表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
マメののんびり冒険記? いやいや、本当にのんびりと過ごしたいんだけど・・・  作者: 八葉門希


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/44

010 ) 今度はギプスが驚いた



何やらギルドマスターの執務室の中からドタバタガサゴソと慌てている気配を感じたが、少しすると、その気配も静まり『入っていいぞ!』とギルドマスターらしい威厳のある声が聞こえた。


 マメにウィンクをしてその場を立ち去るマリエを見送ると、マメは再びギルドマスターの執務室のドアを『コンコンコン』と3度叩いてから、ユックリとギルドマスターの執務室の重く重厚な扉を押し開け執務室の中へと入っていった。


「マメ、急用とは何んじゃ?」とギプスに仕事用の真面目な顔で用件を聞かれたが、何かソワソワしている様子は見て取れた。


 ギプスが面談していたのはギプスに雰囲気が良く似たドワーフの男性で、エレナ母さんも多分だけどサブギルドマスターとして話しに参加していたのだろう。


 しかしギブスと少し違うのは、そのドワーフの男性の体の大きさだった。


ギプスよりも一回り大きくかんじる。


 ギプスに『まあココに座れ』と言われて大人しくソファーに腰掛けると少し足が床から浮いてしまう。



「ギルドマスター、出来れば誰もいないところで、二人っきりで話がしたいんですけど・・・」

「なんだマメ内緒話か?」

「内緒話か?と言えば内緒話になるとは思うのですけど、どうも知らない人が極力少ない方が良いみたいなんで・・・」

「心配するなマメや、ココに居るのはエレナと私が最も信頼している人物の3人しかいない。だから安心して話せ。」


 しばらく考えたマメだったが、マメの後ろに立つエルを振り返り、エルの胸部装甲をコンコンと叩くと、エルは自分の胸部装甲を取り外し始めた。



 エルが鎧の胸部装甲を取り外すと、マメが冒険者ギルドに向かって歩いてる最中に、マメに声を掛けて来た少女がエルの鎧の中に居た。


 ギプスはその少女の事を見知っていたのであろう、酷く驚いた顔はしていたが、マメから詳しく話しを聞いてからだと判断した様だった。


 また少女もギプスの事を名指しで指名していたので、お互いに面識はあったんだろうとマメは思う。


 しかしギブスの対面に座っていた大きなドワーフの男性・・・


 多分だがこのドワーフの男性は、ハイドワーフではないかとマメは思っている。


 このハイドワーフの男性もこの少女の事は知っていたのか?お互いに目で挨拶をしあうに留めていた様子だった。


「マメ、この方と何処で出会ったんだ?」

「教会からの依頼帰りですギルドマスター 」とマメが答えると、ギプスはエレナに支えて貰いながらエルの鎧の中から出てきた少女へと視線を向ける。


視線を向けられた少女は『コクン』とギプスに頷いて見せた。


 エレナ母さんが少女と何か話し始めると、ギブスは対面に座っていたハーフワーフの男性に顎を『クイ』っと上げと『コッチに来い』と言うジェスチャーをして、2人してギルドマスターの執務室を出ていく。



 エレナが執務室に備え付けてある小さな台所で湯を沸かすと、いい香りがする紅茶をマメとマメが連れて来た少女の前に置く、紅茶のお供はマメが好きなジャムが乗ったクッキーだった。




 そして『誘拐』されたと言う怖い体験をした少女の張り詰めていた緊張感も、温かい紅茶と甘いクッキーを口にして多少は溶けて来た頃、さも他愛も無い会話の様にエレナ母さんがマメに爆弾を投げて来た。


