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マメののんびり冒険記? いやいや、本当にのんびりと過ごしたいんだけど・・・  作者: 八葉門希


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020 ) なんだかんだいろいろ




 マメが、目の前のミノタリウスが完全に動かなくなったのを確認して、エルが1人で2体のミノタリウスを相手取っている様子に視線を向けると、エルは突っ込んで来た1体をシールドバッシュで体勢を崩させて、その隙にもう1体のミノタリウスに刃右手に持った片手剣で攻撃を加えてダメージを蓄積させている。


 見た感じ、エルは余裕で2体のミノタリウスを相手取っている様にも見える。


 で、アールの方はと言うと、冷静になってよく見てみると、多分レア種だろうと思われるミノタリウスを相手に、かなり余裕のある戦い方で、相手の振るう戦斧の軌道を長剣でチョイと横にずらして空振りさせて、ミノタリウスに無駄な体力の消費を強いっている様にも見える。


 まあ、アールもエルも苦戦を強いられてはいない様なので、ちょっと安心する事が出来たのは嬉しいが、アールが突然、疲労が蓄積しているであろうミノタリウスの大振りの斬撃を『ヒョイ!』っと躱すと、ミノタリウスの背後に回って戦斧を空振った勢いでバランスを崩したミノタリウスの腰を、マメの方に向かって蹴って押し出して来た。



 ミノタリウスの方も、空振りした勢いそのままに、見るからに貧弱そうな獲物の前に蹴り出されて、少々戸惑いはした物の、今度はマメに向かって戦斧を振り下ろして来た。


 確かにこの状態で気を抜くのは危険な行為だが、仲間と言うか今はマメの従魔であるアールに、突然ミノタリウスをパスされるとは思わなかったマメの初動が遅れて、どうにかミノタリウスの斬撃に対して剣鉈を合わせる事で、致命傷は避ける事は出来たが、その勢いでマメは左肩を戦斧で切り付けられて重傷を負ってしまった上に、剣鉈も途中からポッキリと折れてしまい、更にマメが一歩後退した場所には、マメが先程討伐したミノタリウスが死体のまま横たわっており、マメはそのミノタリウスの死体に足を取られて尻餅を着いてしまった。



 ミノタリウスは目の前で尻餅を着いている獲物に対して、ゆっくりと近づき、戦斧を振り上げて、そして振り下ろす。



 その時マメは、自分の死を覚悟した。


『ああ・・・ 僕、此処で死んじゃうかも・・・ ミノタリウスに切られた左手は動かないし、剣鉈は折られちゃったし、腰の剣を抜いてももうミノタリウスが振り下ろす戦斧には間に合わないだろうし・・・ 』と一瞬の狭間で考えたが、やはり死の恐怖からは逃れられず、思わず両目を瞑ってしまう。



 しかし、その後にマメを襲って来るであろう衝撃も無い上に、何やら生温い水滴・・・ と言うか?何やら生温いお湯を頭から『タラ〜』っと掛けられている感じがする。


 恐々と薄目を開けると、そこにはマメの空間収納から飛び出した魔鋼杭に、顎下から後頭部に掛けて貫かれ、しかも戦斧を握っていた筈のミノタリウスの右手首が、スッパリと切り落とされてて、その右腕はマメの頭の上に力無くダラリと垂れ下がってた。


 マメがふと左側を見ると、人形の左胸に抱かれたままワタワタと慌てているアールに、アールに操られている人形が立っていた。


 アールが、ミノタリウスが右手に持つ戦斧ごと、ミノタリウスの右手首を切り飛ばしてくれたであろう事は何と無く理解は出来た。


 アールが素早く動いてマメを助けてくれたのも、理解は出来る。


 しかし、感情と、気持ちと、死への恐怖、は別だとも思うし、多分たがアールは『次はコノ獲物をどうぞ!』的な感覚で、レア種であろうミノタリウスをマメにパスしてくれたのだろうし、もしソロでダンジョンに潜っていた場合、マメはコノ階層に着く前に大怪我を負ってダンジョンから逃げ帰っているか?最悪の場合には命を落としていたかも知れない。



