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幼馴染と婚約したけど聖女も好きになったので頑張って爵位を取り、二人の女の子と結婚したい件  作者: ふくみどり
帝国学園編

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学園戦、規模拡大!?

学園の静かな執務室に、

重厚な扉がゆっくりと開いた。

宰相の前に立ったのは、

学術卿でありレンミル学園の園長でもあるレンミルだ。

机の上には整然と書類が並び、

窓から差し込む朝日の光が白い紙面に淡く反射している。


「レンミル園長、今年のチーム対抗戦のことなんだが

 ――助っ人の参加を認めてはどうだ?」


宰相はいつもの柔らかな笑みを浮かべながらも、

その目の奥には鋭い光が宿っていた。


レンミルはわずかにためらい、眉をひそめる。


「宰相……チーム対抗戦に、ですか?

 学園の生徒たちですよ?

 さすがに、荷が重すぎるのではありませんか」


「今年はイヴァンス君のように優秀な生徒が多いそうじゃないか」


宰相は机に軽く手を置き、言葉を慎重に選ぶように続ける。


「こうした人材は、早くから実践経験を積ませた方がよい。

 将来的に学園にも、そして彼ら自身にも大きな益となるはずだ」


レンミルは唇をかみ、視線を落とした。


「そ、そうですね……安全面の保証があるのでしたら……」


宰相は微笑を崩さず、ゆっくりと言葉を重ねる。


「もちろんだ。攻撃が命中すれば即離脱のルールはそのまま。

 重大な怪我の心配はない。

 さらに、冒険者の高ランクが参加すれば、学園の名誉も一段と高まる」


レンミルは唇を押さえ、小さく息をついた。


(ああ……明らかにイヴァンス君を試すつもりだな……。

 だが、レベルの高い者との実戦、安全面の担保

 ――そこを押さえられては、反論しづらい)


「……分かりました。助っ人参加、認める方向で準備を進めましょう」


その声には、苦々しさと同時に、覚悟も滲んでいた。


宰相は満足げに頷き、書類に目を落とす。


「よし。これで生徒たちの学びも、さらに実践的になるというものだ」


生徒たちへの発表


学園の講堂は、いつもよりも明らかにざわついていた。


「さて、生徒諸君。今年のチーム対抗戦について発表がある」


レンミル園長が壇上に立ち、静かに、しかしはっきりとした声で告げる。


「今年は特別に、助っ人の参加を認めます」


一瞬の静寂のあと、講堂はざわめきに包まれた。


「助っ人!?」

「まじで!?」


レンミルは手を軽く上げ、場を落ち着かせる。


「もちろん、ルールは変わりません。

 四人一組のチーム対抗戦です。

 攻撃を受けた者は即座に離脱、安全第一は従来通りです。

 ですが、今年は特に優秀な生徒がそろっています。

 より実践的な戦いを経験し、戦略を学ぶ絶好の機会となるでしょう」


壇上の言葉を聞きながら、イヴァンスは小さく呟いた。


「うーん……まあ、セーニャ、プラーサ……あと一人、誰にしようかな。

 ベラミカ先生か、ドキさんでも誘ってみるか」


その横で、バリンスの顔はぱっと明るくなる。


「やった! お父さんが押し通してくれたんだ!

 本当に助っ人OKなんだ!」


彼は思わず手を打ち、満面の笑みを浮かべた。

周囲の生徒たちも、その勢いにつられてさらにざわつく。


そして、イヴァンスを指差し、高らかに宣言する。


「見てろ、イヴァンス!

 絶対かなわないような助っ人を雇って、絶対にお前を叩きのめしてやる!

 “魔法の絶対零度”なんかに負けたら恥だからな!」


「ま、俺は自分ができることしかやらないさ。

 勝てない相手は、どうやっても勝てないだろうからな。最善を尽くすよ」


イヴァンスは肩をすくめ、淡々と返すと、その場を後にした。


するとバリンスは仲間たちに向かって、大声で続ける。


「みんな、聞いたか!

 魔法の能力のない“魔法の絶対零度”が、強がってるぜ!

 せいぜい参観日のときに、観客席を爆発させて皆を驚かせないようにな!」


講堂は一瞬ざわめき、笑いと囁きが飛び交った。

バリンスの挑発は、場の空気を一気に熱くする。


イヴァンスはその声を背に、心の中で淡々と考える。


(とりあえず、プラーサに相談だな。正式にメンバーを決めないと)


静かに作戦を練る彼の背中と、周囲のざわめきと笑い。

講堂には、戦いの前の独特な高揚感が漂っていた。


講堂を出たイヴァンスは、すぐにプラーサとセーニャに声をかける。


「プラーサ、今度のチーム対抗戦なんだけど、四人目はどうするつもりだ?」


プラーサは腕を組み、少し得意げに答える。


「当然だけど、私とセーニャ、そしてイヴァンス君の三人は確定よ」


イヴァンスは微笑み、静かに提案した。


「せっかくだから、ベラミカ先生はどうかな。

魔道具の作成も随分手伝ってもらったし、

レックの訓練も助けてもらったみたいだしな。

連携を考えるなら、最良の相手だと思う」


プラーサは目を輝かせながら頷く。


「たしかにね。

 私たち三人だと攻撃魔法がどうしても手薄になるもの。

 でも、先生よ? 本当に大丈夫かしら?」


セーニャが落ち着いた声で言う。


「助っ人に関する制限はないと、園長が先ほどおっしゃっていましたわ。

 バリンスさんたちは冒険者ギルドから高ランクを雇うでしょうし。

 お姉さまが了承なさるのでしたら、問題ないと思います」


プラーサはふっと笑みを浮かべ、冗談めかして言った。


「なんならグレッグ将軍とか?」


セーニャは即座に手を上げ、釘を刺す。


「プラーサ、それは冗談になりません。

 たとえご本人が了承なさっても、さすがにやりすぎです」


二人のやり取りを見つめながら、イヴァンスは静かに頷いた。


「さっそく、ベラミカ先生のところへ行ってみよう」


三人は顔を見合わせ、小さく息を合わせると、

ベラミカの魔道具研究室へ向かって歩き出した。

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