034 ) こまぎれ
ちょっと予定が遅れてしまいました・・・汗
書き溜めた話しが尽きたので、また貯まるまではスローペースな投稿になるかもです。
エルと首無しスケルトン騎士の戦いは、互いに名乗りを上げて始まった。
ただエルも首無しスケルトン騎士もなんと言って名乗りを上げたのかは、残念ながら古い時代の言葉で交わしていたので、マメには全く判らなかった。
広い空間に、エルと首無しスケルトン騎士の斬撃の音だけが雷鳴の様に響く。
通常、騎馬と歩兵では断然的に馬上優位と言って良い程に、首無しスケルトン騎士の方が有利なのだが、エルも1歩も引けを取らずに戦っていた。
と言うのも、エルは風魔法を活用して、自分の体を床から4〜5センチ浮かせた状態で床面を滑るように自由に移動していた。
そして首無しスケルトン騎士の馬もまた凄かった。
首無しスケルトン騎士の巧みな手綱捌きなのか?馬の意思なのか?巧みにエルの斬撃を躱し、首無しスケルトン騎士がエルに攻撃を仕掛けるが、エルは両肩と背中に装着された大盾を巧みに使い、首無しスケルトン騎士の斬撃を躱す。
永遠に続くかと思われたその攻防も、エルの切り札とも言える風魔法を使った一撃で決着が着いた。
エルが右肩に装着していた大盾をパージして風魔法で馬の進行方向に飛ばすと、流石は首無しスケルトン騎士の馬、自分の足元にエルの大盾が滑って来たのを感知すると巧みに躱してみせたが、その一瞬を突いてエルが首無しスケルトン騎士の左側から重たい一撃を放ったが、首無しスケルトン騎士も巧みな剣捌きで、エルの強烈な一撃を上手く躱してみせたが、それでも体制を崩されてしまい、馬上から落下してしまう。
首無しスケルトン騎士の馬も落下してしまった主人を助け様と動いたが、そんな事をエルがさせる訳も無く、首無しスケルトン騎士をどんどんと追い詰めていき、最後には強烈な横殴りの一撃で首無しスケルトン騎士の胴体を真っ二つに切り払ってしまう。
床に横たわる首無しスケルトン騎士と、主人を守る様にエルの前に立ちはだかる首無しスケルトン騎士の馬、マメはその場に駆け寄ると、エルの鎧をポンポンと叩きその場から一歩下がらせると、錬金術でエルが切り裂いた首無しスケルトン騎士の胴体部分の鎧を錬金術で直していく。
《子供よ、頼みが有る。
お主は回復魔法が使えると聞いた。
であれば、我と我の馬、そして20人の部下達を一緒に、お主の回復魔法で浄化してくれぬだろうか?》
マメは黙ってコクリと頷くと、部屋全体にエリアハイヒールを掛けた。
すると、スケルトン騎士達は口々に何かを唱えながら、灰となり消えて行く、首無しスケルトン騎士もただ一言『感謝』と言って灰になって消えて行く、
そして、灰となって消えて逝った首無しスケルトン騎士が居た場所には、宝箱が残されていた。
残されて居たのは銀色の宝で、蓋を開けてみると、そこには手綱の様な物が入っていた。
「これはどう見ても手綱だよね?」とマメ、アールもエルの面から顔を出してコクコクと頷いてる。
まあありがたく貰っておこうと言う事で、マメは空間収納の中に手綱を仕舞うと、床にぽっかりと口を開けた下の階層に続く階段に向かって歩き始めた。
マメ達が降立った第20階層は無限にでも広がるのではないかと思われる程にだだっ広い空間であった。
この空間の先が見えないのだ。
そしてこの空間に無数に犇くゾンビ、スケルトン、甲冑を着込んだスケルトンもいれば、革鎧姿のスケルトン、そして先程の首無しスケルトン騎士達と同じ様に馬上に跨ったスケルトン騎士も多く見受けられる。
そして階段の1番下には、サテラが待ち構えていた。
「オヌシ達、やっと来たか?待ちくたびれたぞ!」
「ねえサテラ、これって一体どういう状況?」
「オヌシ達もついておらんの、奴はどうもかなり荒ぶっている様じゃ」と顎でその空間の奥を差し示す。
マメがエルの胸部装甲を開けてもらい外を見渡すと、遥か彼方まで続く暗雲立ち込める空に、1カ所だけ禍々しい程の魔力を纏った雲が渦を巻いていた。
《あそこにいる。》とエルが一言言う。
そして同じ様にエルの中に入っていたアールまでもが同じ事を言う。
《サテラ殿よ、頼みがある。
主人殿と一緒にここで待っていてくれぬだろうか?アカネ、お前もだ。
ココから先は我とアールとで行く。
いや、行かねばならんのだ。》
「なんだオヌシ達、我の友に会いに来たのか?
