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老人と空き家

「佐藤さんの家、空き家になるみたいだよ」


東京の西の外れにある閑静な住宅街、ここに家を構えてから30年。高齢化が進みすぎたこの住宅街では最近空き家が増えていた。


「最近多いわね。西友もなくなったし、これからどうなるのかしら」


「どうもこうもここに住むだけだよ」


それから20年たった。妻に先立たれ、1人暮らしになったのが15年前。人が減り、最寄り駅が無人駅になったのが10年前。空き家ができるたびに取り壊され、自然復活という名目で木が植えられていく。

決定的だったのは5年前だ。この住宅街の木々が絶滅危惧種の野鳥の住処になっており、自然復活の取り組みが世界に注目されはじめた。調子にのった政府は、より自然に近づけるため電柱を撤去。これで電気がこなくなり、僅かに残っていた住民も多額の保証金とともにみんな出て行ってしまった。

ソーラー発電でパソコンさえ起動できれば、ドローンがなんでも運んでくれるのに。加藤も市ヶ谷もリョウタの倅もみんな行ってしまったのだ。時を同じくしてガスと水道も止まった。


森と野鳥に囲まれた自然の中の一軒家。昔は憧れていたが、まさかこの家がそうなるとは。だからと言って、どうもこうもない、残り僅かな人生、ただここに住んむだけだ。




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