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タイムパラドックストチシャネコ

世の中には奇っ怪なことが良くある

その中には

オカルトと呼ぶべき存在というかジャンルも存在する

それは学校などで流れる階段話から

全国区で噂される都市伝説に至るまで

それはその中のほんの一つの物語


「教授、今日と言う今日は提出してもらいますよ」

その白い白衣に身を包んだ老人に

大学せいふうの女性がそんなことを言って詰めかけるが

老人は大して気にもとめず

難しそうな本を逆さに読んでいた

「教授」

大学せいふうの女性はいよいよこえを張り上げて

教授と呼ばれていた老人が読んでいた逆さまの難しそうな本を取ると

その白い髭を生やしたかおに顔を近づけて

「今日という今日は絶対に資料の提出をやってもらいます

もしやらなければ、この研究室は、来年からなくなりますよ」

その鬼気迫る言葉に大して

老人がとった行動はただ一つ

机の引き出しから

何時入れたのかも分からない封筒を取り出して

彼女に渡した

「これが何か」

それは提出用に渡した提出規格でないことから

彼女が思い描く欲しいものではないと言うのは分かる

しかし

今こんなときに一体この老人は何を

大学せい風の女性はその封筒の宛名を見ると

「クリバヤシ、クロネコ樣」

教授の本名が書かれている

と言うことは

教授がどこかの研究室からぬすんできたようなものではないと分かる

しかしこの研究室にはその他の研究室からぬすんできた盗品で出来ていると言って過言ではないほどの山が出来ていた

「・・・」

とりあえず彼女は開けられた封筒の中身を見ると

一通の手紙が入っている

彼女はそれを出すと目を通した

そしてそこで彼女は唖然としなければならない

それは手紙なんて代物ではなく

いわゆる警察が使っているような

検死結果が書かれた代物であった

「・・・これ何なのですか」

彼女はそれを見ながら老人に聞く

そんなところが抜かりないというか何というか

「・・友達だと思うんだけどね・・・一時間ほど前に手紙が届いたんだよ」

そう言うと老人は机の引き出しにしまわれている

電気ポットから緑茶を入れた急須に熱湯を注ぎ一人で飲んでいる

「・・・・その友達みたいな人が何でこんなものを教授に」

「・・さあ・・変なことでも起こったんじゃない・・・まあ貸しもあるし」

「・・それでこれをどうすると」

「・・・分からない」

老人はそう言ってこちらを見た

まるで覚えの悪い子供を見る先生とも

獲物を前に、いたぶるような強者ともとれるきっかいな目

「・・・・・一つ言わせてください」

「・・・どうぞ」

教授は手を彼女に差し出す

「・・・・これは法廷に出せ得る証拠なのでしょうか」

「無理だろうね」

「・・・・この証拠の信憑性は」

「・・・100パー」

「凄い自信ですね」半ば笑いを含みながら言う大学せいふうの女

「・・・だってこれ別れた妻のものだもの」

「・・結婚してたんですか」

「うん・・遠い昔にね」

「・・それじゃあこれは」

「妻が死んだんだ・・ただ一つ疑問に思うことがあってね

旦那が送ってきたんだ」

「・・・・」

「君は分かっているよね」

その老人は白い眉毛に隠れるような目を彼女に向けた

「・・・これは他殺でありながら自殺を含んでいるという事ですか」

「ザッツライト」

老人は発音良くそう言うと

まるで置物のように動かなかったそれとはまるで別物ののように

滑らかに話し出す

「これが解剖されたのは一週間ほど前

そして解剖されたという事は奇っ怪な現象があったという事だ

少なくとも普通に寿命的な死ではない」

「それが自殺だったと」

「まあそんなことだ、そしてその自殺は他殺だったのだよ」

大学せいふうの女は言っていることがあの検死書を見ているので分かっているようでうなずいている

「彼女は二人が住んでいるマンションの一室でなくなっているのを発見される

そしてそこで問題点があるがまたあとにしておこう

彼女の暮らしていたマンションは

都内でも非常に厳重であり

その人間以外の人物は入れない

それこそ言ってみれば変装したくらいでは無理だし

DNAレベルの違いもNGだ

そんな厳重な環境の中

彼女はどこも鍵の開いていない密室とでも言えるような場所で

首を圧迫した事による窒息死をしている

しかしここで先ほどの問題が浮上した

彼女は自殺ではない

なのに自殺

彼女は首をくくって死亡したわけでも

刃物で切り裂いたわけでもない

彼女は首を絞めて死んでいたんだ

ここまで聞くと何者かに殺されたようだが

しかしここが一番不可解なところなのだが」

「その指紋が奥さんのものだったと」

