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序
「少し昔のホントのお話…」
幼い子供時代、姉と共に母にねだって何度も何度も聞かせてもらった物語は、決まってこのフレーズから始まった。当時は遠い昔話のように聞いていたものだが、僕等が住むイーストリアム大陸で、僕たち姉弟が生まれるほんの少し前に本当に起こった話だったようだ。何故母は普通の子供に聞かせるような童話や昔話ではなく、この戦いの物語、そう、生と死を綴った戦いの物語を僕たち二人に聞かせたのか、何故僕たちはこの戦いの物語を飽きもせず何度も何度も聞くことができたのか。
今はその理由がはっきりと分かる。これは過去の話であり、これは今も続いている話であり、…そしてこれは僕と姉の物語でもあるからだ。