 と、色々な感情と思考で頭がグチャグチャになり掛けた時、突然、左肩の傷の激痛がマメを襲って、混乱していた思考を一時中断させて、先ず一番にやらないといけない事に気付かせてくれる。


 先ずは、未だダンジョンに吸収されて無いミノタリウスの下敷になっている状態から、左肩の激痛を我慢して這い出ると、ミノタリウスの血で汚れた全身を『クリーン』の魔法で浄化する。





 クリーン魔法を全身に掛けたのは、大怪我を負った傷口にミノタリウスの血が降り注いでいたからだ、以前、冒険者ギルドの食堂兼居酒屋で臨時の手伝いをしていた時に、




「ようマメ! 今日も元気にしているか? 俺は元気が無いがな!」と、ガハハと笑いながらマメの頭をガシガシと撫でる冒険者、


「どうして元気が無いの?」

「ああ、今朝までちょっとダンジョンに潜っててな! その時にリザード・・・って、マメはリザードって知ってるかい?」

「うん! 女の人達が大好きなバッグが、リザードって言う大きなトカゲの皮で作ってるんだよね?」

「おお、良く知ってたな〜 偉い偉い!」とマメの頭をまたガシガシと撫でる。


 この冒険者は、何かとマメの頭を撫でて来るが、マメはそれが嫌では無かったので、ニコニコして撫でられている。


「うん、ギルドの受付嬢のモモちゃんが『ブルーリザードのバッグが欲しい♪』って、前に一緒にご飯を食べてた時に、他に一緒に居た受付嬢のお姉さん達と話してたから♪」とマメが言った瞬間、周りのテーブルがガタガタと音を立てて、数人の冒険者達がテーブルに数枚の銅貨を叩き着ける様にして席を立つと、我先にとクエストの受付カウンターに走って行った。


 因みに、冒険者ギルドの受付嬢『モモちゃん』とは、羊系獣人のお胸が大きくてホワホワした感じの可愛い受付嬢で、いつも一緒に食事に出掛けると、マメをギュ〜ッと抱きしめて離さない上に、万が一、王都の公衆浴場で会おう物なら、マメを泡だらけにして洗うのが好きな受付嬢だった。


「おっ!マメの話しを聞いてモモのファン達が、ブルーリザードを狩に行った様だが・・・ まあモモの話しは置いといて、とある貴族からの依頼で、そのリザードを狩りに行ったんだけどよ! 悪い事にリザードマン達と遭遇してな、その時にリザードマンの帰り血で、リザードマンの青い血を浴びてしまったんだが、これまた悪い事に、リザードマンが持ってた槍で足を刺されててな、どうもその傷口が化膿してしまった様で、昨日まで高熱を出して数日間も寝込んでたんだ、で、動けるまで回復したから、今日は食堂のおばちゃんが作るスタミナステーキ定食を食べて、更に体力を回復させに来たのさ! と言う事でマメ、俺におばちゃんが作ったスタミナステーキ定食を三人前頼むぜ!」と、豪快に三人前のスタミナステーキ定食を頼む冒険者に向かって、


「兄さん、もう体調は大丈夫なの?」と、のほほんとした声で受付嬢のモモちゃんが声を掛けて来る。



 そう、この冒険者と受付嬢のモモちゃんは兄妹だったのだ、


「でもマメちゃん、本当に兄さんは死に掛けてたんだよ〜 本当はね、魔物の血が傷口に着いたら、クリーン魔法で清潔にするか?聖水で洗い流さないとダメなのよ! でないと、最悪死んじゃった人も居るんだから〜 今回も私がお友達の回復魔法師の子にハイヒールの魔法を掛けてってお願いしなかったら、兄さんは片足を切り落として、その足で教会の司祭様の所に行って、司祭様に金貨100枚を払ってフルハイヒール魔法を掛けて貰わないといけなかったんだから〜 マメちゃんも良〜く覚えててね〜 」

