042 ) まほうのちがい
《ほう!先代どのは、かの滅亡した帝国の魔導師様・・・ いえ賢者・・・ うむ〜、私が知っていた賢者様の魔導師服とは少し違う様に見えますが・・・ もしかして先代殿は・・・ 私の知的好奇心からの質問ですが、(もしかして先代殿は『⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎帝国の大賢者⚫︎⚫︎⚫︎』様では?)》と、後半はマメが知らない言葉でクールがパトスに質問している。
「やっぱり『リッチ』って言う存在は、『大魔導師』とか『賢者』と呼ばれる程の魔術や魔法に優れた魔導師や魔法使いがなるの?」
《そうですねマメちゃん、理由は人それぞれだとは思うけれど、私の様に『魔術馬鹿』がリッチと言う怪物になることが多いようですね。》
「じゃあトパスもって事なのかな?」
「う〜ん・・・ 私は、何故自分が『リッチ』になったかはハッキリとは覚えて無いが、まあ主人よ、私も『愚か者の馬鹿者だった』って事だと思う。」と自虐する様な物言いをトパスがする。
《マメちゃん、マメちゃんも『リッチ』になる素養は有ると思いますよ?》
「えっ? 僕が何で『リッチ』になる素養があるの?」
《簡単な話しです。
マメちゃんは私の様な『現リッチ』と、先代さんの様な『元リッチ』の二人を従えている訳です。》
「僕は二人を『従えている』なんて積もりは無いよ?」
《ええそれは良く分かっています。
私が言いたいのは既にリッチ出会って・・・
まあ今のマメちゃんには要らない心配でしょうか?・・・
私が言いたいのは、マメちゃんが『リッチ』になる気があれば、『良い手本』と言っても良いのかは分かりませんが、マメちゃんには『魔法や魔術の先生が二人も居る』って事です。》
「え〜先生って・・・ エレナ母さんにも良く『大人になる為にはしっかりと知識を身に付ける必要があるのよ!』なんて言われるけど・・・
その為に色々と難しい事を覚えるのは苦手だな〜 もう少ししたら、僕は学園に入って色々な事を勉強する事になっているけどちょっと心配だな・・・」とマメが秋から通う事になっている学園に対しての不安をこぼす。
《そうですかマメちゃんは学園に通う事になっているのですね、確かに自分が知らない場所に行くのは不安ですよね、でも知ってしまえば学園はマメちゃんにとって楽しい場所に変わると思いますよ、『知らない事を知る』のは楽しいですよ? マメちゃんは知らない場所に行って、知らない景色を観るのは嫌いですか? 知らない人に出会うのは嫌いですか?》
「うん、知らない場所に行くのは好きだし、知らない人に出会うのも好き♪ 」
《では知らない場所の事を知るのはどうでしょうか?》
「うん、知らない場所の事を知るのも楽しいと思うよ♪」
《そうでね、本来知らない事を知る事と言う『行為』は、知識をもつ生き物には楽しい事なのです。
では何故、勉強すると言う事になると嫌になるのでしょう?》
「う〜ん・・・ 何故だろう?」
《それは本人が『知りたい』と思っていない、即ち『興味が無い』からなのです。
マメちゃんが学園で勉強をするとは思わずに、知りたい事を知りに行く、又は知らない事を体験しに行くと思えれば、また学園と言う学びの場に対しての考えや感じ方も変わると思いますよ?》
「ありがとうクール、少し学園に通うのが楽しみになって来たかも?」
《それは良い事です。》
「エレナ母さんも前に『知らない事を知るのは楽しい事よ?」って言っていたし」
《ほうマメちゃんの母上はマメちゃんが学園に通う事にはご理解がある様ですね》
「うん、エレナ母さんも学園の卒業生で、今も冒険者ギルドのお仕事をしながら僕のお友達の魔法の家庭教師をやっているんだって」
《ほう母上は教育者と言う事でしょうか? 》
「教育者って?」
《他者に知識や経験を伝えて育む者と言えばよろしいのでしょうか?》
「だったらその教育者かも?」
《と、今の会話の様にマメちゃんが知らない事を知るって楽しくないですか?》
「うん、そう考えると身近な人の事なのに知らない事が有るって不思議だね〜 」とクールの話に興味を示すマメ、クールは土魔法を使ってセーフティーゾーンに円形のテーブルとソファーを作ると、
《お客様が来られるまでまだ少々時間が掛かる様ですので、もう少し会話を楽しみましょうか?》と皆を座るように進める。
クールの話は楽しかったし、マメが興味を持った話も多かった。
「クールよ、オヌシ、元はどこぞの学園の教師でもやっておったのか?」
《何故その様にお思いですかな?》
「話し方が理論整然としとるし、何より話し方が上手い、妾までもがオヌシの話に惹き込まれてしまったぞ?」
《ははは、私の悪い癖なのでしょうか? いかにも私は元は教育者として大勢の生徒達に様々な事を教え伝えて来ましたが、何の因果なのでしょうかね、いつの間にか私自身が知識を求め過ぎた余りにリッチと言う魔物になってしまいました。》
「いや、オヌシがリッチになったからマメにも出会う事が出来たのじゃ、オヌシはマメの良い教師になりそうじゃ、で、オヌシは何を教えておったのじゃ?」
《私は色々と古代魔法の研究をしてまして、特に『亜空間魔法』を専門に研究していまして、その際に亜空間の溝にハマってしまって、気付けばリッチになってしまっていました。》
「それで『ゲート魔法』が自在に使えたのか? 納得じゃ、妾も古代魔法は得意じゃ」とサテラがクールの目の前で呪文も使わずに火を灯して見せる。
《おおっ! それは正しく古代魔法!》
「えっ、クールは見ただけで古代魔法かどうかが判るの?」
《簡単な事なんですが、古代魔法は基本的に『無詠唱魔法』なんです。
したがって魔法の発動時間にロスが無いんですよ、面白いとは思いませんか? 今現在、皆が使っている魔法を現代魔法と呼ぶとしましょう。
その現代魔法は詠唱が必要なのに、古代魔法は詠唱が必要では無いんですよ!凄い事ですよね〜 しかも! 古代魔法が使われていた時代と、現代魔法が使われる様になった時代の間には約200年もの空白時間が有る事が分かったのですが、その200年の間に何が有ったのかが今一つ解っては無いのが事実なんですよ! 一部の古い伝承によると、神々の戦争が有っただの、超大陸国家間の戦争が有っただのと言われていますが、今一つ事実が伝わってはいないのです。》とクールの説明にも熱が篭る。
「アハハハハ、流石はリッチになるだけの素質を持った者じゃ、自分が興味がある話しになると雄弁じゃのう。
儂が幼い頃に両親から聞いた話は両方だったぞ、しかもオヌシが言う超国家大陸の片方の帝国の皇帝が世界を崩壊させようとしたらしいぞ」
《そ、その話は本当ですか? 》
「ああ妾は悠久の時代を生きる吸血鬼じゃ、その妾の両親から聞いた話しじゃ、もしかしたら妾の両親はその戦乱の時代の戦いに参加していたかも知れぬのう。」
《そのサテラ殿のご両親は何処に? 》
「妾もこのダンジョンに二千年以上も囚われておる故、両親の行方は知らぬ、まあ両親が生きていれば何処かで出会う事もあろうよ」
《そうですか・・・ それは残念です。
しかし・・・ 残念です。
時間切れの様です。》とクールがセーフティーゾーンの入り口を見る。




