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マメののんびり冒険記? いやいや、本当にのんびりと過ごしたいんだけど・・・  作者: 八葉門希


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012 ) 出かける準備は




「マーク、そこの重戦士の格好をしたリビングアーマーは、お前さんの従魔だそうだが、ちょっと儂がこのリビングアーマーの装甲に手を加えても良いかな?」とハイドワーフの男性がマメに問い掛けて来た。


 マメは状況が飲み込めないながらも『このハイドワーフの男性は、僕が嫌がる事は無闇にはしないだろう。』と妙な信頼感が有ったので、素直にハイと頷いた。


「そうか?では今度はお前さんの従魔の化粧直しだな!」と言うと、ハイドワーフの男性は再び空間収納からエルと同等サイズで、しかもマメは一度しか見た事が無いが、まるで王族などの近衛騎士か?教会の聖騎士の様な豪華な姿をした鎧を取り出すと、その鎧をどんどんと分解し始めた。


 更に、コノ部分は使わないと判断したであろう素材は、錬金術で一纏めのインゴットの塊にしたと思ったら、エルの鎧の表面に錬金術で纏わせつつ、各関節の可動領域を変える事も無く、まるで取り出した鎧の余った素材で作ったインゴットの膜が、エルの鎧全体を包むかの様に伸びていき、それまでは少し青みがかった魔鋼特有の色をしていたエルのボディーが、純白のボディーへと変わって行く。


 エルの鎧が真っ白な鎧姿に変わると、今度は空間収納から別の金色のインゴットを取り出すと、エルの鎧の縁取りをその金色のインゴットで装飾し始める。



 その姿はまるで、マメが幼い頃に何度も何度も『もう顔も思い出す事が出来ない実の母親』に読んで聴かせて欲しいと強請った。


 あの絵本に出て来るとある瞬間の絵によく似ていて、その絵は『聖戦士として集う騎士達』だと母が教えてくれたのを、不意に思い出していた。



 マメは、エルの鎧を『王族や大貴族の近衛騎士や、ましては神話に出て来る言伝えの聖戦士達』の様な姿に作り変えても大丈夫なのか?と心配して、エルの装飾を嬉々として施しているハイドワーフの男性に恐る恐る話し掛けた。


「あの〜、今、コレからイリスを家に送って行く為の準備のひとつとしてエルの鎧を装飾しているんですよね?」

「ああそうじゃよマーク?」

「いや、今から貴族様の御屋敷に行くのに、こんな王族や大貴族が引き連れている様な近衛騎士達の格好をエルにさせて大丈夫なのかな?って思って、しかも僕が見た事がある貴族の近衛騎士の鎧より、今のエルの姿がなんか神々しくて、僕が好きだった絵本に出て来る挿絵の『聖戦士として集う騎士達』に出て来る聖騎士様に似てると思って・・・ ちょっと心配です。」

「何も心配せんでも良いマーク、それでその絵本とは?」

「もう余り記憶には残っては無いけど、僕が未だ幼なかった頃に母にねだって良く読んで貰った『神々と魔王』と言う絵本です。」とマメは答えた。


「ああ『その絵本は』儂も大好きじゃよ!」とハイドワーフの男性は答えたが、何故かその声は少し悲しそうな声音にマメには聞こえた。


 まあその反動からなのか?エルの鎧は更に『聖騎士』の鎧ぽく・・・ イヤ、あの挿絵に描かれていた『聖戦士』よりも本格的に『聖戦士仕様』の重戦士・・・ いや『重聖戦士仕様装備』となったエルの姿が・・・


 まあこのエルの姿はギプスも舌を巻いていたが『まあ兄貴が良いと言うのだ』と言ってマメを納得させていた。


 それからまた時間が経過した事もあり、イリスの事を気にしたマメが、


「ねえギプス父さん、エルの鎧を魔改造し始めてかなり時間が経ったけど、イリスの事は大丈夫なの?」とマメがギプスに聞いていたが、


「良いかマーク、物事には全てに対して『良いタイミングと、悪いタイミング』があるのじゃ、今は良いタイミングを掴む為の『待ちの時』じゃ、まあ経験豊かな儂に任せとけ!」とエルの新しい鎧姿に何やら魔法陣の紋様を施していたハイドワーフの男性が、マメの瞳を覗き込んで魂に刻むかのごとくいう。


 

 そしておもむろに空間収納に手を突っ込むと、マメに向かってニヤリと笑う。


 彼がその空間収納から取り出したのは、マメでさえ『もしかしたら神話クラス?』と思う程の大槌に大剣、それに特大のカイト型と呼ばれる大盾が4枚・・・ しかし、ハイドワーフの男性は少し困惑した様子で、



