表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

メリーさんの通知

作者: leemero

女子高生・彩花のスマホに、見知らぬアカウントから不気味な通知が届く。


「私、メリーさん。今、駅にいるの。」


その後も「書店の前」「交差点」と、彩花が通った場所が次々と送られてくる。

恐怖を感じつつ家に逃げ帰るが、最後に届いた通知は──


「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」


彩花はそのまま姿を消し、数日後、友人たちのスマホにも同じ通知が届き始める。

放課後の夕暮れ。高校二年の「彩花」は友人と別れて、一人で帰り道を歩いていた。

街路灯がポツポツと点きはじめ、薄暗いオレンジ色がアスファルトを照らす。

そのとき、彩花のスマホが突然ブルッと震えた。


画面を見ると、LINEに知らないアカウントからメッセージが届いている。

アイコンは白黒でぼやけた女の子の顔写真。


「私、メリーさん。今、駅にいるの。」


彩花は「イタズラかスパムだろう」と思い、既読をつけずにアプリを閉じた。


数分後、再び通知が届く。


「私、メリーさん。今、〇〇書店の前にいるの。」


それは、彩花がほんの数分前に通った場所。背筋に冷たいものが走る。

「偶然だよね…」と自分に言い聞かせ、歩くスピードを速めた。

しかし通知は止まらない。


「私、メリーさん。今、交差点を渡ったところにいるの。」

「私、メリーさん。今、コンビニの前にいるの。」


それはすべて、彩花が歩いた道を正確にトレースしていた。


「…つけられてる?」

怖くなった彩花は、スマホを握りしめながら全力で家まで走った。


玄関に飛び込み、ドアを閉めて鍵をかける。

胸がドキドキし、息が切れる。

その瞬間、またスマホが震えた。


「私、メリーさん。今、あなたの家の前にいるの。」


震える手でカーテンを開けて外を確認する。

…誰もいない。

彩花は大きく息を吐き、少し安心した。


だがそのとき、最後の通知が届く。


「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」


恐る恐る振り返る。

そこには、スマホのアイコンと同じ“白黒の少女”が立っていた。

顔は真っ黒に潰れ、ただ真ん中に「スマホの通知音のように赤く光る目」が二つ。


彩花の悲鳴が、夜の住宅街に響き渡った──。


翌日、彩花のスマホは友人たちに連続投稿を始めていた。

内容はすべて同じ。


「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