032 ) いろいろ
サテラは寝相はさほど悪くなかった。
ただちょっと困ったのは抱き癖というか?マメを抱き枕にして寝てた。
しかも豆の頭をガジガジと噛もうとする。
まあ噛もうとするのは吸血鬼の習性なのかもしれないが、ちょっとマメは困ったと言うか大変だった。
噛まれた痛みで目が覚めてしまうのだ。
まあ実際は甘噛み程度なんだけど、想像してみて欲しい、寝ている時に時々あの針で『チク』って刺される感じを、
「ん〜〜〜! よく寝たのじゃ♪ こんなにぐっすりと眠れたのは2000年ぶりかの?」
「サテラは良かったねぐっすり寝れた様で」
「なんじゃオヌシは寝れなんだのか?」
「サテラが僕を抱き枕にして寝てるし、しかも寝てる間に僕の頭をガジガジ齧るんだもん。」
「こんな美女に少々齧られるぐらい、男なら我慢するもんじゃろ?」
「いやいや本当に痛くて何度も目が覚めたからね、後、寝てる時に一度、僕がウンウン唸って寝苦しそうだったから、僕に抱き着いて寝ているサテラを、アカネが強引に引き剥がそうとしたけど、無理だったんだって、よほど僕が熟睡してる時に抱き締められてて、僕が苦しくて唸ってたんだと思うよ?」
《ご主人様、サテラ、本当に力が強かった。》
「ホラね!」
「そうかの? 妾は全然気付かんかったが?」
「サテラは吸血鬼だから、力が普通の人種と比べてもかなり強いんじゃないの?」
「妾には判らんが、そうかも知れんのう?」
「そんなサテラに非力な僕が力一杯ギュ〜って抱き締められたら、僕なんか簡単に潰れちゃうよ。」
「まあオヌシは潰れんかったし、それはそれで良かったと言う事で、
しかしベッドっと言う物は本当に良いもんじゃのう。
妾も欲しいの〜♪」
「えっ、吸血鬼って棺が定番の寝床じゃ無いの?」
「いや、それは『太陽の陽に当たらない様に』って言う事と、古くからの風習かの?」
「じゃあサテラが、このダンジョンを出る事になったら、大変だね〜」
「なんでじゃ?」
「だって、今はダンジョンに居るから関係無いけど、吸血鬼って日中は外に出れないって聞くし、太陽の光を浴びたら皮膚が焼けて、最悪、灰になってしまうから、夜しか動けないって、知り合いの冒険者さんが言ってたよ?」
「その点は心配ないぞ、妾はデイウォーカーだからな、太陽の陽の光の中でも自由に動き回れるぞ、ただ妾の友が『リッチになってしもうた』と言う事もあって、妾達の行動が主に夜間だけだったと言うだけじゃがな、」
「やっぱりリッチって夜行性なの?」
「詳しく知らぬが、もし会ったら聞いてみれば良い、」
「呑気な・・・」とそんな取り留めのない話をしながら、マメ達は身支度を整えている。
サテラも下着姿から赤いゴスロリ衣装に着替えていた。
サテラが寝る時は赤のショーツだけで寝てたが、マメがサテラに欲情する事は無かった。
まあ普通の成人している男性種なら、魅力的なサテラの半裸姿を見て一切欲情しない事は無いだろうけど、サテラが言う通りマメはまだまだ『お子ちゃま』だと言う事なのだろうし、マメがサテラの半裸姿を見ても一切欲情する気配が無かったから、サテラも安心して熟睡したのだろうし、逆にマメが欲情したなら・・・
マメが身支度を整えて、ベッドにクリーン魔法を掛けてシーツをピンと伸ばして張り直した姿を見て、
「そうそう思い出した。
昔、妾が男を引っ掛けて連れ込んだ宿が酷いベットでの、今思い出しても鳥肌が立つわ。」
「そんなに酷かったの?」
「そりゃあもう酷い事酷い事、ダニやシラミがウジャウジャ・・・
今思い出しても背中が痒くなるぞ・・・」
「聞くんじゃなかった・・・」
そんな馬鹿話をしながら身支度とベッドメイクが整ったので、マメはソファーセットのテーブルの上に2人分の朝食を空間収納から取り出し、テレサにどうぞ勧めた。
「妾は食事はしなくて済むが、食事はあるに越した事は無い。
これはなんと言う食べ物じゃ?」
「これは僕の大好きなシチューだよ。
僕のメイドのアンナに作ってもらったんだ。」
「オヌシの家のメイドか?」
「うん、僕の専属メイドさん」
「オヌシの専属という事は、オヌシは良家の『お坊ちゃん』かの?」
「良い所の家の子って言えばそうなんだろうかな? 僕にそんな自覚は無いけど、今の義理の父さんも母さんも偉い人と言えば偉い人なのかな?一応は貴族だし?・・・
でも、僕が12歳まで生まれ育った場所は、山奥のずっとずっと田舎の、それまた山奥の山村集落だったからね。
王都に来るまで徒歩で20日も掛かる様な田舎の出身だよ、それに僕には本当の両親って余り知らないんだ、だから幼い頃はあんまり贅沢するって事はなかったよ、イヤ贅沢なんて知らなかったかも?