「おいおいモモ、その話しをマメにするなよ〜 俺も悪かったって思ってるんだよ!」

「お母さんが私に『最近、ゴージが家に顔を出さないけど、ゴージはまたダンジョンにでも行ったのかい?』って言うから、気になって兄さんの家に行って見たら、兄さん家の寝室で、兄さんが高熱を出して死にそうになってるんだもん、慌ててリュスカちゃんを強引に連れて来たんだから、本当に感謝してよね!」と、普段はのほほんとしている受付嬢のモモちゃんが、珍しくプリプリと怒っている。


「モモ、そんなに怒るな怒るな、だから感謝の気持ちにスタミナステーキ定食を頼んだんだからよ〜」

「女の子に『スタミナステーキ定食!』って何を考えてるの? まあ食べるけど、この後はスイーツを食べに連れてってね! お兄ちゃん♪」

「あ〜悪い! 女の子にスタミナステーキ定食って無かったか? えっとリュスカちゃんって呼んで良かったかな?」

「はい、リュスカって呼び捨てで、呼んで貰えると嬉しいです・・・」と答える犬系獣人の女の子、


 そのリュスカの様子を見て『あれあれ〜?・・・ ♪』と、モモはマメの頭を無意識に撫でながら、まじまじと友達の顔を見ていた。






 そんな出来事を思い出したマメは、先ずは全身にクリーン魔法を掛けると、空間収納から最上級回復薬を取り出すと、パックリと開いた傷口に振り掛けて、さらに念の為に上級回復薬をもう一本空間収納から取り出すと、一気に飲み干した。


 この最上級回復薬と上級回復薬、いつもマメが冒険者ギルドに薬草を納品している依頼先の、薬師ギルドのお姉さんから『いつも頑張って薬草を採取してくれているお礼だよ!』と言って貰った物だった。


 マメは初めて最上級回復薬を飲んだが、その効果に驚いた。


 いや、実際にはアールとエルに出会った場所で、アスタに飲まされたのが一番最初だけど、その時はマメの意識が無かったからね、



「回復薬って凄い!」と驚きながらも、マメは両足で立ってエルの方に向かって歩き出す。



 だってミノタリウスは2体も残っているのだから、




 まあエルが相手取っていた2体は、意外な程に簡単に倒せた。


 実は、レア種だと思われるミノタリウスをマメが倒した時、軽い目眩に襲われていたのだ、そうレベルアップの際に起きる『目眩』にだ、



 マメが歩み寄って来た事を確認したエルは、アールの様にミノタリウスを蹴り出すのでは無く、ミノタリウスが突進して来るタイミングを計って、シールドでマメの方に優しく誘導してくれたのだ、そのミノタリウスをマメは腰の長剣抜いて袈裟懸けに一閃してしまう。


 まあレベルアップしたからと言って、こんなに簡単にもミノタリウスを一刀両断出来るとは思っていなかったマメは、驚きながらもゆっくりとした足取りで最後のミノタリウスに近付いて行き、ミノタリウスの動きを良く見ながら、そのミノタリウスが手に持つ戦斧での攻撃を躱している。



 エルに翻弄されてかなり疲労が溜まっているとは言え、やはりミノタリウスの攻撃には威力はあったが、さっきよりも余裕を持って対処出来ている。


 それはそうだろう。


 この下の階層に続く階段の有る広間に来るまでは、1〜2体のミノタリウスに対しては対処出来ていたのだ、今回はいっぺんに4体のミノタリウスが出て来たから慌ててパニックに陥っただけだ・・・



 そうか、僕はまだまだ色々と考えて、試行錯誤して、ダンジョンを進まないと・・・


 

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