「そういえば今日は教会のクエストを受けたついでに、鑑定をして貰って来たのよね?その結果はどうだったの?」

「イヤ・・・ アハハハハハ、ギプス父さん達遅いね〜 エレナ母さん、遅くなる様なら僕は先に家へ帰っておこうかな〜?」

「あら?マメちゃんはお母さんに隠し事をするの〜? 楽しい事やお祝い事は家族で共有しなきゃ『家族』とは言わないのよ〜!』といつもの様にマメをイジる。


 実はエレナさん、マメが約3年前に冒険者ギルドに初めて姿を現して以降、何かと良く面倒を見ており、マメが可愛くて仕方がなかったりする。



「もし、私がギプスと結婚して子供が出来たら、あのマメちゃんの様な子供が欲しいわ〜!」と冒険者ギルドの受付嬢や、若手の女性冒険者達と『女子会』と称する飲み会を開催する度に、酒が入ると良くそう言っていたのだ、少女はエレナが目の前の少年に対して自分の事を『お母さん』と言った事に対して、戸惑いを隠せないでいた。


「先生、ちょっとお伺いしても宜しいでしょうか?」

「あら何かしらイリス?」

「この少年は先生の御子息様なのですか? 私、先生がココのギルドマスターであるギプス様と御結婚されたのは知っていましたが、お子様までいらしたとは知りませんでした・・・」と少女はマメとエレナの会話を聴いて少し困惑している様子だった。


 という事は、エレナもこの少女の事は知っているのだろうか?と、エレナ母さんの横顔を伺うと。



「そうねマメちゃんは彼女の事は知らなかったわよね? 紹介するわ、この子はとある貴族家の御令嬢で、私が魔法を教えている生徒の一人で名前はイリスよ。 イリス、この子が前に話した事があると思うけど、私の可愛いマメちゃんよ!」とイリスと呼んだ少女をマメに紹介した。


 するとイリスは座っていたソファー立ち上がると、マメに向かってスカートの裾を広げて優雅に頭を下げると、


「私は、エレナ先生に魔法を教えてもらっている生徒の一人で、イリスって言います。マメちゃん、いえ、マークさんのお話は良く先生から聞いています。 今日、マークさんにお会い出来た事に対して私は神様にとても感謝しています。 私はあの場所であなたに会うことがなかったら、今頃は言葉に表せないような酷い仕打ちを彼らから受けていたでしょう。 本当に感謝いたします。 ありがとう。」と優雅に礼をしながらイリスはマメに感謝の言葉を述べる。


 それに対してマメは、


「僕はマークです。 仲良くしてくれている方達には『マメちゃん』と呼ばれてます。 もしイリスさんさえ良ければマメちゃんと呼んでください。 実はマークとは余り呼ばれ慣れていないので、そしてあなたを鎧の中に隠してここまで運んでくれたのは、僕の従魔の1人でエルといいます」とエルの事をイリスに紹介すると、エルはイリス対して古い時代の騎士が取っていた形式で、右手を左胸の心臓の上に添え、優雅に礼の姿勢を取って挨拶をした。


 その様子を見ていたエレナが、


「マメちゃん、イリス、私ちょっと用事が出来たから、少しの間だけど席を外しても良いかしら? 紅茶とお菓子は全て2人で食べて貰っても構わないわ。」とエレナ母さんまでギルドマスターの執務室を退出していった。



 ギルドマスターの執務室に残されたマメとイリス、しかしイリスの社交性が高いのか?マメの腕を取ってブンブンと振りながら、先程の貴族令嬢のような話し方ではなく、テンションを高くして、


「マークさん、今日は本当にありがとう。 私、あのままだったら本当に物凄い恥ずかしめを受けるだけでなく、遠い遠い他国に売り飛ばされていたかもしれないわ。 無事にギブスおじさまとエレナ先生の顔を見る事が出来た時には、私がどれだけほっとしたと思う? この大きな鎧の騎士様の中に入っていた間、ず〜っと怖かった気持ちと、安心した気持ちで複雑な気持ちだったのよ! そうそう、さっき聞こえてた教会の帰りっていうのは鑑定をしてもらった帰りだったの?」

「うん、エレナ母さんも言ってだけど、今日はギルドからのクエストで、教会から外壁の修復と教会の敷地の掃除の依頼を受けたんだ、で、その次いでに鑑定を司祭様にお願いして観て貰ったんだ、それと、君も僕の事は『マメ』って呼んでくれると嬉しいかな?」