「なあギプス・・・」

「何だい兄貴?」

「ここのギルドには『極み』級の『空間魔術師』と『重力魔術師』はおらんか?」

「いや、この王国中を探しても『極み』級の魔術師を使える魔術師は少ないぞ! エレナも確かに『極み』級の魔術師ではあるし、空間魔法も重力魔法もこの王国に住むどの魔術師達よりも上手く使うだろうよ、しかしエレナは『水魔法』系の魔術師で特性は『氷』だぞ、本来の『極み』級の『空間魔術師』と『重力魔術師』には、どう足掻いても実力は数段落ちるじゃろう。 兄貴の希望には添えそうも無いな!」

「う〜ん・・・ 儂の近衛が浮遊盾も装備しとらんとは・・・ 少々締まらん・・・ 」


 そのハイドワーフの男性の言葉を聞いたマメが、



「あの〜、この前の初心者ダンジョンを攻略した時に出て来た『金の宝箱』に入っていた魔導書だけど・・・ 確か頭にそれぞれ『極み』って書いてあったハズだけど?」と言い、最近習得する事が出来た空間収納・・・ マメ自身は良く知らなかったのだが、マメの収納魔法は『空間収納』では無く『亜空間収納』なのであった。


 その亜空間収納から2冊の魔導書を取り出して見せたが、肝心な事にマメ以外の人物にはどんな理屈なのか?は解らないが、魔導書に記された『金文字』は愚か、魔導書の内容も一切読めもしなければ、文字の判別すら出来ないのだった。



 マメが初心者ダンジョンで得た魔導書は、確かに真っ黒な黒表紙に金文字で何かが書かれている魔導書が2冊と、同じく黒表紙に赤字で文字が書かれているとは認識する事が出来るスキルブックだったが・・・




「マーク、試しにちょっとこの大楯に『グラビティ魔法』を掛けてみてくれ」とハイドワーフの男性に言われるままに、初めて『グラビティ魔法』を行使しようとすると、不思議な事にグラビティと呼ばれる魔法を発動させようと意識すると、マメの頭の中に『重力魔法の理り』の様な事を説明するかの様な声が聞こえたと思うと、目の前にある特大のカイト型と呼ばれる盾の表面に魔法陣が一瞬浮かび、そして静かに大楯に吸収されるかの様に消えて行く、この現象はハイドワーフの男性も『極み』級の『重力魔術師』に依頼して何度か装備に重力魔法を施して貰ったので、見知った現象ではあったが、ギプスは別としてエレナとイリスは『ハッ?』と目の前で起きた現象が信じられなかったのか?口を大きく開いてその口元に両手を当てたまま固まってしまった。


 そして再起動したエレナが最初に特大の大楯に手を伸ばして持ち上げると、まるで鳥の羽を持ち上げたかの様に軽々と持ち上げる。


 エレナに続いてイリスも特大の大楯を軽々と持ち上げてしまう。



 

 その特大のカイト型大楯は、その自重だけでも約70~80キロ近い重さがあるのだ、それを自分の目の前で2人の女性、しかももう一人は年端も行かぬ未だあどけさが残る少女が軽々と持ち上げてしまったのだ、筋力強化魔法が使えてオーガすら片手で殴り飛ばすエレナは別としても・・・



 何故か?背中に寒気を感じたハイドワーフの男性は、大楯を低い位置に水平に持ち上げると、


「ではマーク、ココにコノ大楯を『空間魔法』で固定してみてくれないか?」

「あらマメちゃん、間違えて義兄さんの腕をいっしに固定しちゃても大丈夫よ〜」とエレナ母さんが何故か怖い事を言っていたが、先程と同じ様に大楯の表面に魔法陣が展開され、そして静かに大楯に吸収されるかの様に消えて行く、そしてハイドワーフの男性が恐る恐るその手を離すと、大楯は静かにその場に留まっていた。


 しかも、ハイドワーフの男性が静かに片足乗せてもその場からピクリとも動く気配も無いし、両足で乗ってその場で飛び跳ねても大楯はその場で不動のままだった。


 それを面白がって全員で乗ってみたが、やはり大楯はその場に浮いたままだ、今度はマメに空間固定の魔法を一度解除させてから、その大楯を垂直にして再固定させると、一瞬で全身に筋肉強化魔法を掛けて大楯を殴りつけた。


 ハイドワーフの男性が全身に強化魔法を掛けた瞬間、ギプスはエレナとマメに『空間隔壁』と短く叫んでいた。


 もしギプスが少しでも叫ぶのが遅れていたら、このギルドマスターの執務室どころか?この冒険者ギルド自体が崩壊したかも知れなかった・・・


 そんな強烈な一撃を放った本人は兎も角、さすがのギプスもエレナさえもマメの『空間固定』の威力に驚きを隠せなかった。



 で、もう一人のイリスはと言うと、ハイドワーフの男性がマメの『空間魔法』で空中に固定された大楯に向かって放った強烈な一撃の余波を受けた影響か?咄嗟にマメに抱きしめられた所為なのか?は判然としないが、マメの腕の中で『キュ〜』と目を回していて気絶してしまった様で、マメは慌てて気絶したイリスが倒れない様にそのまま抱き抱えていたが、その様子を見て大人達はニマニマとした笑顔で笑っていたが、急にギプス父さんが真顔になると、



