メリーさんの通知
女子高生・彩花のスマホに、見知らぬアカウントから不気味な通知が届く。
「私、メリーさん。今、駅にいるの。」
その後も「書店の前」「交差点」と、彩花が通った場所が次々と送られてくる。
恐怖を感じつつ家に逃げ帰るが、最後に届いた通知は──
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」
彩花はそのまま姿を消し、数日後、友人たちのスマホにも同じ通知が届き始める。
放課後の夕暮れ。高校二年の「彩花」は友人と別れて、一人で帰り道を歩いていた。
街路灯がポツポツと点きはじめ、薄暗いオレンジ色がアスファルトを照らす。
そのとき、彩花のスマホが突然ブルッと震えた。
画面を見ると、LINEに知らないアカウントからメッセージが届いている。
アイコンは白黒でぼやけた女の子の顔写真。
「私、メリーさん。今、駅にいるの。」
彩花は「イタズラかスパムだろう」と思い、既読をつけずにアプリを閉じた。
数分後、再び通知が届く。
「私、メリーさん。今、〇〇書店の前にいるの。」
それは、彩花がほんの数分前に通った場所。背筋に冷たいものが走る。
「偶然だよね…」と自分に言い聞かせ、歩くスピードを速めた。
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しかし通知は止まらない。
「私、メリーさん。今、交差点を渡ったところにいるの。」
「私、メリーさん。今、コンビニの前にいるの。」
それはすべて、彩花が歩いた道を正確にトレースしていた。
「…つけられてる?」
怖くなった彩花は、スマホを握りしめながら全力で家まで走った。
玄関に飛び込み、ドアを閉めて鍵をかける。
胸がドキドキし、息が切れる。
その瞬間、またスマホが震えた。
「私、メリーさん。今、あなたの家の前にいるの。」
震える手でカーテンを開けて外を確認する。
…誰もいない。
彩花は大きく息を吐き、少し安心した。
だがそのとき、最後の通知が届く。
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」
恐る恐る振り返る。
そこには、スマホのアイコンと同じ“白黒の少女”が立っていた。
顔は真っ黒に潰れ、ただ真ん中に「スマホの通知音のように赤く光る目」が二つ。
彩花の悲鳴が、夜の住宅街に響き渡った──。
翌日、彩花のスマホは友人たちに連続投稿を始めていた。
内容はすべて同じ。
「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」