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夏の向日葵  作者: 暁紅桜
第1章_夏のバイト
3/80

3話《夏の特別バイト》

ルミはストーカー被害にあっているらしい。

 始まりは恐らくGWを開けた頃だろうと夕月ゆづきは言った。誰かに後を付けられていたり、見られていることには気付いていたらしい。そして、六月の終わり頃に、ストーカーが手紙と写真を送ってきた。




《いつも君を見てるよ》




 写真は、学校にいるルミの様子や、下校中のルミの姿、休日を過ごす彼女の写真が二十枚以上あった。

 怖くなったルミは、すぐに兄である夕月に相談した。本当なら警察に事情を説明するべきなんだろが、大事おおごとにしたくないとルミが口にし、今までは両親が送り迎えをしていたが、夏休みの間は仕事の都合で海外に行っており、夕月も大学があるため、ルミを守ることができない。


「だからって、なんで私なんですか?」

「異性を護衛につけるとストーカーを刺激するだろ?それだけじゃなくて、こいつ自身が異性苦手だからな。同性で、なおかつ俺が信頼できるやつって言ったらお前しかいないからな」


 そんなことを言われて、夕月に想いを寄せている歌恋かれんがドキッとしないわけがなかった。

 赤い顔を隠すように、歌恋はそのまま顔をそらして小さく唸る。


「頼む歌恋。お前しか頼れないんだ!」

「いや、その……い、妹さんは納得してるんですか?」


 一度夕月に目を向けた後、歌恋はさっきからだんまり状態のルミに視線を向ける。彼女は一瞬だけ歌恋のことを見た後、サッと目をそらしてしまった。


「あぁ。もちろんだ。まぁ、人見知りだから、まずは何とかして打ち解けてくれ」

「何とかって……はぁ……一日いくらですか?」

「報酬は、俺がお前の勉強を見るってことで」

「それバイトの報酬じゃないです」

「まぁまぁ、それで頼むよ」


 歌恋は、夕月からの頼みごとに弱い。だから、結局承諾してしまう。

 もう少し詳しい内容を聞くと、ルミが部活に行くとき、送り迎えをする。補修があってもなくても、なるべく彼女と一緒にいてほしいと。


「わかりました。……よろしく、春宮はるみやさん」


 彼女の方を見て挨拶をすれば、タジタジではあったが頷いてくれた。


「何で苗字なんだよ」

「いきなり心の扉をこじ開けるなんてできませんよ。ゆっくりと、一個ずつ開けないと。私は、先輩と違ってフレンドリーじゃないので」

「何にげに俺、今ディスられてる?」


 不服そうな顔を浮かべる夕月の顔を一瞬見た後、歌恋は俯き、笑みを浮かべる。

 ちょっと不思議なバイトを受けることになったが、想い人と一緒に夏を過ごせるのはすごく嬉しかった。

 高校最後の夏。何かが起こりそうな予感が、歌恋の中にあった。 



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