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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第6章_夏空の下
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3話《今日の晩御飯は?》

「「あっ」」


 椎葉しいばにもらった菓子パンやスイーツをお昼ご飯として食べた後、下校時間になるまでルミは絵を描き、その側で、歌恋かれんは持って来ていた小説を読み進めていた。

 エアコンの起動する音に、掛け時計の進む音、ルミのキャンバスに筆を走らせる音。それ以外にも僅かに聞こえる様々な音色を聞きながら、歌恋は本の世界に入り込み、読書に没頭した。


「歌恋先輩」


 現実の世界に戻ったのは、ルミが彼女を呼び、校舎に下校を知らせるチャイムが鳴った時だった。

 すっかり教室の片付けは済ませており、ルミも帰り支度をすませ、歌恋の顔を覗き込見ながら笑みを浮かべた。


「帰りましょう」

「あぁうん。ごめん、全然気づかなかった」

「大丈夫です。晩御飯どうしましょうか?」

「そうだね、折角だし外食しようか」


 そう言いながら、帰り支度をすませた歌恋は、ルミと共に教室を出ていった。

 歌恋の両親は、共に用事があって今晩は帰りが遅くなり、晩御飯の用意はなかった。ルミも、今日は夕月ゆづきがバイトの為、晩御飯は一人ということで、一緒に食事をするというのは前日に決まっていたが、特にどこに行くとかは決まっていなかった。

 街の中をぶらぶらと二人で歩き、どこに入るかとキョロキョロしながら店を探していた。

 そんな時に、目の前にいる二人と出会った。


高崎たかさき

神薙かんなぎ先輩に、春宮はるみやさん」

「あっ、この前のお姉ちゃんだ!」


 目の前にいたのは、高崎兄弟だった。

 弟の真昼まひるは、慎也しんやの手をぎゅっと握りながら、歌恋を指差し、それに対して彼女はにっこりと笑みを浮かべる。


「制服……学校帰りですか?」

「うん、ルミの付き添い」


 まだ慎也には慣れていないルミは、歌恋の後ろに隠れながらではあるが、小さな声で「こんばんは」と言いながら、頭を下げる。


「こんな時間に何してるの?」

「あぁ実は、両親が仕事で遅くなるらしくて、それで外に食べにきたんです」

「あれ?高崎料理できたよね?」

「真昼が外で食べたいって」

「にぃにのご飯も美味しいけど、たまには外で食べたかった」

「ということです」

「なるほどね」

「ねぇ」


 不意に、足元にいた真昼が向かい合って話す歌恋と慎也を見上げる。

 どうしたんだろうと、三人は真昼を見下ろし、彼はにっこりと笑みを浮かべる。


「お姉ちゃんたちも一緒に食べよ」

「え?」

「お、おい真昼!急にそんなこと言うな」

「私は別に構わないよ」

「えっ、い、良いんですか!?」


 驚いた表情を浮かべる慎也。歌恋は後ろにいるルミに目を向けると、彼女はコクリと小さく頷いて「大丈夫です」と答えた。


「ヤッタァ!」

「すみません弟が……」

「良いよ。んー……真昼くん、何食べたい?」

「んーとね。なんでも食えるよ!」

「おぉ、スキキライないとはえらいね」


 歌恋は真昼の頭を優しく撫でてあげれば、彼は嬉しそうな表情を浮かべた。

 そんな様子を、慎也とルミは羨ましそうに見ていたが、歌恋はそれに全く気づかなかった。


「どこで食べますか?」

「そうだね……一件、良いところがあるよ」


 にっこりと歌恋は笑みを浮かべるが、ほかの三人は首を傾げた。


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