表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/43

019 ) さがしもの



 冒険者ギルドで購入したEランクダンジョンのマップを頼りに、マメは残りの第11階層を進み、第11階層から第12階層に降りる階段を発見したマメ、


「思っていた以上に、第12階層に降りる階段を探し当てるのに時間が掛かっちゃった〜」とマメは階段の中程まで一気に駆け降りると、一旦立ち止まると後方を振り返る。


 この階段を見付ける事が出来たのは嬉しいが、この階段を発見したのは偶然だった。


 実は、マメは先程までかなりピンチな状況だったのだ、と言うのもこのダンジョンの各階層を繋ぐ階段は、階段が有る場所が一定の間隔で変わってしまうので、地図には階段の位置が最初から記載されていない、したがって冒険者達は自分の足で階層を歩き回って、下の階層に降りる階段を探し当てる必要があるのだったが、今回マメが階段を発見した場所は、ミノタリウスが4体も徘徊している広い空間で、しかも4体いたミノタリウスの内、1体のミノタリウスがどうもレア個体ぽいミノタリウスで、マメの最大攻撃で有る魔鋼製杭の攻撃が一切通用しないのだ、


 しかも、魔鋼製杭が・・・ 面倒なので魔鋼杭と呼ぶ事にするが、このレアだと思うミノタリウスの硬い皮膚に魔鋼杭が阻まれて刺さら無い上に、流石に4体ものミノタリウスが出て来ると、今のマメ達には少々荷が勝ちすぎる様で、アールとエルからジリジリと引き離されて、1体のミノタリウスを相手にして戦っている時に、偶然にも安全地帯だとも言われているこの階段の近くまで吹き飛ばされてしまい、一瞬の機転を聞かせて階段に飛び込んだのだった。


 階段の途中で足を止めたマメは、先程まで必死に戦っていた1体のミノタリウスを階段の下から見上げ、さてどうしたものか?と頭を回らせる。


『僕の今の攻撃方法では、あのレア種のミノタリウスの硬い皮膚には、魔鋼杭は刺さりすらしない、しかも、頭上からの攻撃だと、狙える面積も小さ過ぎる・・・ ならどうすればミノタリウスに僕の攻撃を与える事が出来る?・・・ 』とマメは、今の自分に出来る事を一生懸命に考える。


 幸いマメは階段の中腹に居るが、アールは1人でレア種であろうミノタリウスを相手取り、ミノタリウスがその手に持つ戦斧での力強い振り下ろしの一撃を、アイス叔父さんに打って貰った長剣を上手く使い、戦斧の振り下ろしに剣を合わせてミノタリウスが振り下ろす力に逆らうのでは無く、横に力を流す事で、対等に戦いを維持しているし、今は近衛重騎士モードの時のカイト型大盾を左手に持ち、両肩と背中に同様のカイト型大盾を持った姿ではなく、近衛重騎士の真っ白な鎧をパージして、魔鋼特有の少し蒼みが掛かった鋼色のボディのまで、四角い大盾を左手に持ち、右手には背中に背負った大剣ではなく、約1mぐらいの大鉈に近い形状をした狭い場所や、近接戦闘に適したファルシオンと呼ばれる片手剣で、2体のミノタリウスに対峙している。


 アールとエルは、自分の戦闘スタイルを確立しており、それぞれが得意な戦法で相手と戦いを有利に進めている事に気付く、



『僕の戦い方? 僕に合った戦い方のスタイル・・・ 』と、これまでの自分自身の戦い方を振り返るママメ、


『今の戦い方・・・ 今の僕は相手の頭上に展開した魔法陣から、空間収納で取り出した魔鋼杭をそのまま落下させ、さらに重量魔法で、その魔鋼杭の自重を倍化させて相手の頭上から落とす戦い方をしてる。


 前回、思い付きでこの戦法を為してみたら偶々上手く行った事から、コノ戦法を取って来たが、果たして、コレが僕の戦い方なのだろうか? 確かにコノ戦法は悪くはないと自分でも思ってはいるが、まだまだマメ自身がそこまで重力魔法を上手く扱える訳でも無いし、レベルもダンジョンに入って無い一般市民よりもチョットだけ高い程度だろう。


 しかも今回のEランクダンジョンの攻略が上手く行ってたのも、アールとエルが居たからこそで、2人からの支援がなかったら、多分、未だに第10階層どころか?その手前で行き詰まって立ち往生していたかも知れない。


 これまでのマメの戦い方は、小さい体を上手く活用して相手の懐に飛び込んで、その素早い動きで相手を翻弄しつつ、ダメージを相手に段々と徐々に蓄積させて、相手の動きが完全に止まるまで追い込んでから、最後に相手の急所に一撃を加えて止めを刺す戦い方では無かっただろうか? 前回の初心者向けダンジョンのラスボス部屋に居たミノタウルスに対しても、この小さな体を駆使して、俊敏な動きでボス部屋のミノサウルスを翻弄し、ダメージを蓄積させながら戦ったていたではないか? 』と、この戦い方はマメ本来の戦い方ではない事に気付く、まだマメには魔法を駆使した戦い方は早かったのだ、


『先ずは自分の身の丈に合った戦い方を身につけよう! 

