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幼馴染と婚約したけど聖女も好きになったので頑張って爵位を取り、二人の女の子と結婚したい件  作者: ふくみどり
帝国学園編

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帝国学園の入試①

帝都受験当日の朝。

イヴァンスは、これ以上ないほどガチガチに緊張していた。


帝都での滞在先は、ニコラ会長が経営する〈ワーラン亭〉という宿屋である。


その様子を見て、ニコラ会長が苦笑しながら声をかけた。

「そない緊張せんでも大丈夫でっせ。なんせ、あのメイトが太鼓判押しとるさかいな。

 胸張って行ってきなはれ」


その横で、女将のリクシアが弁当を差し出す。

「イヴァンス君、行ってらっしゃい」


そう言って、二人はイヴァンスを送り出した。


帝国学園の門の前には、貴族たちの豪奢な馬車がずらりと並んでいた。

馬車を降りた子供たちはもちろん、徒歩で訪れている者たちも、それなりに裕福そうな服装をしており、次々と学園の中へと入っていく。


その光景を前に、イヴァンスは思わず口にした。

「……なんか、俺、場違いな気がするなぁ」


そんなことを考えていると、背後から柔らかな声がかけられた。

「同じ受験生の方ですか?」


振り返ると、そこに立っていた少女が、にこりと微笑んだ。

「私、セーニャって言います。よろしくお願いしますね。

 あら、なんだか他の方と少し雰囲気が違いますね。フフ」


その笑顔を見た瞬間、イヴァンスの顔は一気に真っ赤になった。

心臓がドクン、ドクンと跳ね、手のひらまで熱くなる。

自分でも理由は分からない。ただ、胸の奥がざわざわと落ち着かないのだ。


「よ、よろしく……。俺、イヴァンス。ストーン村から来たんだ」

言葉がもつれそうになりながら、必死に笑顔を作ろうとする。

「まあ……田舎者だから、他のやつと違うのは当然かもな」


イヴァンスは心臓の鼓動が早いものの、セーニャと話してから、不思議なほど緊張感を感じなくなっていた。


二人は一緒に試験の手続きを済ませ、まずは筆記試験の会場に入った。


机の前に着くと、試験官が静かに問題用紙を配布した。

開始の合図と同時に、イヴァンスは問題用紙に向き合う。


問題は帝国の歴史や地理、算数、さらには礼儀作法に関する問いまで、多岐にわたっていた。


メイトさんの予想問題を参考に、歴史や地理、算数の問題は何とか解き進めていくイヴァンス。

しかし、礼儀作法の問題になると、ほとんど手が止まってしまう。


「何度やっても身につかなかったし……言葉遣いも分からない……やっぱり、礼儀作法は苦手だ……」


一番の難所と考えていた筆記試験が終わった。

イヴァンスも、自分の中で教わったことを何とか出し切れたと感じていた。


「イヴァンス君、どうでした? 筆記試験は」

セーニャが声をかけてきた。


「一番の難関だと思ってたけど、とりあえずは何とかね。

 セーニャは余裕そうだな」


「そんなことないですよ。

 午前中の試験はこれで終了ですので、いったん昼食になりますが、ご一緒します?」


「もちろん!」


イヴァンスは目を輝かせ、セーニャと昼食を共にした。


昼食の間、イヴァンスはセーニャの自己紹介の内容に耳を傾けていた。


現在、彼女は聖教会で聖女として働いているそうだ。

出身は北にある第四の都市、ワーリンの有名な魔導士の家系。

姉がおり、帝国学園の魔術科の講師を務めているという。


姉妹ともに魔力があるため、聖教会がぜひとも帝国学園にセーニャを入学させたいと考えているらしい。


「へ~、聖教会から帝国学園に入学するって珍しいんだ」

「そうみたいですわ。まあ、聖女が戦場に立つことはありませんしね。

 もともと聖女として回復魔法が使えるのであれば、敢えて攻撃魔法の勉強をする必要もないって考えみたいですから」


「ふーん」


こうして、二人は互いの話をしながら交流を深めていった。


午後の試験は、いよいよ実技である。

内容は魔力測定と剣技などの実技で、受験生はそれぞれの能力を披露することになる。


魔力測定は、測定水晶に手を当てて魔力の量を測るものだ。

これは個人がどれだけ魔力を持っているかを知るための試験であり、この結果で落ちることはない。


次に実技試験。

実技は剣技か魔術のどちらかを選ぶことができ、剣技なら騎士団との模擬戦、魔術なら魔法の披露となる。


魔力測定では、軽い騒動が起きた。


セーニャが手を測定水晶に当てると、表示された数字は――「320」だった。


通常の人であれば50~70、少し能力のある魔導士団の隊員でも150~200。

入試の時点で300を超える数値は、帝国学園創設以来、数名しか達成していない快挙だったのだ。


周囲のざわつきをよそに、イヴァンスはセーニャのところへ駆け寄った。


「すげー、セーニャ! 帝国学園創立以来、数名しか達成していない快挙だって、試験官が慌ててたぞ!」


みんなの前で、イヴァンスはセーニャの両手を握りしめ、喜びを全力で表していた。


「ちょ、ちょっと、イヴァンス君……は、恥ずかしいです……」

セーニャの顔は、見る見るうちに真っ赤になった。

イヴァンスは少し照れくさそうに笑いながらも、その笑顔に胸が温かくなるのを感じていた。


この後、実技の試験に移っていくのであった。

そこには、イヴァンスにとって無関係とは言えない人物が待っていたのである。

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