「ええ、じゃあ私も普段呼びは『マメちゃん』って呼ばせて貰うわ、じゃあマメちゃん、私の事も『イリス』って気軽に呼んでくださいね。 そうそう、先程の話に戻るけど、マメちゃんは教会で鑑定をして貰って来たのよね?」

「うん、そうだよ、ついこの前ここのギルドマスターでもあるギブス父さんと、エレナ母さんと、4兄弟のおじさん達、そしてクラウン『雷槌』の探索部に所属しているアスタさん達と一緒に、初心者用ダンジョンへ行ってきたんだけど、その時ちょっと色々とあってレベルアップしたんだ。 だからどれだけレベルアップしたかを知る為に教会での依頼を受けるついでに、僕の鑑定をして貰って、その帰り道にイリスと出会ったんだ、しかし本当に今回は怖い思いをしたね、あそこでイリスを探していた冒険者達の中には、毎回、僕の顔を見たら絡んでくる嫌な奴がいて、結構僕も嫌な思いをささられてたんだ。 だからイリスもあの連中にはきっと嫌な思いをさせられたんだね。」

「ええ、今度会ったら、ボッコボコのギッタギタにしてやるんだから! マメちゃん、ちょっと気になったんだけど、めちゃんて今は冒険者として活動してるの?」

「うん、正式に冒険者として活動を始めたのは、つい最近だけど、その前の3年間は冒険者見として色々なクエストをこなしてきたよ。」

「そうなんだ、じゃあマメちゃんは学校には行かないの? 私はこの9月から学校に通うのマメちゃんも一緒に学校に通えたら良いのになぁ〜」とイリスは言う。



イリスが言う学校とは、貴族の子供や大富豪の子供か?商売で成功した商人達の子供達が通っている場所で、貴族や金持ちの子供達に様々な事を教えている場所だと言うのはマメも知っていたし、マメに冒険者ギルドで魔法を教えてくれるあのぬいぐるみ人形をマメにねだったマーサちゃんのお父さんも『マメ君は学校には興味はないのかい?多分だけど、マメ君なら学校に入学できる資格も能力もあると思うよ。』などと言っていたのを思い出す。


 学校か・・・ とマメは思う。


 

 そしてイリスはマメに色々な事を聞いて来た。


 特に冒険者としての生活である。


 まぁマメにとっては日常生活なのだが、貴族であるイリスにとってみれば、自分が住んでいる世界とは全く別世界の話しなのだ、やはり興味津々なのだろうと思い、冒険者見習いになりたての頃の話し、王都の各地区から頼まれた溝掃除、王都にある公衆浴場の掃除の話し、また迷子の猫を探した話しに、おじいさんに頼まれて『ある物』を取りに行った場所には、とんでもない物(どんな『とんでもない物』なのかは内緒)が沢山あった話や、森に薬草を採取しに出始めた頃に出会った『森の小人』の話し、そして、森の小人に案内されて出会った朽ちかけた2体のリビングアーマー、無論アールとエルの話しをイリナは楽しそうに聞いていた。


「わぁ〜、私も一度体験してみたいわ! でも学校に通い始めたら『レベル上げ』とコノ世界の厳しさを知る為に、マメちゃんが言っていた『初心者ダンジョン』にも行くと言うカリキュラムもあったと思うわ。 その時にはマメちゃんが色々と教えてくれたら楽しそうだなぁ〜」とイリスが言っていた。



 そんなたわいもない話を2人でしていると、イリスのどこか緊張していた表情がかなり和らいできたと思う。


 きっとマメが想像しているよりも怖い思いをして、寂しい思いをしていたんだと思う。


 コレまでマメは、アノ3人の少年冒険者達に揶揄われて虐められても気にしない様にしていたが、何故かイリスが彼らに酷い目にあったことに対して憤りを感じていた。

 

 そんな話をしながら、エレナ母さんが用意してくれたお菓子を2人であらかた食べ尽くした頃、コンコンとギルドマスターの執務室のドアがノックされて、まるでエレナ母さんに先導をされるかのようにギプスと、ハイドワーフであるだろう男の人が入ってきた。   



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