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Dead of The Love

作者: 目覚めた奴
掲載日:2010/04/15

2010年4月18日。謎の隕石が日本の首都・東京に激突。隕石から、謎のガスが発生すると、人々は倒れ、腐り、なんと蘇った。蘇った人々は人を襲い、彼らの仲間を増やしていった。そして、あっという間に日本はゾンビ大国になってしまった。






ここは埼玉県の春日部市。ガス発生から三日後、街を囲んでいたバリケードが撃破されてしまった。ゾンビ達は街中を徘徊し、春日部市の人を襲い仲間を増やし始めた。

ちょうどその頃、僕のケータイに大好きなあの娘から電話がかかる。

「柴田君、助けて。今学校の音楽室にいるの。お願い、助け…ツー、ツー」

こうしてはいられない。僕は親の制止を振り切り自宅の団地から飛び出した。好きなあの娘を守りたいがために。



外に出ていきなり目にしたのは、向かいのB塔に住む同級生の木下がゾンビ達にかじられ、もがき苦しむ姿だった。「柴田〜、たずげでぐれ〜」とか聞こえた気がするが…無視。スマン木下。オレはお前なんかより、あの娘が大事なんだ。木下に群がっていたゾンビが一体こちらに来たので、その場から退散。そーいや、丸腰じゃあ不安だな。武器を手に入れないと。




しばらく行くと、ゾンビがうようよいる道路に着いた。ここは相当危ないから通れないな。よくゾンビ達を観察ると、知り合いが何人かゾンビ化してしまってる。アホの吉沢、行き着けのパン屋のおっちゃん、中川の兄ちゃん、不良の春山。こりゃ、大変だ。武器も今だに見つけれてないし。こんなにゾンビだらけだと、流石にあの娘が無事かどうか、かなり心配してしまう。とりあえず、学校に行かないと。そうしてると、ゾンビがこちらの存在に気付き、「あー、あー」っと叫びながら一斉にやって来た。まずい、まずい。逃げないと。



息をきらしながら遠回りをし、ようやく学校に着いた。グラウンドにもゾンビがいて、サッカー部の連中が襲われている。バリケードで守られていたとはいえ、こんな時によく学校に来て部活動出来たもんだ。まぁ、その結果がコレなんだけどね。全くあの娘といい、埼玉県民はどいつもこいつも呑気野郎かっとツッコミたいが今はそれ所じゃない。その考えに反し、学校にもゾンビがいるという事実を目の当たりにし、僕の不安が最上級に達する。早く、音楽室に行かないと!僕は数いるゾンビを交わしながら学校に入るのに成功した。誰かが忘れたビニール傘を傘置き場からパクリ、やっと武器手にすることも出来た。よし、一刻も早く音楽室へ行かなきゃ。学校の中もすでにゾンビだらけだった。音楽室は3階。階段前にはゾンビ化した数学担当の宮野先生が行く手を邪魔していた。アレを倒さないとな。僕は宮野先生が僕に気付く前に、後ろからビニール傘をぶっ刺してやった。先生はその衝撃で倒れたが、それと同時にビニール傘も折れ曲がってしまった。くそ、使えねぇ武器だ。とりあえず、通れるようになったので僕は階段を一気に駆け登る。三階に着いた時は、僕は汗を大量に流し、体力も残りわずかしかなかった。

音楽室を見つめるとゾンビ化した井上、山本、熊谷、橋岡…おいおい、ちょっと待て。吹奏楽の面々じゃないか。やめてくれよ。僕がどれだけ頑張ってここまで来たと思ってるんだよ。ふざけんなよ。不安を振り払いたい。そのために僕は叫ぶ。


「林田さーーん!林田香織さーーん!いるなら返事してー!」



頼む頼む頼む頼む!

…返事がない。嫌だ。やめてくれよ神様。叫んだせいか音楽室前のゾンビ達は僕のほうへゆっくり動き始めた。


「林田さーーん!!」


すると、僕の目に飛び込んできたのは信じたくない光景だった。僕の二回目の叫び声で音楽室からワラワラとゾンビ達が出て来た。そしてなんとその中に、ゾンビになってしまった僕の大好きな林田香織の姿があったのだ。手遅れだった…




