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先輩みたいな後輩の話  作者: 齋藤小町
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控えめでゆっくりな青春のおはなし

先輩みたいな後輩がうちの部活に入ってきた。僕は同世代の人達と比べてもそれなりに大きい方だ。この間の健康診断では168.5cmだった。自分からわざわざ人に身長を言うことはなかったが、度々身長を聞かれることがあり、その度に少し誇らしい気持ちになった。しかし、その日うちの部に来た彼女は、そんな僕なんかより10cmは高いんじゃないかと思うほど背が高かった。僕は生まれて初めて、自分から質問してみた。

「君、身長何cm?」

普段、自分から人に話しかけるなんて無いせいで、酷くぶっきらぼうな聞き方になってしまった。初対面でいきなり年上にこんな事聞かれたら、誰しも困惑するだろう。でもって警戒するだろう。僕は自分の発言をすぐに撤回したくなった。しかし彼女は困惑も警戒もすることなく、それこそぶっきらぼうに答えた。

「179cm。」

僕は何も言葉を返せなかった。別に身長の高さに驚いたからではない。もちろん僕が人見知りでコミュニケーション能力が低いからでもない。決して高い方ではないが。質問に答えた彼女の声がそれはそれは大人びていたのである。大人より大人びていたのである。透き通るような、それでいて耳の奥の奥に静かに突き刺さるような声。僕は身体を内側から震わされるような感覚を覚えた。心地よい感覚だった。


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