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「もう一人のワタシ、チカラを貸して!」~悪役令嬢のチカラとわたしの知恵で、最強ヒロインが爆誕です。~  作者: サアロフィア
第01章 40,523文字

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第02話 仲間を集めるために(シャルロットの威光)

【お知らせ】

VOICEBOXによるオーディオドラマを公開しました。

文末の広告の下にリンクを貼りました。

ぜひ、お聞きください。

第02話 仲間を集めるために(シャルロットの威光)


光元国歴 2014年3月3日(月)天気予報は、曇のち雨


響都(きょうと)市立 青龍(せいりゅう)中学校の職員室にて


わたしは、石田 紗菜(さな)と申します。 

サナと呼んでください。


中学2年生です。来月の4月には、中学3年生になります。


わたしは今、窮地に立たされています。 

簡単に言うとですね。 

ものすごく困っているのです。 


ワタシと入れ替わっていた悪役令嬢シャルロットが、頑張りすぎてくれやがったおかげで、ですね。 

学年主任の後藤先生を始めとする先生方から集団で、生徒会長に立候補させられてしまったのですよ。


もちろん、ワタシは断ろうと必死で抵抗しました。


「ちょっと待ってください。 

ワタシには無理です。

もっとふさわしいひとがいるはずです。」


「何を言っているんだ。石田よりもふさわしい人物は他にいるはずがなかろうが、なあ、先生方。」

「後藤先生のおっしゃる通りです。」


 という訳で、無理やり、生徒会長に立候補させられてしまったのです。


「偉いぞ、石田、自分から進んで立候補するなんて。全校生徒の鑑だ。」


ワタシは先生方にこれ以上なにを言っても無駄だと悟ったので、こころの中だけで言いました。


『そうですか? この学校では、大勢の先生でひとりの生徒を取り囲んで無理やり立候補させることを、自発的に立候補すると表現するのですか? 将来、教育委員会に圧力を掛けられるような権力を手に入れてやる!』


と誓いました。


『しかし、ワタシは今、とても困っています。 

クラスメートはもちろんのこと、ワタシの親友であるアユミからも断られてしまいましたからね』


ワタシは、雨が降る中を沈んだ気持ちで家まで帰ったのだった。


『折りたたみ傘を持ってきて良かった。

これで、濡れて帰ることになったら、こころが持たないわ』




光元国歴 2014年3月5日(水)天気予報は、曇時々晴


ワタシは、この2日間、よく話すひとから、名前を知っているだけの知り合いにまで、生徒会のメンバーになって助けて欲しいと頼みまわっていた…


しかし、みんなに断られたのだった。


昼休み後半、ワタシは途方に暮れて、空を見上げていた。


『シャルロットなら、カリスマがあるから、直ぐにメンバーを集めるんだろうなあ。』


空に四角い窓が見えて、シャルロットの姿を見つけた。

すると、向こうもワタシに気付いてくれた。

ワタシは、右手を伸ばした。

シャルロットも左手を伸ばしてくれた。

ワタシたちの手のひらが時空を超えて重なり合った。


「もう一人のワタシ、チカラを貸して! ソーシャライズ シャルロット!」


「socialize」(別表記:ソーシャライズ)とは、社会的な交流を持つ、人間関係を築く、または他人と親しくなることを意味する英単語である。(出典:weblio.jp)


一瞬だけ、ふたりの手のひらが光り輝いた。




サナは、目を瞬きさせて驚いている。

先ほどとは、サナの雰囲気が変わっていた。


サナの身体に宿る魂は、シャルロットの魂に入れ替わっていた。


シャルロットのこころの声が聞こえてきた。


『この光景はサナの学校の屋上よね。 

ということは、アイスクリームやチョコレートを好きなだけ食べることが出来る上に、冷房が効いた涼しい部屋で好きなだけ勉強ができる天国のような暮らしができるのね。

それと久しぶりに身体を動かしたいわ。 

剣の修行も続きがしたいし・・・


それから、それから』


シャルロットは、異世界から光元国に来ることができて、とても喜んでいました。

一通り色々なことを考えたあとで、興奮も落ち着いてきて、ソーシャライズした理由を考えることができました。


『あっ、思い出した。 

ワタシが前回やりすぎたせいで、サナが困っているのだったわ。 


ワタシがまいた種だから解決しておかないと。 

借り3つのうち2つ分くらいにはなるはずよね。


入れ替わったワタシは、状況をすべて理解しましたので、サナは安心してね』


雲間から太陽の光が差し込んできた。


そして、シャルロットは、太陽に向かって意欲を燃やした。


「今までの友人は尻込みするでしょうけれど、ワタシと競い合った者たちなら可能性が有りましてよ!