「うわぁぁぁぁぁぁーーー!!」


僕は発狂し、ゾンビの中に飛び込んだ。飛び込んだら、手前にいた井上ゾンビと山本ゾンビが僕に襲い掛かってきた。続いて熊谷、橋岡…彼女達は僕の片や腕にガブリと噛み付いてきた。あー、もう知るか。噛みたきゃ好きなだけ噛め。食いたきゃ好きなだけ食いやがれ。ヒロインが死んだその時点で、僕はヒーロー失格=用済みなんだよ。もう開き直ってやらぁ。噛み付かれているので、僕も後々にゾンビになる事決定だ。その前に…せめて。

僕は林田さんの腕を引き、ゾンビの群れから引き抜いた。そして群れから離れるため、走る。林田さんはゾンビ化していたので、足元がおぼつき何度もこけた。僕が彼女を起き上がらせようとすると、太股を思いっ切り噛まれてしまった。激痛。くそっ、なんでゾンビはこう何度も噛み付いてくんだよ。生後まもない赤ん坊と同類か。僕は必死で意識を保ち、家庭科室を見つけ、その中に入った。もちろん、鍵を閉める。家庭科室にはゾンビ化した石崎先生がいたので、僕は椅子を彼女の頭にヒットさせ、そのまま窓からグラウンドへ突き落としてやった。

「はぁ、はぁ。し、しんどい」

「あ゛ーー!」

突然、ゾンビ化した林田さんが叫び、また僕に噛み付こうとする。

「あぁ、もう鬱陶しい!」

僕は流石にキレてしまい、林田さんの顔をぶん殴ってしまった。林田さんはそんなの全然効いてないらしく、普通に起き上がり僕にまた襲い掛かろうとする。僕は教壇にあった裁縫用のデカハサミを林田さんの手にぶっ刺し、そのまま彼女を黒板に貼付けた。

「あ゛ー!あ゛ー!」

「もう解ったから黙れよ!うるさいな!」

なんだよコレ。超バッドエンドじゃん。ははは…僕もしまいにゾンビになっちまうし。なんか、もうどうでもいいや。クソが。

「あ゛ー!」

僕は林田さんを見つめる。自慢の茶色のストレートの髪もボサボサ。目は白目。白い肌も汚れてホームレスみたい。首筋から大量出血。揺れるボイン。

……不謹慎だが、こんな姿になってもやっぱり可愛いな。凄いな、恋の力って。感心する。

その時に僕は思った。どうせ自分もゾンビになるんなら、自分の願望を叶えてしまおう。未来を奪われた自分のために。まぁ、要する彼女と恋人になってからやりたかった事を、今意識ある内に全部しちまおうって訳だ。



僕は悶える(というか暴れる)彼女に近づき、頬にキスをしてみた。うわ。肌冷た。まぁ、ゾンビで死んでるしな。仕方ない。次に舌を出し、頬をベロンと舐めてみる。

「あ゛あ゛ー!」

…なんかごめんなさい。いや、感情なんかとうに無くしていると思うんだけど、今の叫びは拒絶みたいに感じた。もい一回ベロン。

…冷たいけど、肌はもちもちしていて気持ちいいな。そう思いながら何回もやっていると、徐々にペニスが元気になってきた。

「この際だから、唇にキスしてみよっかな」

キス中に噛まれたくなかったので、僕は「あ゛ー!あ゛ー!」叫ぶ彼女の口を手を使い強引に閉じさせる。

「んー!んー!」

「ちょっと静かにしててねー」



ちゅ〜〜〜っぷはぁ!



え、なにコレ?超気持ちいいやん。っと思わず関西弁。相変わらず体温なしで冷たいけど、最高に気持ちいい!ファーストキス相手がゾンビってのは如何せん納得出来ないが、生前は好きな娘だったし良しとしよう。テンションがハイになった僕はもう一度キス。



ちゅ〜〜〜っぷはぁ!



ん、あれ?なんだか林田さんの様子がおかしいぞ。



「あ、あぅ。あぅ……」



さっきまで病的に叫んでたのに、どしたの?え?なにこれ。クソ可愛い。まるで子犬みたいじゃん。僕はその姿に萌えて、今度は彼女の口を閉じず、大人のキスをする。舌を噛み契られるかも…っと一瞬思ったが本能には逆らえなかった。不思議と彼女もそんな事はせず、僕と舌を交えていた。一通り終わると僕は彼女を見つめる。


「…………」


なんと彼女は黙り込み、頬を赤くしているではないか。白目剥いてたのも、普通の黒目に戻ってるし。なんだこの展開。え?確認するけど、この子ゾンビだよね?超可愛いんだけど。

