#04 学園のアイドル
チャイムが鳴る。
美保は教室へと急いでいた。
カナメを連れて。
「あんた、本当に他の人には見えないんでしょうね?」
「見えないわよ~、No,Problemよ~」
「あたし、ほんとにまだあんたのこと信じてないんだからね!」
「も~疑り深いわね。ハゲるわよw」
「なっ!」怒りそうになる美保。すかさず美保の前から消えるカナメ。
キョロキョロあたりを見渡すがカナメは見当たらない。
「美保ちゃん、どうしたの?」
後ろで声がする、クラスメイトの五井葉子だ。
「え!な、なんでもないわよ!」反射的に答える美保。
「だれか探してるの?」
「べ、別に、だれも探してなんかいないわ!」
「ふ~~ん」釈然としないようだが、葉子はこれ以上詮索はしなかった。
(は~~、見られたのが葉子ちゃんでよかった…)安堵する美保。
「それより美保ちゃん、気をつけて。あの子達来てるわよ。」
美保に緊張が走る。
そう、彼女を悩ますあいつらが!
美保が教室へ向かうその通路。
通路の両側にはいつしか頭に鉢巻をした男女が並んでおり、美保が通ると
「お疲れ様です、美保様!」
「ご苦労様です、美保様!」
などと、挨拶をする。
その光景にカナメは目を丸くした。
(なにこれ)
カナメが美保の頭の中に語りかける。
(静かにしてて)
美保が頭の中でカナメに返答する。
美保はさっきまでのカナメとやり取りしていた美保とは明らかに違う物腰で
それらの人たちに、手を振り、微笑み返していた。
(あんた、あたしの心の叫びを聞いてやっていたのよね?)
美保がカナメに頭の中で語りかける。
(ええ、まあ)
(これでなんであたしがおならなんかで悩んでるのかわかるんじゃない?)
(いや、でも、まだ高校生だし、そこまで気にする程じゃないんじゃない?)
(なら、もう少しおとなしく観てなさいよ)
美保はカナメを自分の肩のあたりに漂わせながら(他の人にカナメは見えない)先を急いだ。
そろそろ教室だ。