると、マリウス様の瞳が黒く輝く。

マリウス様は微笑んで、わたくしにだけ聞こえるような小さな声で


「とても綺麗だよ、エリザ」と言う。


その声が聞こえただけで、わたくしの胸は一杯になってしまう。

このウェディングドレスを一生懸命に仕上げていた日々が思い返される。


このドレスを作っていた時間は、マリウス様に対する気持ちも積み上げていた時間だった。

お互いに引っ越しの準備などが忙しくて、二人きりでゆっくりと過ごす時間も取れなかったのだけれど、わたくしはマリウス様を信じていられた。


マリウス様は、真っ直ぐにわたくしを見て誓いの言葉を述べ、わたくしがそれに答えると、わたくしを優しく抱き寄せて、唇にキスする。


マリウス様とわたくしは、正式に結婚をしたのだ。

両親やミレイユ様はすっかり感激した面持ちで、わたくしとマリウス様を見つめている。



その夜の結婚披露の夜会は、兄夫婦と合同で行われた。

ミレイユ様は、結婚式と同じクリーム色のドレスを着て、花のように可憐に恥じらっている。


お兄様は、ミレイユ様を後ろ手に隠すようにして、同僚の騎士達の祝福に応える。

ミレイユ様は、お兄様と一度だけ踊ったのだけれど、恥ずかしいからと言って兄の背中に隠れてしまう。


マリウス様は、わたくしの腰にしっかりと手を回して挨拶をする。

わたくしは、色ガラスのビーズをちりばめた藍色のイブニングドレスを着て、マリウス様と何度も踊る。


クルリと回る度にスカートのビーズが照明に煌めいて、たくさんの宝石を撒き散らしているようだったとミレイユ様は言う。


「今日は、まるで詩のように美しい一日でしたわ

神様の恩寵を感じずにはいられません」


ミレイユ様は美しい栗色の瞳を潤ませて言う。


「兄は、色々と気に障る事を言うかもしれませんが、悪気は無いのです

どうか、兄を宜しくお願いします」


わたくしはミレイユ様に頼み込む。

どうか、兄夫婦が幸せな結婚生活を送ってほしいと、心から願った。



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