しかし、今のあれは自我など全くないただの阿呆ぞ?」
《だから行かねばならぬのだ。
行って昔の様に彼奴の頭を一発張り倒してやらねばな!》
「ハイハイ分かったのじゃ、ならば、妾の代わりにあの阿呆の頭を一発引っ叩いて正気に戻して来ると良いぞ、そして正気に戻った彼奴の頭を妾がもう一発、笑いながら引っ叩いてやろうぞ♪」
「じゃあエル達が行くなら、この一帯のゾンビやスケルトンたちだけでもエリアハイヒールで灰にしようか?」
「辞めておけ、無駄じゃ無駄じゃ、オヌシが少々エリアハイヒールを掛けたとしても、焼け石に水じゃ、一斉にゾンビやスケルトン達がこの狭い階段に押し掛けてきて、あっという間に押し流されてしまうわ!
それはエルが妾にオヌシを託して行こうとするのを無駄にしてしまうぞ?」と言われてしまい、マメはおとなしく引き下がるしか無かった。
マメはせめてと思い、エルに大量の石を預けようとしたが、
《主人殿、そんなにも魔石を頂いても》と固辞しようとしたが、万が一と思い、
「エルは会いたいと言う者の所に辿り着く前に魔力が切れたらどうするの?会って一発頭を張り倒して来るんでしよ?」と言いながら、強引にアールにも手伝って貰いながらエルの面を開けさせて、マメが出た事で空っぽになったエルの鎧の中いっぱいに石を詰め込んで送り出した。
まあ結果は驚くようなものであった。
エルはマメに貰った魔石を魔力に変換しながら、自分の周囲に風魔法の刃を展開し、目的地に向かって一直線に地面の上を滑空して飛んで行く、
まあ凶悪で切れ味の良い刃物が、大量にエルの周囲を高速で旋回しながら飛び回っているのだ、しかも、その刃物は瞬時に触れた物を細切れにして行く、
途中、騎馬に乗ったスケルトン騎士の一団がエルに向かって突入して行ったが、エルに近づく前に全て細切れにされて行く、マメが居る場所から見ていると、まるで雑草が生い茂った草むらに、バイス師匠とデイスさんが開発した『草刈魔導具』の様に綺麗に刈り取られていた。
マメが居る場所からも一際大きな巨人、多分、マメも初めて見るから断言は出来ないけど、サイクロプスだと思う巨人も、為す術も無く細切れにされていた。
「今のエルって、例え万の軍勢に囲まれても大丈夫そうだね・・・」
「そうじゃのう。
妾もあの無双状態はちょっと引くのう・・・
まあそれもオヌシが小国なら買えそうな量の魔石を惜しげも無く預けて、また、あのオヌシの従者がオヌシの意を汲んで完全に活用しとるからのう。
あの活用法はゾンビ連中や、スケルトンやアンデットには効くじゃろうて、妾も幾ら不死身でも細切れにされれば為す術が無いわ。」