楽しいときだけ、得するときだけの友達は、頼りにならないわ」


シャルロットは、前回の入れ替わりのときに学んだことを思い出していた。


『栄語のことわざにもありましたわ。


A friend in need is a friend indeed.

ア・フレンド・イン・ニード・イズ・ア・フレンド・インディード


まさかの時の友こそ、真の友


直訳的解釈は、

困っている時(in need)に助けてくれる友こそが、本当に(indeed)真実の友人である。

だったわね。


このことわざが世界中で愛され、記憶に残るのには、英語特有の「ライム」が関係しているわ。


・"in need"(困窮・必要な状態の中にいる) ・"indeed"(本当に・正に)


この二つの言葉が同じ「イード」という音で韻を踏んでいるため、非常にリズムが良く、口に馴染みやすい構造になっているからね』


シャルロットは、成功を確信していた。


「つまり、競い合ったライバルたち、ピンチや危機のときに助け合える相棒なら、力を貸してくれますわ。


サナとワタシのように、ね」


シャルロットは、自信の笑みを浮かべていた。




その日の授業が終わった放課後、シャルロットは、生徒会メンバーを集めるために行動を起こした。


ワタシは真っ先に剣道場に向かった。 


中路千晴(なかじ ちはる)が面を脱いでいた。

長い黒髪が美しい長身の美しい女性だ。 


ワタシは、千晴に手を振った。


千晴は、笑顔で答えてくれた。


「めずらしいわね、サナ。 

わたしに呼ばれる前に来るなんて。 

どう久しぶりに1本勝負しない」


「いいわね。ぜひお願いするわ」


「そうこなくちゃね。

あなたの防具一式は部室のロッカーに残っているから着替えてきてよ」


ワタシは嬉しくなった。


『自分の剣の腕を確かめたい』


と思っていたからだ。


『ワタシが弱いのか?

それとも、イタールが強すぎるのか?


どうしても知りたい』


「ええ、すぐに着替えるわ」


剣道着に着替えて竹刀を持ったワタシは、千晴と打ち合った。 


10試合くらいした後で、思った。 


『ワタシは弱くない。 

彼がイタールが強すぎただけだ』


ワタシがガッツポーズというか、剣を握りしめた手を満足そうに見ていると、千晴が声をかけてくれた。


「ワタシと打ち合える人は、インターハイ出場選手とサナだけよ」


「えっ? そうなの? 千晴と打ち合える剣士が他にもいるなんて、信じられないわ」


「ワタシは強いつもりだけれど、ワタシの先祖は、妖刀を破壊する旅を終わらせるくらい強かったそうよ。

だから、ワタシもまだまだ強くなる伸びしろがあるはずだわ」


「そうなのね。 でも、剣氣を使えるひとは少ないでしょ」


「少ないけれど、剣道の試合では少ししか使わないようにと言われているからね」


「どうして? そんな手加減が必要なの?」


「試合では剣氣を使わないという縛りがあるのよ。 

もちろん、体力が衰えたご老人は堂々と使っているけどね。 

剣氣を使えない相手に使って勝っても、むなしいだけだわ」


「そういう考え方もあるのね」


しばらくして、千晴がワタシをじーっと見つめてきた。


「どうしたの? ワタシの顔になにか付いていますか?」


「わたしに頼みたいことがあるのでしょう?」


「話が早いわね。 

生徒会長に立候補させられて困っているのよ。 

メンバーになってくれるひとがいないのよ」


この言葉を聞いた千晴は嫌そうにするどころか、

『来るのが遅いのよ』

というような笑顔を浮かべてくれた。


「それで、ワタシのところに来たのか? 

