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二十歳な私たちの三角関係について(全11話完結)  作者: あおあん


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10/11

10,好きな気持ちを伝えるのって難しい②

 秋田さんに言えた。

 恋愛経験のない自分にとって、この感情は取扱いに困った。


 認めたくはないけど、一番参考になったのは、たっくんの配信で見た「言えばいーじゃん。よければ上手くいくし、じゃなければダメなものはダメなんだから」だった。


 経験値というのは、経験しなければ磨かれない。


 秋田さんは困ってたように見えたけど、あれでよかったのだろうか。


「福岡、会議始まるぞ?」

「あ、そうですね」

「どうしたんだ?具合でも悪いのか?」

「はい、少し」


 告白しようと決めてから、参考文献を読んだり、動画を見たりしたけど、まとめることが難しくて動画のコンテンツにならなかった。


 毎日更新記録が止まり、同時にルーティンもやったり、やらなくなったり……もう、ルーティンとは呼べないかもな。


「帰っていいぞ」

「え?」

「有休、余ってんだろ?」

「はい」

「家帰って、休め」

「では、お言葉に甘えて」


 病気でもないのに仕事を休むなんて気が引けたが、まるっきりの仮病と言うわけでもない。

 集中しないで業務をこなせば、ミスも出るだろうから、合理的で積極的な休養ということにしよう。


 家に帰って、パソコンを開くと、DMが来ていた。

 たっくんから、コラボの件で話したい、という内容だった。

 僕が秋田さんにばらしたことを、怒っているのだろうか。

 とりあえず、土曜の午前中に会うことになった。




 △△△




 プライベートでファミレスに来たのは始めてだ。


 店内に入ったら声をかけますって言われたけど、そもそも僕の顔は知らないはずだ。どうやって?


「いらっしゃいませ、一名様でよろしいですか?」

「いえ、待ち合わせを……」

「匠先生!こっちっす」


 知らない人が手招きしている。


「あの、たっくんは?」

「あ、チャンネル運用してるの基本、俺なんで」

「はあ」

「たっくんは茜っちにフラレてべこべこに凹んでるんで」

「……」


 付き合ってたのか?考えもしなかった。


「で、実は、今日、コラボの話じゃなくて、茜っちのこと聞きに来ました」

「はあ?」

「怒んないで、まじで、深刻なんだよ。おごるから、話聞かせてくださいっ」


 テーブルに手を付いて頭を下げている。


「あなたは?」

「俺は、勇太って申します」

「はあ」

「ドリンクバーでいいっすか?」

「まあ」


 とりあえず、カフェラテを入れてきた。


「秋田さんのお話って?」

「あの、匠先生は茜っちのインターン先にいたって本当っすか?」

「はい」

「茜っちは匠先生のファンなんだけど、ホントに好きなのはたっくんなんだよ」

「そうですか」

「だから匠先生からも、たっくんのこと押してやってくんない?」


 何言ってんの?この人。


「お断りします」

「なんで?茜っちと匠、じゃなくて、たっくんの幸せがかかってんだよ?」


 僕の幸せもかかってます。


「職場に私情を持ち込みたくありません」

「おかたっ!いじわる言わないで、協力してくれよ」


 両手を合わせて拝まれた。


「秋田さんが決めることだと思います」

「そりゃ、そーなんだけど。モテチャンの匠は本当の姿じゃないんだよ。俺がプロデュースしてるっていうかさ……素はもっとフツーにいい奴なんだよ」

「そうですか」


 こんな大学生が、就職した先で、大卒ってだけで俺より高い給料を貰うのかと思ったら、腹立たしかった。


「失礼していいですか?」

「え、まっ……」

「ごちそうさまでした」




 無駄な時間を過ごしたな、と思ったが、無性に動画を撮りたくなってきた。

 あんな、頭が空っぽのような人が作った台本を、芸能人みたいに見た目のいい人に読ませるだけで、10万人登録を成している。僕の方が時間をかけた内容を発信しても1万人、これが事実だ。秋田さんは100万人登録いてもおかしくないって言ってくれた。あんなチャンネルに負けてたまるか。




 △△△




 月曜の朝。

 秋田さんとどんな顔をして会えばいいのだろう。


 狂ってしまったルーティンのリズムを必死で取り戻した。

 始業の50分前に出社。


「福岡さん、おはようございます」

「秋田さん、おはようございます」


 何も変わらない。普通だ。


「今、少しいいですか?」


 秋田さんが緊張気味に話している。


「はい」

「お付き合いの話、すみません。今は、ちょっと誰とも……」


 たっくんと寄りを戻したのかな。


「もしかして秋田さん、彼氏とかいたりします?」

「え、いません、けど」


 やっぱり別れたのかな。


「そうですか。ちゃんと断ってくれてありがとうございました。仕事で気まずいのは嫌なので、これまで通り接していただけますか?勝手なお願いで、すみませんが」

「分かりました」


 こういう時、忙しいと言うのは有難い。

 右から左に処理した書類を流していく。

 秋田さんも「一心不乱」って感じだな。


「福岡、体調はよくなったのか?」

「はい。お陰様で」


 課長は苦手だが、悪い人ではない。


「福岡さん、体調崩されてたんですか?」

「はい。ちょっと」

「だから、先週、更新が止まってたんですね」

「はい」


 心配そうな秋田さん、優しいんだな。


「これからも匠先生として、頑張っていくので、見ていてくださいね」

「はい!」


 嬉しそうな顔をしてる。

 今は、たっくんには敵わないかもしれないけど、きっと僕を選んでくれるように努力しよう。


 僕のチャンネルのスローガンは「たゆまぬ努力」だ。

 自分の配信に恥ずかしくない人生を歩まなくては。






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