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マメののんびり冒険記? いやいや、本当にのんびりと過ごしたいんだけど・・・  作者: 八葉門希


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014 ) オムライス



エルの中から這い出て来たイリスが、事の次第の顛末を父であるアッシュダード国王に報告しているあいだ、マメは曾祖父であるバルバドス大王に言われた通りに『澄まし顔』に微笑を湛えたまま、例え内心では緊張で背中に冷たい冷汗が流れていたとしても大人しくしていた。




 さすがアッシュダード国王、イリスが城から連れ出された際の話しを最初は静かに黙って聞いている。


 その様子を盗み見ていたマメは、


『国王様も、内心ではさぞ怒り狂っているんだろうな? でもさすがは一国の国王様だな〜 凄いな〜 家の家族とは大違いだ〜 』と思いながらアッシュダード国王を見て思っていたが・・・


 


「何〜〜〜!あの豚野郎〜〜〜! 俺の可愛いイリスティーナちゃんの、可憐な両足の腱を切って歩けなくさせただと〜!!  セバス! 今すぐに宝物庫から俺の宝剣を取って来るのだ! あの豚野郎を細切れにして、あのSクラスダンジョン名物の『スライム地獄』に、俺が直々に撒いてくれるわ〜〜〜〜!」と先程とは打って変わって、アッシュダード国王がマメの目の前で御乱心なされている・・・


 やはりアッシュダード国王も『人の親』だった。


 イリスは騙されて誘い出された挙句、手足を縛られて大きな樽に詰め込まれて連れて行かれた先は、現国王の従兄弟で公爵家の当主である『豚公爵』ことブリッツファース・フォン・ガラルバラルが所有している別宅だった。

 

 手足を縛られて身動きひとつ出来ない状態で拘束されてブリッツ・・・ いや豚公爵で良いか? 僕もこの豚公爵は好きになれない、だってあの少年冒険者達が所属しているクラウンの影のパトロンだと、この時にギプス父さんから知らされたから・・・




 

 その日、新しく入ったメイド見習いに案内されて、後宮に在る温室を訪れていたイリス、そこで花壇を掘り起こしている作業達を見て不審に思ったので、


「ねえあなた達、この花壇の花々はお母様のお気に入りの花よ! 誰からの指示でこの花壇を掘り起こしているのかしら?」

「へい、姫様、ブリッツ公爵様から『この花壇の花々を掘り起こして、城一番の大輪の花を持って来い。』とのご指示を受けまして」と作業者の一人がそう答えると、突然、後ろからメイド見習いの女に猿轡を噛まされ、イリスが驚いて混乱している隙を突いて、その場に居た作業達が手馴れた感じでイリスの手足を縛ると、花壇用の肥料が入っていたであろう大きな樽の中に、いとも簡単にイリスを閉じ込めて連れ去ってしまったのだった。



 そしてイリスは、自分が連れ出される際に連中が会話していた内容を、覚えていた。

 

「本当に、思ってた以上に簡単に行きましたねバンクスさん、」

「ああ、俺はブリッツ様の指示で警護の厳しいお貴族様の娘だろうが、大商人の娘だろうが、その厳しい警護の目を盗んでお嬢様達を拐かして来たからな!」

「へい、本当に凄いですよバンクスさん」と、その不審者達から聞こえた会話の中で『バンクス』と言う名前が出て来た事を伝えると、



「彼奴の名前がココで繋がったか〜!」とギプス父さんが騒ぎ出す。


 これまで王都で度々起きている『謎の失踪事件』の状況的証拠から、例のクラウンが『何か怪しい』とはギプス達も思って居たのだが、彼らを追い詰める度に何故か?ガラルバラル公爵家の家令が出て来て、


「ギルドマスター殿、この者達は、我が主人であるブリッツファース・フォン・ガラルバラル様の密命を受けて仕事をしている者達です。 こんなつまらぬ程度の事件で、度々ガラルバラル公爵家の家令である私が呼び出されるのは迷惑です。 早々に彼らの解放を!」と凄んで来るのだった。


 当然、冒険者ギルドには犯罪に対しての『逮捕権』は無い、しかし、冒険者が何か事件を起こした時には別だった。


 ギルドマスターの権限で問題を起こした冒険者を拘束して、城の衛兵に突き出せるのだったが、バンクス達が騒ぎを起こして、そのその騒ぎやトラブルが『犯罪』だと認識出来るレベルの騒ぎだと、毎回、この『王都付きの家令』が出て来てバンクス達を連れて行くのだ、しかも当のバンクスは、翌日になると必ずと言っても良いほど平然とした顔をして、冒険者ギルドの食堂兼居酒屋で酒を飲み、ギプスの顔を見付けるとペロリと舌を出して、ニタリと不気味に笑うのだった。