正解ね。

 副会長をやってあげるわ」


ワタシは、千晴のとぼけた言い方には気付かないふりをして、御礼を言うことにした。


「ありがとう。 助かるわ」


 中路千晴は、1人目(副会長)になってくれた。




1人目のメンバーが決まったシャルロットの足並みは軽かった。


次にワタシは、バスケ部に向かった。


加護琴(かご こと)が、レイアップシュートを決めていた。

接戦の末、1点差で勝ったようだ。


琴と目が合ったので、ワタシは笑顔で手を振った。


「サナ、来てくれたのね」


琴は笑顔で手を振りながら駆け寄ってくれた。

琴を抱きしめようと手を広げて待っていたら、体当たりで吹っ飛ばされた。


「琴、いまのは元気よすぎるんじゃない?」


ワタシは、戸惑いながら、文句を言った。


「まさか、分かっていないなんて言わないわよね。

この点差を見てよ」


琴は、

『文句が有るのは、こっちの(ほう)よ!』

という顔をしていた。


「接戦の良い試合よね」


「ちがーう。

サナがいてくれたら、10点差くらいの大差をつけて勝てたって、言っているのよ。 

ポスト役が1人減ると戦力が大幅に減るのよ。 

言ったわよね」


ワタシは、琴の迫力に気圧されてしまった。


「ええ、もちろん、覚えているわ。」


「だったら、次の試合は出てくれるのよね。」


「は、はい。」


琴は満面の笑みを浮かべてくれた。


「約束だからね。 


ところで、ワタシのところに来た理由はアレだよね」


シャルロットの魂が入ったサナは、びっくりした様子だったが、同時に嬉しそうだった。


「コート全面を見渡す琴にはお見通しのようね。 

そうよ、生徒会長に無理やり立候補させられて困っているのよ。 

琴には、会計をお願いしたいわ。 

たとえ、どんなに良い予算案を出しても文句は出るからね。 

広く学校全体を見渡して、バランスを取れるひとに会計になって欲しいのよ」


琴は嬉しそうな顔で、自信満々に答えてくれた。


「素直でよろしい。 

日光簿記1級の活動基準原価計算の腕前を見せてあげるわ」


「むずかしい知識を持っているのね。 

今度、ワタシにも教えてね」


「もちろんよ。ワタシが分かりやすく教えてあげるわ」


 加護琴は、2人目(会計)になってくれた。




2人目の仲間を得たシャルロットの魂が入ったサナは、3人目の仲間候補のいる場所に向かっていた。


ワタシは文学部の部室に来た。 

外が暗くなってきても電気という明かりがあるから快適に本が読める。 

ワタシの世界に欲しいくらいだ。 

クーラーと冷蔵庫の次に欲しいかな。


部室では、高橋祐輝(たかはし ゆうき)がスマホで小説を書いていた。 

あんな小さな板で、文章が書けるなんて便利な世の中よね。 


身分が高いひとの代わりに文章を書く仕事を、祐筆(ゆうひつ)というそうだ。


祐筆の「祐」と、書いた文字が輝きますようにという願いを込めて、

【祐輝 ゆうき】

と名づけられたそうだ。 


名前負けしないように、ペン習字を頑張ったそうで、彼女の書く文字は芸術作品のように美しい。 

それだけでなく、彼女が書く文章はとても分かりやすく、ひとのこころを打つ内容だった。


ワタシに気付いた祐輝は、小説を書く手、文字をタップする手を止めて、スマホを置いてくれた。


「あなたがここに来た理由は、わたしにも分かるわ。」


「それなら、話が早くて助かる。」


そのとき、祐輝は、シャルロットの魂が入ったサナの背後の壁を走るゴキブリに気付いて、嫌そうな顔をした。

本棚の上に積んであった本の表紙の上を走り回ったからだ。


「Gは本当に好き勝手やってくれるわね。」


「この部屋にも出るのか?」


ワタシは、後藤先生が文学部の部室に来る用事は無いと思っていたので、意外そうに聞いた。

祐輝は、嫌そうな顔をしながら答えた。


「Gに困っている人は、教師生徒を問わず多いわよ。」


ワタシは、

『後藤先生は、サナとワタシだけの敵でなく、教師生徒を問わず敵なんだ』

と、心の底から理解した。


『共通の敵を持つ人たちは、協力し合えるはずだ。

【敵の敵は味方】

というからな』


ワタシは迷うことなく、祐輝を誘うことができた。


「じゃあ、助けると思って、生徒会に入ってくれないか?」


「ワタシは書記しか出来ないわよ。」


「書記を頼みたいんだ。」


「じゃあ、決まりね。 ワタシの強みを生かせる場をくれて、ありがとう。」


「御礼を言いたいのは、ワタシの方だ。」


「御礼のハグなら、歓迎するわ。」


ワタシは、祐輝を抱きしめた。


祐輝は3人目(書記)になった。



シャルロットは、祐輝との会話で、

『みんなが嫌そうに話すGとは、後藤先生のことだ』

と記憶したのだった。



祐輝は、シャルロットの魂が入ったサナが帰ったあとで、ゴキブリを叩いて倒していた。


「憎きGめ、本の表紙の上を、土足で歩き回るなんて、情状酌量の余地はないわ。

裁判なしで極刑よ!」




4人目の仲間を誘うために、シャルロットは一度家に帰って、私服に着替えてから出かけたのだった。


ワタシは、市の体育センターの読書スペースに行った。


そこには、ワタシの頼れる相棒の三条柚葉(さんじょう ゆずは)と仲間たちが静かにマンガを読んでいた。 


コンビニ前で集まると店に迷惑が掛るし、夏は暑いし、冬は寒い。

 