「・・・そうだ・・・しかしそう言うのは言わないでくれるかな」

「でもおかしいですよね、どうして奥さんの指紋が殺した犯人の指紋と同じなのか、だいたもし百歩譲って」

「譲っちゃうのかい・・それでも君は科学者の」

「何もしない人に言われたくはありません」

「・・な」

「しかし・・・もし百歩譲って」

「・・・まだそこを」

「譲って、もし犯人と奥さんの指紋が一致したものだとしましょう

しかしそれならどうやって犯人はこのマンションから出たのか

私も昔ここに暮らそうかと考えていたのですが」

「君金持ちだね」

「・・・・まあ余りに高かったので止めましたが」

「もうそろそろここからでていって欲しいのだが」

「あのマンションは、指紋にわずかに付着したDNAから認識するタイプです

しかもそれは死んだ細胞では不可能

大体ここに書かれている

死亡した本人の皮膚に外傷はない(手足の指紋も同じく)と書かれています

と言うことは」

「つまりほとんどの可能性は無理だと言うことだ」

「・・ほとんどどころか全てが無理であり

大体だからこそこの話が本当かどうか怪しいんです」

「本当だ、警察にでも行けばいい・・ただし捕まっても知らないけど」

「・・・しかし教授はこの事件道お考えなんですか」

「僕はこれをオカルト的な事件だと思わずに入られない」

「オカルト・・・」

大学せいふうの彼女の頬を冷たい汗がひつ筋おちる

科学だかがくだとしか言わないような人間が

そんなことを言うとは

「君はドッペルゲンガーという現象を知っているか」

「知りません」

彼女は基本的に怪談話がだいっ嫌いであり

そんなものを滅ぼすためにここにいるような人物でもある

だからそれに類する話は好きではない

「ドッペルゲンガー

それはもう一人の自分を意味する

しかし大体に置いてそれを目撃した人間は不幸な最期を遂げていることが多い」

「・・不幸な事例」

彼女はどこか震えながらそんなことを言う

「ああ、もう一人の自分を見たものは

数日以内に死ぬ、これが大体の通説だ

それにかんする見解として、幽体離脱の失敗とも、幻覚症状による

病気のサインとも言われている」

「教授はどう思っているんですか」

「さっきも言ったと思うが僕はこれは自殺だと思っている」

「しかし・・・ざっとみましたが、検死書には、この位置での自分の腕による絞殺は不可能であり

何者かによる殺人と見られる

ただ、絞殺したものの指紋が被害者と一致しているって書いてあります

つまりこれは他殺の線が」

「・・それじゃあその指紋はどう説明するんだね」

「・・・・・・・死んだ後に付けたとか」

「それは無理だ、この手形の位置にするのは骨からはずさなければ出来ないだろうが、もしすれば、とてもじゃないが痣なんて生ぬるい怪我では済まない怪我が付くであろう」

「それじゃあ」

「彼女は自分を自分で殺したんだ」

「・・・・・頭おかしくなりました」

「いや、至って健康的だ・・後三十年は生きるであろう」

「今何歳なんですか・・何時死んでいただいてもこの研究室は」

「タイムトラベラーだ」

「・・今なんて」

「タイムトラベラーだ」

「今なんて」

「彼女は未来から自分を殺しに来たに違いがない」

「今なんて」

「・・・・君はそれしか言えないのかい」

「しかし・・・そんなもの」

「自殺するものの心理状態としてこういうものがあるという

自殺するのは嫌だが、不意の事故による死亡がいいと」

「・・・・」

「もしタイムマシーンと言うものがあれば

きっと自殺者は増えると僕は思うがね」

「どうしてです」

「その存在を消してしまいたいと思うことはないかい」

「・・まあ教授も、そこまで自覚しているんでしたら・・・そこまで自分を責めなくても、私が」

「・・・それは未来が見たいのではない

ただ逃げたいのだ

どこにも居場所のない場所

そして居場所があっても大して良いとは思えない現実

彼らはきっと自分自身を殺すことを選ぶだろう

その存在がなければ

未来の今現在の自分を

もっとも楽に殺せるのだから」

「しかしそれはタイムマシーンがあっての話でしょ

教授の話では、結構昔からドッペルゲンガーが居たという感じがします

しかし、タイムマシーンなんてものは今現在でも」

「本当にそう言えるかい」

「言えるに決まっているじゃないですか」

「僕は三十年ほど前にタイムマシーンを開発した

しかしそれはとても科学の推移を集結させたとは呼べないような

それこそ実に原始的なものだった

しかし

それがある一つ全消えたのだ

そして、その日妻も姿を消した」

「・・・もしかして」

「ああ、彼女は今日という時間帯の妻を殺したのだろう・・いや自殺か」

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