表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第5章_夏の嵐
64/80

18話《祝福の演奏》

「せ、先輩……あ、汗かいてるから、そ、そんなに……」

「いいからじっとして」


 慌ててルミが離れようとするが、逃がさないように腰に回した腕に力をこめ、強く自分のように引き寄せる。

 顔いっぱいに広がるルミの香り。それを嗅ぐたびに、自分がどんどん欲張りになってくのがわかる。


「嬉しかった……ルミがそんな風に思ってくれて」

「……恥ずかしいです……」

「ふふっ……正直怖かった。そういう目で見てないとか、自分の気持ちが否定されるのが。女の子同士だし、どうしても一歩引いちゃう」


 ゆっくりと体を離すと、ルミはほんのり顔を赤くして歌恋かれんを見上げる。にっこりと笑みを浮かべ、優しく頭を撫でてあげれば、気持ち良さそうに目を閉じて笑みを浮かべる。


「気持ちを抑えなきゃって。だから、側にいるのも、触れるのも、ダメだって……」


 離れた体は、また距離を縮める。今度はルミの方から歌恋を強く抱きしめる。


「ダメじゃないです。側にいてください。頭を撫でて、手を繋いで………」


 胸に顔を埋めているルミは、少しだけ鼻をすすっていた。慰めるために頭を撫でようとゆっくりと手を伸ばした時、ルミはぎゅっと制服を握りしめる。


「もう、どこにも行かないでください……」

「……うん、ずっと側にいるからね」


 優しく頭を撫で、包み込むように歌恋はルミを抱きしめる。

 夏空の下、抱き合う二人。

 そんな彼女たちを祝福するかのように、吹奏楽部の演奏が天に向かって鳴り響いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