 そんな事もあり、つい先日の『マメの初心者ダンジョン攻略ツアー』の直前に起きた。


『マーク・フォン・メタリアーナ殺人未遂事件』も、ただの『ギプスへの嫌がらせ』の積もりで、まだクラウンに加入して来たばかりで何も知らない少年冒険者達を、バンクスが上手く意識誘導して、マメに対する虐めを軽い気持ちで始める様にちょっと唆したのだった。


 後は何も言わなくても3人の少年冒険者達のマメに対する虐めは段々とエスカレートして行き、最後は部下の男と一緒になってちょっと少年達の背中を押すだけで、後は3人の少年冒険者達の『自主的に行動』に任せれば良いだけだったのだ、


 この話しは、あの日マメを襲った少年冒険者達をエレナの『催眠誘導魔法』で眠らせた上で、彼らから直接聞き出したから間違いは無いだろうとの事、残念だが催眠魔法で聞き出した言葉だけではバンクスを問い詰める事すら出来ず、しかもバンクスはギプスを苦しめる為だけの目的だけでマメを標的にしており、ギプス自身もこの時までマメが陰湿な虐めの標的になって居たなどとは夢にも思って無かったし、その事実を知ってしまって以降は、逆にバンクスに警戒されない為にも、余計な事が出来ない不甲斐なさをギプスは嘆いていたのだった。


 

 この話しは、イリスから誘拐された時の状況を聞いている際に、イリスの口からバンクスの名前が出て来たので、ギプス父さんが話してくれたのだが、それを聞いたバルバドス大王が怒り狂って、


「ギプス! 貴様はいつからそんな腑抜けに成り下がりおったのじゃ! 愛する家族が苦しめられておったと言うのに! なんと不甲斐無い! 」と怒り出し、空間収納からバルバドスが愛用する神話級の大槌を取り出そうとした瞬間、


 バルバドス大王は、エレナ母さんの『魔王でさえ拘束した』と言われている『バインド魔法』で全身を拘束された上に、エレナ母さんの『凍結魔法』で首から下を凍結されてしまった。


「バルバドス大王様、いえお兄様、貴方の弟はとても家族を大切にしている人です。 

 あの日、ギプスは・・・ 私が愛する旦那様は、それはもう大変激怒して、今のお兄様の様に『雷槌』を取り出して王都に引き返そうとするのを、私が諌め、引き留めました。 

 お兄様、良くお考え下さい。 

 あの『豚公爵』が本当の『諸悪の根源』でしょうか? 私には『豚公爵』を陰で操っている者が居ると思えて・・・」とエレナ母さんがバルバドス大王に言っているあいだも、


 バルバドス大王を氷の下で拘束していたバインドか1本2本と千切れ飛び、その都度厚い氷にもピシピシと音を立てて罅が入っていたが、


「ああそうじゃな、エレナの言う通りじゃ、儂等は『為政者』じゃ、王じゃ、先ずは愛する『民』の事、そして『家族』の事じゃ、エレナが言う通りに先ずは『黒幕』の炙り出しからかのう?」とバリバリと音を立てて氷塊の中から這い出て来た。


『えっ!?この大王様、もしかして魔王と言う存在よりも強いとか?・・・』



 その後、イリスの話しも進み、冒頭のアッシュダード国王の『あの豚野郎〜〜〜!』の話しに辿り着くのだが、それまでにバルバドス大王が再び大槌を取り出して暴れ出そうとするハプニングも有りはしたが、最終的ににはバルバドス大王とアッシュダード国王が協力して『豚公爵』を追い詰める事で話が纏まり、アッシュダード国王は、


「私が全責任を持って、あの豚、いえ、私の従兄弟のブリッツファースが犯した全ての悪事を暴き、必ずやあの豚が犯した悪事に相応しい刑罰を課す事を、私、アッシュダードは皆様にお約束させて頂きます。

 また今回は、私の娘であるイリスティーナの窮地を助けて頂き、厚く御礼申し上げます。」と言うと、イリスを連れてバルバドス大王の前に行き、親子揃ってバルバドス大王に向かって深く頭を下げ、次にギプス父さん、エレナ母さん、そして僕にまで深々と頭を下げて感謝の気持ちを現すと、



