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夢ならば

作者: 氷室吾郎

 涙を流したまま目が覚めた


 すぐに涙の訳に心当たりをつける


 また「彼女」の夢を見ていたようだ


 別れてからもう10年も経つと言うのに


 どんな内容だったか思い出そうとするが


 彼女の顔も声も夢の細かな内容も


 いつものように思い出せない


 怒っている顔で構わないから


 悪口や罵倒で構わないからもう一度


 君の顔を見たい……


 君の声が聞きたい……


 あの日の君と今の君


 どれだけどんな違いがあるのかな?


 少し楽しみで少し怖い


 そんな他愛もない事を思い浮かべ


 拭った涙が瞳からまたこぼれた


 もう会えない


 会うことは叶わない

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