ここなら、夏は冷房が効いて涼しく、冬は暖房が効いて暖かい。

静かにしている限り、どんな格好の者がいても、注意されない。 


無駄なケンカもしなくて済むし、マンガを読むだけでも知識が増えるし、少しだけだが教養につながる本があるからだ。 


最初は、柚葉の仲間も「本なんて」と嫌がっていたそうだが、今では堂々とタダ読みが出来て快適なココがお気に入りだ。


ワタシは、柚葉に近寄って、声を掛けた。


「柚葉、少し話せるか?」


「サナか、あと少しでこの巻が読み終わるんだ。

急ぎでなければ、10分ほど待っていてくれないか?」


「ああ、待つよ。そのくらい。」


ワタシは柚葉を待つ間に、柚葉といっしょにいる仲間に話しかけた。


「優等生のサナさんだ。ワタシらのような者と話したら、内申書の内申点が下がるんじゃないか?」


「ワタシの内申点が下がった分だけ、あなたたちの内申点が上がるなら、うれしいな!」


と笑顔で答えるワタシに、彼女たちは本音で答えてくれた。


「世の中というか、学校はそんなに甘くないんだよ」


最初に会ったころは、気合の入った目立つ格好をしていた彼女たちだが、最近は大人しい格好をしている。

目立つ装いは、各自ワンポイントだけになった。


しばらくすると、本を読み終わった柚葉が声をかけてくれた。


「待たせたな。サナ。話も盛り上がっていてな」


「なんの本を読んでいたんだ?」


「【理想の美女7人に愛される生活。】」


「ハーレムものか? 好きになれないな?」


「ハーレムものとは少し違うかな? 気が向いたら読んでくれ。」


「気が向いたときに、読むわね」


「読む気無いでしょ。

まあいいわ、ワタシに会いに来たってことは・・・」


柚葉は、ワタシが来た理由に心当たりがある様子だった。


「お察しの通り、生徒会に入って欲しい。 

私たちの学校には風紀委員会は無いけれど、生徒会に風紀という役職があるのは、知っているわね」


「ああ、知っている。風紀のルールを1つだけ決めていいんだろう。

よほど問題があるルール以外は学校側も文句を言えないらしいな。 

本当だかどうか怪しいがな」


「わたしが決めたいルールは、目立たない程度のナチュラルメイクを許可するというか推奨するルールね」


「そんなルールが通ると思うか?」


「どうせ、就職するときには、

『女のくせにメイクもしないのか?』

と嫌味を言う男性と同じ職場で働くのよ。 


だったら、今のうちから練習する時間が欲しいわ。 

就職実績を上げるために必要と言えば、反対も出来ないでしょ」


柚葉は、そんな説得方法があるのかと驚いた様子だった。


「サナさんの悪知恵には、かないませんわ。

そういうことなら、生徒会の風紀を引き受けてもいいが、ワタシの仲間たちはどうなる?」


柚葉は仲間思いなので、自分だけ生徒会という堅気になることに、気が引けるようだ。

もちろん、ワタシは、柚葉の仲間のことも考えていた。


「もちろん、柚葉といっしょに活動してもらうわ。 

チカラなき正義は無力だからね」


「ワタシたちを良いように使おうってか? 賛成できないな」


柚葉は、

『仲間といっしょに居られることは良いが、利用するだけ利用するという、こすズルいことはしたくない』

と思っているようだ。


これも、ワタシの想定内だった。


「風紀の仕事に協力的だったという実績が出来れば、学校側も内申書に悪いことが書けないわ」


「その内申書って、なんなのか教えてくれや?」


ワタシは、

『正しく説明するために、むずかしい言葉を使うよりも、柚葉たちが普段使う言葉で分かりやすい言い方をするべきだ』

と考えた。


「まあ、高校への密告書というか、チクリというか、悪口ね」


「腹立つな。それは」


「でもね、内申書さえ良ければ、高校入試の点数が悪くても高校に合格できる可能性というか確率が上がるわ。

逆を言えば、入試で満点を取っても内申書の内申点が悪ければ…


つまり、

『嫌なヤツだ!』

と書かれたら、不合格にされるわ」


柚葉は驚きを隠せなかったというか、隠そうともしなかった。


「そんなに、えげつないことをやっているのか、教師どもは?」


「そうよ!

だから、生徒会に協力的な生徒のグループと見てもらえれば、損どころか得になるはずよ」


柚葉は、納得が行かないという悔しそうな表情で言った。


「大人は誰もそんなことを教えてくれなかった。」


柚葉の仲間たちは、柚葉の返事を息をとめながら見守っていた。


「みんな、どうだろうか? 