「マーク君は、ギブス先生の義理の息子さんで、バルバドス大先生の曾孫さんと言う事とでよろしいのでしょうか?」とバルバドス大王の方を見る。


「ああマークは間違い無く儂の曾孫じゃ、まあ儂達にも色々と複雑な事情があっての、儂もマークの存在を知ったのは3年と少し前の事だったのだが、この子は冒険者になりたいと言って、ギプスが居るココの冒険者ギルドに、村出身の少年達に強引に付いて来たらしいのだが、その際に、この子が育った村の村長がこの子に一通の手紙を持たせていた様で、その手紙がこの子の母親が書き残した儂宛の手紙だったのじゃが、その手紙に書かれている事が事実なのかどうか?を調べるのに、少々時間が掛かってしまってのう。

 儂が色々と調べている間、この子の保護を弟に頼んでおったのじゃが、弟がこの子の事をいたく気に入ってしまって、

『もうバカ兄貴の優柔不断には付き合ってはおれん、ひとりで頑張っているあの子が可哀想じゃ!』と言って、儂がこの子の『王族認知宣言』をする前に、弟がこの子のを養子に迎えてしまったのじゃ、

 なので、このマーク・フォン・メタリアーナは間違いなくメタリアーナ王国王族の一員であり、王位継承権第四位の王族で、儂の直系の曾孫じゃ!」とバルバドスはメタリアーナ王国の大王として、ガラルバラル王国のアッシュダード国王に答えた。



 その瞬間、マメちゃんと呼ばれて皆に可愛がられていた一人の冒険者が、ガラルバラル王国で管理している人物名鑑に、メタリアーナ王国の王族であり、現メタリアーナ王国バルバドス・フォン・メタリアーナ大王の直系の曾孫で、王位継承権第四位のマーク・フォン・メタリアーナと名前が記されたのだった。




「まあこの事に関しては色々と深い理由等が有ったのだが、マークに対しては、この後帰ってからゆっくりと話をするが、儂の曾孫ということには間違いは無いぞ!」と、先程迄の威厳に満ちた話し方では無く、かなり砕けた喋り方でバルバドスがアッシュに話し掛けると、


「まあ私もギプス先生からご相談を受けていましたし、しかも王族の血筋の確認とその他諸々の検証でしたか? で、これはメタリアーナ王国では、もう公表されている事なのでしょうか?」

「いや、この事は儂が国本に帰ってから正式に公表する。 まあそれ迄は余り言い触らわさないでくれると助かる。」

「ではその様に。」とアッシュが側に控えていた一人の書記官をチラリと見ると、その書記官は黙って頭を下げて頷く。




「では、これよりは『大人同士の話し合い』と言う事で、マーク君、それとも娘と同じ様に親しみを込めてマメ君と呼んだ方が良いかな?」

「出来ればですが、冒険者ギルドの皆さん達からは、マークでは無く、マメと呼ばれていますし、今では逆に改めて本名のマークと呼ばれると、ちょっと気恥ずかしかったりしますので、出来ましたらマメと呼んで下さいます様お願いアッシュダード国王様」

「じゃあ私はマメ君と呼ばせてもらおう。 それと、公式の場は別だけれど、非公式の場は、娘と話しをする時と同じ様にもう少し砕けた口調で大丈夫だよ、呼び方も先生達と同じ様に『アッシュ』で良いからね、 さてここからは大人たちの難しい話になると思うから、君たちは別室でゆっくりと過ごしてもらっていても良いし、マメ君には城から護衛を付けるから先に帰っても良いけど?」と言われたが、


「ちょっと待って父様、私、出来ればマメちゃんともう少しお話がしたいわ、せっかく同じ王族のお友達が出来たのですもの、それにちょうどお夕食の時間じゃない? 私、マメちゃんが料理がとてもお上手なのを、魔法の練習の合間にエレナ先生から聞いて知ってて、一度で良いからマメちゃんが作と言う『オムライス』と言う料理を食べてみたいと思っていたのです。 ダメかしらマメちゃん?」と言う事で、


 厨房に案内してもらい、マメが厨房でオムライスを作る間に、イリスは湯浴みをして身支度を整えると言うことになった。



 まあ先程までの話のすり合わせは、今回のイリスの誘拐に関する話のすり合わせだったが、改めて大人達は今回の事件だけでは無く、色々と用意周到に張り巡らされた根深い陰謀に関係する話のすり合わせに入った様で、事はこの国の一部の上級貴族達と『商人と元傭兵が作った国』が大きく絡む陰謀に関する話だった。


 そして本来ならば、この話は2日後に各自が持っている情報のすり合わせ等をする予定だったのだ、


そしてマメは、大人達が議論している『難しい話し』を他所に、マメが作ったオムライスをイリスと一緒に食べていた。




誤字脱字、読みにくい箇所等が有れば、知らせて頂ければ幸いです。

八葉門希

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