039 ) ぼろぞうきん
「えっ? そんな事に・・・」
《はい、Aクラスダンジョンと呼ばれるに相応しい様にガンガン改変している最中です。
特にダンジョンの神様が嬉々として改変されている最中です・・・
それに、地上に転移出来る転移門もまだ機能してない様ですし、私のゲート魔法もココの地上の様子がイマイチ把握するのが難しい様で、マメちゃん達を地上にお送りしてあげたいのですが、無理な様で》とクールがマメに詫びるが、其れもそうだろう。
だって、Aランクダンジョンのダンジョンボスがそう簡単に地上になんか現れたら、地上に住む人達は大パニックになってしまう。
「あ〜 どうしようか? クールさんのゲート魔法で浅い階層のセーフティーゾーンまで送って貰う?」
《ご主人様、アカネは魔石が欲しいです♪》
「そうじゃのう。
妾も此奴の為に魔石がもう少し欲しいかのう? 余りオヌシに魔石を無心するのも悪いしのう。」
《主人殿、ヒューイ殿も加わった故、階層を一段づつ登ったとしても問題は無いかと》
《マーク様、我の側近を100名ほどマーク様の護衛に付けます故に、何も心配はござらん、安心召されよ》とヒューイも言うし、アカネに抱かれているアールもウンウンと頷いてる。
君達、本当に魔石が好きだね〜♪
「はあ〜 分かったよ、折角の初めてのAランクダンジョンだから楽しもうか♪」とマメが言うと、マメ以外の全員が元気に頷く、
「じゃあクールさん、名残惜しいけど僕達はそろそろ行くね」
《はいマメちゃん、また会いましょう》とクールさんに見送られてマメ達は第100階層を後にして、上の階層に続く階段を登り始めた。
マメ達が階段を登り切ると、そこは広い空間だった。
「おっ! 珍しく侵入者か? しかもお前達は今、下の階層に続く階段を登って来たよな? 俺はお前達を下の階層に通した記憶は無いぞ? それに、お前達が下から五体満足で登って来れるなんて、下のダンジョンボスを倒さないと無理なハズなんだが・・・」と床に寝転がったまま一切動こうとはしない青年がいた。
「う〜ん解らん、おい!そこのチビ、お前だ! お前、魔物使いか? どうやってそんなに強そうな魔物達を揃えた? 全く哀れな・・・ お前達もそんな『ちんちくりん』に使役されてて大変だな〜 まあ今から俺がその『ちんちくりん』を殺して解放してやるよ!」と、床に寝転がったままの青年の姿がブレたと思った瞬間、マメの目の前にはエルの背中が有った。
《主人殿、お怪我は?》
「エルありがとう、僕は大丈夫だよ」
「ほう、俺の一撃を止めたか? 主人が無能でもやっぱり使役している魔物が優秀だとココまで来れるって事か〜 」
《ご主人様、この者の首を刎ねて良いでしょうか?》とアカネが言うとゴトリと音がして、青年の首が床に転がる。
「いや〜残念、僕は首を刎ねられても何も問題無いんだ・・・」と言う首の無い青年の声が床から聞こえる。
《ご主人様、この首・・・》と言おうとしたアカネが、真横に吹っ飛ばされて転がって行く、
「そう簡単に僕は殺せないよ?」と言う青年の体が膨張して変化すると、そこには醜く肥大化した魔物が居た。
「ほうキメラかえ? 珍しい」
「おやお嬢さん、僕の事を知っているのかい?」
「ああ昔し一度観た事が有ってのう。」
「おや僕の同族をかい? それは本当に珍しい、でも今回が最後になるかな?」と言い終わらないうちに、目の前のキメラの体から触手の様な物が伸びてサテラに襲い掛かって来たが、カキン!と鈍い金属音とともにその触手が止められる。
《姫、我等が此奴を》
「うむ、ヒューイよ任せましたよ」
《ハッ!》
「おいおい『姫』だって? アハハハハハ! これは良い! そこのちんちくりんと一緒に俺が頭から食ってやるよ♪ ・・・ グハッ!」
《その前に我が主人殿を『ちんちくりん』と侮辱した事、許さぬ!》