ワタシは、サナと仲間のお前たちのために、生徒会に入りたい。

今まで通り、力を貸してくれるか?」


「もちろんです。」

「ついて行きます。」

「なにをすれば良いですか?」


仲間たちの返事は、賛成だった。


「みんな、ありがとう。」


柚葉は、サナの方に向き直って言った。


「これからも助け合おうぜ。サナ!」


「ええ、よろしくね。 柚葉。」


 三条柚葉は、4人目(風紀)になった。




光元国歴 2014年3月6日(木)天気予報は、晴時々曇


響都市立 青龍中学校の放課後、シャルロットの魂が入ったサナのまわりには、4人の仲間がいた。


ワタシは、サナとして、4人の仲間とともに、後藤先生たちがいる職員室に生徒会のメンバーとともにあいさつに行った。


職員室に入ると、先生たちは、ワタシといっしょにいる仲間たちを品定めし始めた。

柚葉を見た先生たちが、ひそひそと文句を言いだしたので、笑顔で見つめたら、静かになった。


ワタシは、柚葉の肩を抱いて、引き寄せた。

すると、腹を立てていた柚葉は冷静になってくれて、穏やかで凛々しい顔を見せくれた。


柚葉の目からは、

『もう大丈夫だ!』

という強い意志を感じたので、柚葉の肩を抱く手を離して、ワタシは後藤先生の前に進み出た。


後藤先生は、生徒会メンバーが集まったことを、まるで自分の手柄だと思っているような顔を見せてきたが、ワタシは気付かないふりをして、淡々と報告することにした。


「後藤先生、おかげさまで生徒会のメンバーが集まりましたので、ご報告に参りました」


「おお、さすがは、石田くんだ。 わたしは君を信じていたよ。」


後藤先生のひとを食い物にして利用しようという風見鶏のような物言いに腹が立ったワタシは、拳を強く握った。


ワタシの心情を分かってくれた仲間の視線を感じた。

そして、仲間たちは、表面上、良い言い方をして、場の空気、雰囲気を壊さないようにしてくれた。


「副会長の中路千晴(ちはる)です。よろしくお願いします。」


「会計の加護(こと)です。よろしくお願いします。」


「書記の高橋祐輝(ゆうき)です。よろしくお願いします。」


「風紀の三条柚葉(ゆずは)です。よろしくお願いします。」


後藤先生は、威厳を見せるような言い方をした。


「ああ、よろしく。 がんばってくださいね。」


ワタシと仲間たちは、こころの中で、アカンベーをしながら、愛想よく返事をした。


「はい、がんばります。」x5




光元国歴 2014年3月7日(金)天気予報は、晴のち曇


シャルロットの魂が入ったサナは、仲間たちと打ち合わせをしていた。


「2014年4月7日(月)始業式の日の朝から毎朝、生徒会役員で校門に立ちたいと考えている。


全校生徒に、

『おはよう!』

と声をかけることで、生徒会の目が光っていることを伝えたい」


みんなは首を縦に振って、賛成してくれた。

そして、ワタシは、重要なポイントを説明するために、表情を引き締めた。


大事なことを話そうとしていることに、仲間たちは気付いてくれた。


ワタシは、大きく息を吸って、気持ちを落ち着けてから、みんなの顔を順番に見てから、こう言った。


「表門を、風紀の三条柚葉と3人の仲間の計4人に任せたい。

裏門を任せたら、悪い解釈をして、悪い噂を立てるひとたちが、生徒たちだけでなく、先生たちにも出る可能性が高いからだ」


千晴が真っ先に賛成してくれた。


「良い判断ね。

表門は太陽が照る日向、裏門は建物の影で暗くなる日陰と考えるひとは多いわ。

だから、柚葉と仲間たちのイメージアップのためにも、表門に立つべきよ」


