デート編 ②
私達の一行は、ゆっくりとユイナーダ草原の街道を進み、やがて目的地である【エビーニャ牧場】に着いた。
牧場入口付近にある馬車留めに馬車を止め、サーラをエスコートして馬車を降りる。
牧場入口で入場料を払い、手を繋いで中に入る。
普通の繋ぎ方ではなく、いわゆる恋人繋ぎというものです。
そのくらいは私も知っていますよ。
サーラは頬を染めて嬉しそうにしています。
これだけでも来た甲斐がありますね。
視察では無いので案内は断りました。
せっかくのデートですから。
入口から暫く歩くと広場があり、中央に巨大な猫の像が見えました。
あゝコレがあの有名な勇者シルバー像ですか。
《以前、恐ろしい数のモグランからこの牧場を、たった1匹で救った。》
と台座に書いてある。
でも、確かハインツもその場に居て、緊急クエストでその場に居た人達も協力して倒したのでしたよね?
偶々、親戚の子を連れて来ていて。
騒ぎに巻き込まれ、もう少しでモグランリーダーを倒せるところだったのにシルバーに持って行かれたのでしたっけ。
その後、お詫びのつもりなのか、けっこう良い物を貰っていましたよね。
私達はシルバー像のよく見える人気の喫茶店で、休憩する事にした。
ここの名物のアイスクリームを頼もう。
本当は食べ歩きしたいところですが、皆に知られたら『王族なのに行儀が悪い。』と言われてしまいますからね。
「サーラは何にします?」
と尋ねるとサーラはメニュー表から顔を上げ
「私はこの【季節のフルーツパフェ】を… 」
う〜んパフェですか、それも美味しそうですね。
「では、私はこの【ガレットの季節のフルーツとアイスクリーム添え】にしましょう。」
料理が来るまでの間、私達はシルバー像を眺めながらいろいろな話しをした。
お、終わらなかった。