二つの痛み
痛みは確かなものと、架空のものがあって
確かな痛みは、立てないほど辛いもの
架空の痛みは、立てないと思いこむもので
この二つが合わさると、痛みが
こんがらがってひどくなる
架空の痛みは、迷子のようなおそろしさ
から、くるらしい
原因不明、と突き放されて
取り残された心細さを抱えながら
さ迷うしかない
逃げ道を塞がれた息苦しさが
心をまるごと覆ったとき
架空の痛みは発症する
確かな痛みは医療に頼るしかないが
架空の痛みを治すには
大丈夫だよ、と身体を摩ってくれて
怖い、と言わせてくれる相手が
必要だ