 魔法はエレナ母さんと言う良い先生が居るじゃないか! 

 無事に家に帰ったら、エレナ母さんに魔法を教えて欲しいとお願いする事にして、先ずは自分が得意な戦い方で、目の前のミノタウルスと戦う事に集中するべし!』と気持ちを切り替えると、マメは身を隠していた第12階層に続く階段から飛び出して、目の前に居るミノタウルスに戦いを挑んだ。




 マメを『獲物』として追いかけていたミノタウルスは、この小さな獲物が、突然『穴』の様な所に落ちて、なかなか出て来ない事に対してイライラとした感情を抱いていた。


 ミノタウルスから見れば、この小さな獲物が自分から落ちた?隠れた?穴の中から頭だけをピョコピョコと出して、まるで『自分はココに居るぞ! さあ攻撃出来るものなら攻撃してみろよ!』と、自分を揶揄っている様に感じていたのだった。



 ミノタウルスは手に持っていた戦斧を手放すと、何処からか取り出したのか長い槍で小さな獲物を突いて燻り出そうとしたが、小さな獲物はその槍をヒョイヒョイと簡単に避けてしまう。


 ミノタウルスが怒りと苛つきで、その顔中に血管を浮き上がらせながら怒りの咆哮を上げた時、まるでその咆哮を合図とするかの様に、小さな獲物は自分の横を素早く駆け抜けて背後に回り込んで来た。


 


 一時はパニックになりかけた気持ちをゆっくりと静めたマメは、冷静になって目の前に居るミノタウルスを観察していると、どうも怒りで周りが良く見えてない様な気がして、更にミノタウルスを煽る様な行動を階段の中から取って見ると、案の定、ミノタウルスは顔中に血管を浮き上がらせながら、口からは涎をダラダラと流して怒り狂った様な雄叫びを上げる。


 ミノタウルスが雄叫びを上げた瞬間、マメは階段から低い姿勢で飛び出すと、ミノタウルスが途中で投げ捨てた戦斧を拾い、ミノタウルスの背中に力いっぱいに投げつけた。


 この時マメは気付かなかったが、マメがミノタウルスに向かって投げつけた戦斧が、僅かに煌めいていたのだ、マメがミノタウルスの背中に戦斧を投げ付けた時、マメは魔法陣を発動させる事無く戦斧の自重を増やして、目の前ミノタリウスに文字通り『重い一撃』を加えていたのだ、


 背中に戦斧を投げ付けられた痛みで更に逆上したミノタリウスが、振り向き様に手に持った槍を横殴りに振るうが、マメは姿勢を低くして槍を躱すと、腰に下げている両手剣では無く、エルが今手に持って戦っているファルシオンと似たような片手剣を腰から引き抜き、ガラ空きとなったミノタリウスのお腹を横一文字に切り付ける。



 この片手剣、実際には片手剣では無く、マメが薬草採取の時などに背の高い雑草を刈ったり、木の枝葉が茂った森の中進む時に、邪魔な木の枝を切り払う時に使っている『剣鉈』と呼ばれる『鉈』で、腰に吊った両手剣ではなく、薬草採取に行く時に愛用していた剣鉈を咄嗟に引き抜いてた。


 

 お腹を横一文字に切り裂かれたミノタリウスは、一瞬、体を硬直させると、右手に持っていた槍を落としてしまい、地面に片膝を着いてしまったが、それでも両手を握って高く上げ、まるで『お前なんかに武器は必要無い!』と言いたげに、マメの頭上に向かって両腕を振り下ろそうとして・・・ その高く上げた両腕がダラリと力無く落ち、今度は片膝だけでは無く両膝を着いて、ミノタリウスは動きを止めた。


 ミノタリウスが両腕を高く上げて、無防備になったその胸を晒した瞬間、マメが握りしめていた剣鉈の刃を横に水平にして、ミノタリウスの肋骨の隙間に力一杯に突き刺し『グッ』っと捻ったのだった。



 それでもミノタリウスは力の抜けた腕を持ち上げると、その手をマメの肩に力無く置いて、そのまま背後に仰向けに倒れて、逝った。


 

 

 

誤字脱字、読みにくい箇所等がありましたら教えていただけると嬉しいです。

八葉門希

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