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幼馴染と婚約したけど聖女も好きになったので頑張って爵位を取り、二人の女の子と結婚したい件  作者: ふくみどり
帝国学園編

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魔法が苦手な二人

レックの墓参りから数カ月。学園生活は特に大きな事件もなく、淡々と過ぎていた。


今日は魔道の授業の日。教室には淡い光が差し込み、床には魔法陣が描かれている。


イヴァンスは剣術、プラーサは学術において学年でも群を抜いて優秀だが、

なぜか二人とも魔導に関してはからっきしである。

イヴァンスに至っては学年最下位という成績で、

教室の端に座る彼は少し肩を落としていた。


ベラミカがため息交じりにイヴァンスを見つめ、質問する。

「魔力の定義は?」


イヴァンスは少し考えて答えた。

「えっと……いわゆる、どれだけ魔法が使えるかの、

 自分の器の大きさと考えます」


「そうね。で、魔術力は?」


「魔法の威力そのものです」


ベラミカは小さく頷き、プラーサに視線を移す。

「知識は問題ないのわね……じゃ、

 プラーサ。魔力と魔術力は伸びる力なの?」


プラーサは淡々と答える。

「魔術力は本人の努力次第で伸ばすことができます。

 魔力は生まれつきのものですので、

 伸びる余地はほとんどないと言われています」


教室には一瞬の静寂が流れる。

イヴァンスは自分の席で少し俯きながら、心の中で呟いた。

「やっぱり俺は……魔導向いてないな」


その瞬間、後ろの席からバリンスの冷ややかな声が響く。

「ははっ、やっぱりな。

 イヴァンスもプラーサも、魔導じゃ何もできん無能者ってわけかww」


イヴァンスは肩をすくめ、顔を少し赤らめる。

「く……」


声は小さく、言葉に力はなく、全く反論できない。

彼は手をぎゅっと握りしめ、耐えるように俯いたままだった。


プラーサも少し眉をひそめるが、無言で机に手をつき、舌打ちする。


バリンスは嬉しそうに前のめりになり、教室中に響く声で続ける。

「努力で伸びる魔術力?

 お前ら、努力したところで焼き物に

 火をつけるくらいしかできないんじゃないか?」


クラスメイトたちはこらえきれずに吹き出す。

数人は机に伏せて笑いをこらえ、数人は口元を押さえてクスクス笑う。


プラーサは悔しそうに眉をひそめながらも、魔法陣を見つめていた。

「……次は絶対、負けないから」


バリンスは鼻で笑い、二人を見下ろす。

「おう、その“絶対”を見せてもらおうじゃないか。

 いや、むしろ見てみたいのはこっちの爆発芸だけどな」


教室は再び笑い声に包まれ、

イヴァンスとプラーサは互いに顔を見合わせ、

小さく苦笑いを返すのだった。


「さあ、イヴァンス。ファイアを的に向かって撃ってみなさい」

ベラミカの声に、イヴァンスは深呼吸して魔法陣の上に立った。


「う、うーん……よし、いくぞ……ファイア!」


しかし、彼の手元で小さな爆発が起こり、煙と火花が舞い上がる。

的は微動だにせず、机の隅の本が真っ黒に焦げていた。


教室は一瞬静まり返ったあと、後ろからバリンスの声が響く。

「ははははっ! イヴァンス、お前またやったのかよ!」


「く……くそ、またか……なんで……」

イヴァンスは悔しがるが、

どうしても魔法の発動がうまくいかない。


手元で小さな爆発が起こるたび、

彼の顔は赤くなり、肩は少し落ちてしまう。


バリンスは前に乗り出し、指をさしながら嗤う。

「くくっ、見ろよ、イヴァンス。

 魔導じゃ何もできん無能者の手本はこれだぜww

 ほらほら、爆発だけなら一流だな、お前の“魔法”ってやつはよww」


クラス中が吹き出し、笑い声と拍手が入り混じる。

「もう、火事だよwww」

「次は消火器持って授業やれって感じww」


バリンスはまだ笑みを浮かべ、イヴァンスの横からプラーサを見やる。

「おっと、プラーサだってサーチしか使えないんだろ?」


プラーサは眉をひそめ、机をぎゅっと握る。

バリンスは楽しそうに続ける。

「知識だけあっても、魔法の現場じゃまるで役に立たないってことかww

 ほらほら、机の上で悩んでるだけじゃ、俺たちの笑いは止まらないぜww」


「いや、もしかしてプラーサはサーチ中に爆発でも起こすのか?

 それとも煙だけで焦るとか?」


クラス中の笑いはさらに大きくなり、数人は肩を揺らして床に伏せるほどであった。


イヴァンスは煙の匂いを鼻で感じながら、俯いたまま小さく歯を食いしばった。

「……くそ、なんで俺はこんなに魔法が下手なんだ……!」


プラーサも悔しそうに眉をひそめ、魔法陣をじっと見つめる。

「……次は、絶対に……」

指先に微かに光が宿る。


バリンスは鼻で笑いながら二人を見下ろす。

「おう、その“絶対”を見せてくれよ……

 いや、むしろ期待してるんだ、次の爆発をなwww」


教室は笑いと小さなざわめきに包まれ、

イヴァンスとプラーサは互いに顔を見合わせ、微かに苦笑いを返すのだった。


クラス中が笑い声と拍手に包まれる中、

セーニャは少し離れた席から二人の様子を見つめていた。


イヴァンスの肩が小さく震え、プラーサが悔しそうに眉をひそめる。

その姿を見て、セーニャは心の中で息を呑む。

「……二人とも、無理しないで……」


しかし、教室全体の空気はすでに笑いと嘲笑に支配されており、

セーニャが何か言って二人をかばうこともできない。

彼女はただ、少し困ったように唇を噛み、黙って二人の様子を見守るのだった。

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