「あぅぅ。あうあう。あううあう」

「…ひょとして、なんか言ってる?」

コクリと彼女は頷いた。てか完璧に意識あるやん!っとツッコミたくなる。

なんだろう?何を伝えたいんだろう?キスした後?まさか…

僕はズボンを脱ぎ、彼女の制服のボタンを外そうとした。すると首筋をガブリと噛まれた。「それじゃねーよ!バカ!」という表情に変わり、睨まれる。どうやらセックスをしたい訳ではないようだ。

「あぅあう!」

「あうあう言われても解んないよ〜。なんなの?」

「あぅぅぅ…」

途端、彼女は泣き始めた。ゾンビなのに。…ゾンビって泣くのかよ。まぁ、元は人間だしな。でもなんでだ?なんで泣いてしまったんだ?今ごろ手に刺されたハサミが痛くなったのか?セックスしようとしたのが悪かったのか?キスしたのが悪かったのか?



そうこう考えてる内に、急に目の前が霞み始めた。う、そうだ。僕も感染してたの忘れてた!や、やばい。なんだ、この、いきなり死ぬような感覚。あぁ、意識が…なく…なる…

なんだよ。畜生。林田さんと上手くいきかけてたのに。KYなウイルスめ。くそ、せめて、意識を、なくす前に、林田さんが、求めて、いた、ものを…あ、こりゃ、完璧にヤバイ。そうだ。肝心な、こと、忘れてた。ゾンビに、なる、前に、意識が、あると、思われるゾンビの、林田さんに、言ってやる…





「林田さん…君が…君のことが大好きだーーー!!!!」

バタン。



僕は意識が消える瞬間、泣き顔から笑顔になる林田さんを見ることに成功した。ゾンビらしからぬ彼女の姿を最後に見れた。ざまーみろ。









ここはどこだろう?天国?ゾンビになっても、人は天国に来れるのだな…ん、誰かくる。林田さん?ゾンビじゃない。天使の姿をした林田さん。美しい。見とれてしまう。

「私も…好きですよ」

「え?」

「私も…柴田君が好き」

そう言うと、天使の彼女はそっと僕に口づけしてくれた。幸せだ…







「柴田君!柴田君!」

僕は林田さんの声で目を覚ました。

「あれ?なに?僕は…ゾンビになったんじゃ…」

いや、ゾンビになったら意識が消えるはず、僕は…生きてる。

「柴田君。いきなりキスって、ハードル越えすぎだよ!まず告白ぅ!」

っと彼女はいきなり説教してきた。でも顔は笑ってる。そういや、彼女もゾンビのはずなのに、普通にしゃべってるし、ちゃんと意識もある。

「なんでだ?なんで、お互いゾンビじゃないの?」

「柴田君が、ゾンビになった私でも愛してくれたから…じゃないかな?」

照れながらそう答える。つまり、ゾンビのワクチンって愛?ははは、なんて不釣り合いなんだ。愛が解毒剤。なんてロマンチックなんだ。なんて素敵なんだ。ははははははは。

「さぁ、ここを抜け出し、この事を皆に伝えないと」

「でも外はまだゾンビだらけなんじゃないの?」

「大丈夫。一人一人に愛ある行為を示せば、きっと襲ってこないよ」

「おいおい。一人一人って、ゾンビはたぶん百いや億越えするほどいるんだぜ?ほんとに大丈夫かよ」

「大丈夫ったら大丈夫!それにね…」

彼女は少し照れながら、僕の見つめこう言った。



「私には大好きな柴田君がいるから…」



僕ら抱きしめ合い、口づけを交わし、外へ向かった。








『日本中の生きてる皆さん!ただ今、ゾンビに効くワクチンが発見されたという速報が入りました!現場に繋いでみたいと思います!現場の木村さん!木村さん!』

『はい!こちら木村です!皆さん見て下さい!ゾンビ達が次々に浄化され、人に戻っています!機動隊は銃を向けず、なんとゾンビに告白してます!凄いです!男のゾンビには女の機動隊、女のゾンビには男の機動隊、子供のゾンビには保母さん、犬や猫のゾンビには金を持て余したセレブ!なんとここ埼玉では急激にゾンビが減っています!まだゾンビだらけで困っている地域の方々。愛です!愛がゾンビを浄化します!恐れず、彼らを愛して下さい!愛は日本を…世界を…地球を救います!!』





そしてゾンビ事件から一週後、日本は元の平和な国に戻った。ちなみに僕と林田さんはカップルとなった。それと同時に、ワクチンの最初発見者として日本中から祝福された。

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― 新着の感想 ―
[一言] ゾンビ物でハッピーエンドって見た事がない気がします。 お見事です。
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