そんなもんで今もこういう質素とは言えないけど、こういう単純な食事が好きかな?」
「妾がダンジョンに囚われる以前に見て来た人種達は、質素倹約が出来る人種は、後々得るものが大きい者が多かったぞ。
まあ妾も200年ばっかししか人種の生活を見て来てはいないが、それでもオヌシよりも多くの人種を見て来た妾が言うのじゃ、間違いは無いと思うぞ、」
「そうなんだ♪ サテラがこのダンジョンに囚われるまで200年は、人種達の中に紛れ込んで生活してたんだよね?」
「いや別に紛れ込んではないぞ。
普通に我らは人種達と交わって生活しとったぞ。」
「そうなの?なんか隠れて生活してたような雰囲気だったから」
「まあ隠れて生活する様になったのは、妾の友と出会ってからかの?」
「で、そのサテラのお友達とはどんな事をしてたの?」
「妾は元々は冒険者として魔物退治を専門に活躍したからな、それが縁で彼奴と出会って、と言っても彼奴は元は『賢者』と呼ばれる程の魔術師だったのだがな、ある日、まあその話しは辞めておこうか、まあ当時の妾は魔物をガンガン狩ってたかの?」
「吸血鬼種って基本スペックが無茶苦茶高いんだろうから、冒険者時代のサテラって高ランク冒険者だったんだろうな〜?」
「今の世間には吸血鬼種は居ないのかのう?」
「吸血鬼種は居ないって事は無いけど、今は吸血鬼と言うよりも、ヴァンパイアって言われてるね。
ヴァンパイア種の人達は結構様々かな?人種とあんまり交流を持たずに生活するバンパイア種の人もいれば、時間が沢山有るあから知識の吸収にのめり込む人、男性女性とも美男美女だから、お金持ちのパトロンを見付けて悠々自適に暮らす人、まあ普通の人種とあまり変わらないってことかな?」
「なんじゃ今の世間では吸血鬼がバンパイアと呼ばれとるのか?しかし自堕落な生活じゃ?もう少しエンジョイした生活を送れば良いのにな〜」
「いやいや、自堕落な生活を送ってるのは、ほんの小数のバンパイアさんだけだよ。
他の人達は普通の人種と変わらない生活をしているよ。
サテラが言う様にデイウォーカーとして、日中も自由に動けるれる人もいれば、やはり日中は外に出ることができない人もいるしね。」
「妾の一族の者達は、皆がデイウォーカーだったのだがな、まあ妾がダンジョンの外に出出れたら、妾の一族の者達がどれだけ生き残ってるか?全然残ってないかでしないか探して旅をするのも一興かの?」
そうなの、自分の一族だって判るの?」
「ああ、我ら一族特有の『血の匂い』と言う物があって、それを嗅ぎ分けれる程の嗅覚が我々吸血鬼には有ってな、それで我らの血族の吸血鬼かが『血の匂い』でわかる。
昔は吸血鬼だと言うことを隠して人の中に紛れ込んで生活していた者も居たからな」
「そうなんだ。」
「ああ人それぞれ、人生、生き方というものがあるからな。
我らはその者の生き方を尊重する。
まだ若いオヌシには、そう言う生き方は未だ判らんだろうな。
そう言う妾も200年程度しか世の中を見てないな。
じゃから大した事は言えんが、それでもオヌシと比べたら、たらだいぶ長生きとるからな」とサテラが少し寂しそうに笑う。