琴も賛成してくれた。


「勝つための布陣を考えたら、そうするべきね。

わたしたちが裏門に立てば、先生たちも来る気になるでしょうから、

【裏門の寂しく怖いイメージ】

をなくせるわ。


わたしたちが裏門に立つのに、『裏門は、怖いから来ません』なんて言えなくなるわ」


祐輝も賛成してくれた。


「多くの物語に書いてあることを引き合いに出しても、その戦略は正しいわ。

遅刻することが多い柚葉たちが、他の生徒よりも早く学校に来て、みんなにあいさつする姿を見せたら、先生方は、コロッと態度を変えるでしょうね。


ただし、卒業するまで、ずっと続けないといけないから、大変よ」


柚葉は感激していた。


「すまねえ、みんな。ありがとう。

みんなの顔に泥は塗らせねえ!


卒業の日まで続けるさ。


仲間たちの根性があるところを見せてやるぜ!」


ワタシの誘いに応じてくれた仲間たちには、強いきずなが生まれそうだと、ワタシは嬉しくなった。




光元国歴 2014年4月7日(金)天気予報は、晴時々曇


朝から、響都市立 青龍中学校の校門に2つのグループが現れた。


表門を、風紀の三条柚葉と3人の仲間の計4人が整列して、「みんな、おはよう!」と、登校する生徒に声を掛けた。


裏門を、生徒会長の石田 紗菜と3人の仲間の計4人が整列して、「みんな、おはよう!」と、登校する生徒に声を掛けた。


響都市立 青龍中学校の校門(正門)に立って朝のあいさつをする柚葉たちを見て、最初は多くの生徒がビビっていたが、3日もすれば慣れていった。 




2014年4月30日(水)天気予報は、雨のち曇


今期の生徒会は、文武両道だというイメージが湧いたので、学校内のいじめが数多く発見された。 

今まで隠し通されてきた学校の汚点が明るみに出されたのだ。




2014年5月30日(金)天気予報は、晴

 

警備会社の社長で警察OBであるサナの父と、弁護士であるサナの母も手伝ってくれた。


イジメは犯罪だ。 


石田 紗菜と生徒会が目を光らせている。 

そう理解した生徒たちは、中学生は大人として扱われるということに気付いたのだった。




2014年6月30日(月)天気予報は、曇時々雨


そして、学校内の雰囲気が改善した理由は、学年主任の後藤先生が、石田 紗菜を生徒会長に立候補させたことが大きいと評判になった。 


後藤先生が校長になる日も近いと誰もが思った。


しかし、そうは成らなかった。 

ある日、酔っぱらって、橋の転落防止の柵の上に登って演説をぶっていた姿を最後に、後藤先生は学校に来なくなった。 


後藤先生は橋から落ちて、おぼれ死んだそうだ。


後藤先生の死後に、後藤先生が学校内の教師や生徒たちにしていた、パワハラ、セクハラ、モラハラが明らかになった。 


もう悩まされなくなると安心した被害者たちの精神が回復して、裁判で訴える気力が回復したのだ。 


生徒会長のサナの母親が弁護士だと公表されたこともあり、弁護士に相談しやすい環境になったからだった。 

もちろん、サナの母親は無料相談などしなかった。 

30分5,000円を前払いすることを相談条件にしていたが、信頼できるサナの母親だから高くないと思う者がほとんどだった。


後藤先生の遺族は、被害者たちから集団訴訟を起こされて、多額の賠償金を請求された。


後藤先生の遺族だけでは、賠償金を払うことが無理だったので、親戚中から借金をすることになった。

実質的にという意味で、後藤先生の3親等までの親族が連帯で慰謝料というか賠償金を払うことになった。


(作者の注釈 開始)