「マメ、いやマーク・メタリアーナ、王都ガラルの冒険者ギルドのギルドマスターとして、鑑定証書に記載されている内容の開示を要請する。 もし開示してくれるのなら『教会で黙秘』の契約もしよう。」


 まあギプスはマメに対して、教会で鑑定して来た結果を見せて欲しいが、その事に関してマメに強制する気は無いが、もし鑑定結果を見せてくれるなら、今から教会に行って『黙秘』の契約を『神様』と約束して来ても良いぞと、暗に言っているのだ、そしてエレナ母さんも『サブギルドマスターとして私も』と言っているし、ハイドワーフの男性もイリスも同様に頷いている。



しかも真顔だったギプス父さんが表情を戻して、



「まあ大丈夫だ心配するな! 何も悪い様にはならんよ!」と言うのでマメは、今日、教会で鑑定して貰った重力魔法等に関する事項などが書かれている証書を、ギブスの目の前に差し出すと、ギプスが受け取った証書をエレナもハイワーフの男性も、そしてイリスまでもが興味津々で覗き込んだが、その鑑定証書に記載されている文字を目で追っていたイリスは、とある箇所で瞳を大きく見開き、口を大の字に開けて、その口を両手で慌てて抑えたが、ハイドワーフの男性は、




「まあこれだけ使えれば充分じゃろ?」とハイドワーフの男性はさも何でもない様に言っていたが、イリスは『コレは他人が興味半分で観てしまっては良く無い物だ』と今更に後悔していたし、ギプス父さんとエレナ母さんは、



「マメ、今夜事が済んだ後、ちょっとこの件について、色々とわしら家族で話し合おう。」

「そうね・・・ マメちゃんの今の鑑定結果を観るに、このままマメちゃんが何も知らないまま魔法を使い続けたとしたら・・・ ちょっと困った事になりそうね」とエレナ母さんさえ真剣な表情でマメに言う。


 それに対してマメも素直に『コクン』と頷き返した。


 だってマメ自身が鑑定してもらった結果が書いてある『鑑定証書』の内容には困惑しているし、『大騒ぎになるから他人には見せないように』と教会の司祭様から言われていたのだ。


 そしてもし司祭様が言ったような事態が起こるなら、その前にマメが最も信頼しているギプス父さんとエレナ母さんに相談しようと思っていたのだ、ただ、鑑定証書のスキル欄を最後まで読んでいたハイドワーフの男性は、とある項目に注目するとギブスの肩を叩いて、その項目を『そのスキル名を指差した』と同時に、スキル名を確認したギブスはガハハハハと大笑いし出した。


 そこには『スキル無限習得』と書かれており、そして1番最後には『スキル器用貧乏』と書いてあった。




 まぁ早い話、この鑑定結果を書いたのがスキルの神様だとしたら、マメに『沢山のスキルを与えたがまあ気にするな』と伝えたかったのであろう。


『スキル器用貧乏』とは、一般的には使い物にならない人物の事を言っている場合もあるが、見方を変えると何事に対しても要領良く柔軟な対応ができ、好奇心旺盛で周囲から頼られやすく様々な仕事を熟せる事も多く、人間関係で悩むことも少ない、また好奇心が旺盛な事が原因で執着心が薄いのか?飽きっぽいのか?物欲などの欲望に対しても淡白で、少しの幸せてすぐに満足できてしまうので競争心を持ちにくい人物だとも言えるのだ、ギプス父さんと一緒に大笑いしていたハイドワーフの男性は、



「さあ先程迄の作業を続けようか? マークの『空間魔法』と『重力魔法』の特性は先程の検証で良く分かったからな! 先ずはこの大楯を鎧の背中のこの位置でココに『空間魔法』で固定してくれ、そうそう鎧と大楯の隙間は儂が入る余裕がある間隔で頼むぞ! ああ儂まで一緒に固定するなよ?」と言ってその場笑いを誘うハイドワーフの男性、



そしてエルの背中に特大のカイト型大盾が上手く固定出来ると、2つの大楯は左右の肩と肘を支点として腕の動きに合わせて大楯の位置も動くように固定、そしてエル本来の動きを阻害して無いかと各関節部分の可動領域の動き具合を確かめた後は、


マメの身だしなみの再確認とハイドワーフの男性の着替えを済ませ、ギプス父さんもエレナ母さんも身支度を整え終わった頃、先ほど事務室に突然と姿を表したメイドのアンナが、ハイドワーフの男性を迎えに来た。


 ギルドマスターの執務室の重厚な扉を『コンコンコン』と3度ノックして入室して、ギプス父さんの『誰か?』とのすいかする声に、静かに、しかし全員にはっきりと聴こえる声で彼女は答えた。



「大王様及び皆様方、万事御出立の準備が整いました。」と・・・




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