「ほうお前、リビングアーマーか? 今、女を守ったのもリビングアーマーの様だし、中身が空っぽな人形が俺に勝てると思うなよ!」と威勢が良かったキメラが、マメの目の前で虫の息になっている。
まあその後が凄まじかった。
突然、エルが全身から紫色したオーラの様な物を発したと思ったら、今度はキメラが吹っ飛ばされて転がって行く、そこに青白いオーラを発したヒューイが、何処からか取り出したのか? 馬上で良く使われるランスを手にして突撃して串刺しにするわ、いつの間にか戻って来てたアカネにめっちゃめっちゃに切り裂かれるわで、一方的にキメラが攻め立てられ、今や威勢が良かったキメラはボロ雑巾の様にクタクタになっていた。
「さてキメラよ、何が『今回が最後になるかな?』なのか言ってみよ? ああちなみに、以前出会ったキメラな、アレは妾が『食って』やったわ! この様にしてのう。
可愛い『弟』を侮辱したのじゃ、十分に『恐怖』を感じながら逝け!」とサテラがキメラの頭に軽く手を添えた瞬間、キメラは塩を固めて作った彫像の様になったと思うと、サラサラと崩れて行く、後とにはマメの頭ぐらいありそうな大きな赤い魔石が転がっていた。
《ご主人様、その魔石私に頂けませんか!?》と魔石大好きっ子アカネが飛び付いたが、
「ダメじゃ!コレは妾が頂く、妾の友に喰らわせてやりたいでのう。
オヌシよ良いじろう? のう妾の頼みを聞くならば今夜も添い寝してやるぞ?」
《あ〜っ!サテラ様、ソレはズルいです〜 》と魔石の取り合いが始まってしまったが、マメは魔石よりもキメラが残した宝箱の方に興味が向いていた。
《主人殿、キメラからドロップした宝箱、如何しましょうか?》とエルがマメの目の前に持って来た。
今回も金の宝箱だったが、中に入っていたのは棘が無数に着いた『鞭』だけだった。
「鞭か、僕は鞭は使わないな〜 誰か使える?」
「鞭ならば妾も使えるが、我が友もリッチの割には鞭を使うのは上手かったぞ?」
《サテラ・・・ 恥ずかしいので・・・ 》と頭蓋骨だけになったリッチが器用に照れている。
「もしかしてだけど、リッチさんって元は女性の方だった?」
「オヌシよ、今更かのう?・・・ 」とサテラとエルとアールと、ついでにアカネの視線が痛い、
《アハハハハハ、マーク殿にはリッチが女か?男か?の見分けは少々難しかったですかな?》とサテラ達の痛い視線を笑い飛ばしてくれる。
「じゃあ鞭はリッチさんの分として、所で聞き忘れてたけれとリッチさんの名前はなんて名前なの?」
《私がダンジョンのダンジョンボスになった時、私はただのリッチとして名無しになり、自分の名前を思い出す事は出来なくなりました。》
「じゃあサテラはリッチさんの名前を知っているよね?」
「いや妾は此奴の事は『オイ』とか『リッチ』ととかしか呼んでおらんかったからなあ〜 エルや、オヌシ達ならば此奴の名前は知っておろう?」
《残念ながら我もアールも、彼女の名前を思い出す事が出来ないんです・・・ 》
「ではオヌシよ、折角だから此奴に名前を付けてやれば良かろうよ?」
「う〜ん・・・ クールさんの時もそうだけど、ダンジョンボスになったら名前を忘れてしまうのかな?」
「それは今考えても仕方のない事じゃろうて、それよりも早う名前を付けやらんか?」
「じゃあ今からリッチさんの事は、」
「事は?」
「うん、もう少し考えさせて?」
「何じゃオヌシ、妾に期待させてソレか?」
「うん今は良い名前が思い付かないし、セーフティーゾーンに着いたらリッチさんの体を作るつもりだから、それまで待ってくれるかな?」
「仕方の無いやつじゃ、妾は此奴の新しい名前を楽しみにしとるぞ?」
「うん、それまでに考えとく!」と言う事でマメ達一行はキメラが居た部屋を後にした。