3親等までの親族が連帯、つまり、連座制は法律にはありません。

しかし、賠償金が払えないときは、親族にお金を借ります。


また、債権をプロの回収業者に依頼されたら(売られたら)、プロは3親等までの親族に突撃して、あの手この手で、お金を回収しようとします。


つまり、実質的には、3親等までの親族が連帯で慰謝料というか賠償金を払うことになるという意味です。

(作者の注釈 終了)




それとは対照的に、サナの生徒会は順調だった。


部活で知り合った中路千晴と加護琴、

勉強で知り合った高橋祐輝、

ケンカで知り合ったスケバンの三条柚葉とその仲間たち


が生徒会の助けになってくれた。 


残念ながら、男子が一人もいないので、サナに素敵な彼氏を引き合わせることが出来ないことだけが、心残りだった。


生徒会の決め台詞は、

「あなたの実力を十分に理解している私ならば、あなたが活躍する最高の舞台を用意できるわ!」

だった。 


部費の獲得、実力の発揮、面子を保つなどの利害が満たされたので、悪く無い取引だった。


シャルロットの魂が入ったサナは、生徒会が上手く行った理由を、こう考えていた。


「政治は結局は利害調整なのよ。

そして、シンボルとなるナンバーワンが強力なら、優秀な臣下たちも実力を発揮しやすくなるのよね。


それにしても、部活動やケンカで苦楽を共にした関係、利害が一致する関係は、一生の宝物ね」




シャルロットは、サナの問題が解決すれば、元の世界に帰ることになると理解していた。 だから、今回は、早めに手紙を書いて、サナへの引継ぎを進めていた。


===== シャルロットが書いた手紙 始まり =====


 月曜日は、剣道部に行って、副会長の中路千晴と剣の修行に励むこと。

 火曜日は、文芸部に行って、書記の高橋祐輝が書いた小説を読んで、感想というか賞賛を述べること。

 水曜日は、今の成績を維持するために、家で勉強すること。

 木曜日は、バスケ部に行って、会計の加護琴たちと練習すること。

 金曜日は、風紀の三条柚葉たちと学校内の見回りをすること。

 土曜日は、三条柚葉たちの勉強を手伝ったり、楽しく遊ぶこと。

 日曜日は、剣道部とバスケ部を中心に、試合の助っ人をすること。


 ふう、我ながら、完璧な1週間のスケジュールだわ。 サナもきっと喜ぶわ。


 そうそう、大事なことを忘れていたわ。


 ゴキブリを10匹、やっつけました。 居住環境は清潔にしないとダメよ。


 これで、借り3つ分は、返せたわよね。


 では、次の入れ替わりを楽しみにしているわ。


===== シャルロットが書いた手紙 終わり =====



 元に戻ったサナは、手紙を読んで、叫び出した。


「なんなのよ、これ? わたしの自由時間が無いじゃない。

あんまりだわ。


それに、ゴキブリって書かなくても、Gでいいじゃない。 

配慮が足りないわ」




サナが光元国に戻ってから1か月後…


光元国歴 2014年7月31日(木) 天気予報は、晴時々曇


サナは、台所に出たGをスリッパで叩いて倒した。


「ふう、本当にGは迷惑ね。

あれ? もしかして、シャルロットは、ゴキブリをGと呼ぶってことを知らないのかな?


だから、【ゴキブリを10匹】って、書いたのよね。


うーん、【蟻が10匹】なら、【ありがとう】って、意味なんだけどな」


サナは、ひとりごとを止めて、目を閉じて考えた。


『ゴキが、とお((じゅう))、

ゴとお、

ごとう、

後藤?』


サナはシャルロットが残した手紙の暗号の意味に気付いて、青ざめていた。


内容が内容なので、ひとりごとを言うのを止めて、こころの中で考えを続けていた。


『「ゴキブリを10匹、やっつけました。」の意味は、まさか…』


☆ ある日、酔っぱらって、橋の転落防止の柵の上に登って演説をぶっていた姿を最後に、後藤先生は学校に来なくなった。



『後藤先生は、なぜ演説をしていたの? 

未来の校長先生だから?


社交界で鍛えたシャルロットなら、中年男性を色仕掛けで、いい気にさせて酔わせることくらい簡単だと思うけれど…』


サナはさらに青ざめたが、顔を左右に振って忘れることにした。


「教育熱心な先生が事故死されるなんて、不運としか言いようがないわ」



 第02話 終わり


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