プロローグ
「くそ!くそくそくそ!」
俺の名前は野間 和男。高校三年生の18歳。勉強は自信がなく、運動もあんまり自信がない。自信があるのはオタクとしての知識だけ。端的に言えばアニメが好きだしゲームも好きだ。そんな俺が今呪詛を口にしているのには理由がある。
時は1週間前くらいにさかのぼるが俺の通う高校には高嶺の花と呼ばれるくらい美人な女性、君塚 愛子という同い年の生徒がいた。彼女は俺とは正反対で成績優秀、スポーツ万能、そして見た目も良いことからモデルのバイトをしていたりした。そんな彼女が1週間前の放課後に何の接点もない俺に急に話しかけてきたのだ。
「ねぇねぇ。君、野間君だよね?」
俺はその日高校の教室机でうち伏せで寝ていたので誰かと思って顔を見ると話しかけてきたのは君塚さんだった。思わず驚いて俺は腰をぬかした。
「き、き、君塚さん!ぼ、僕みたいな奴にな、何かよう」
「要がないと話しかけちゃだめなの?あはは。野間君って面白いね。実は野間君にお願いがあって」
君塚さんはそう言ってとあるゲームのカセットを俺に渡す。
「野間君。ゲームとくいだよね?」
「う、うん。得意分野だけどどうしたの?」
「この恋愛ゲームのCGを全部コンプリートして私に渡して欲しいの。わたしゲームとか機械関係はてんで弱くて。だからお願い!」
君塚さんは俺に頼むと俺はとりあえず君塚さんに渡されたゲームカセットをみる。
えーと。タイトルは王子様に抱かれたい、か。内容は自分がヒロインで男の子を攻略するゲームか。うーん。まぁ俺部活にも入ってないし時間は有り余ってるからな。
「別にいいよ。大体3日もあればクリアできるけどどうする?」
「ほんと!?じゃ3日後の放課後の時間にまた会いましょう。本当にクリアできてたら付き合ってもいいよ!」
君塚さんはそれだけ言うと教室から急いで出て行き、俺はテンションを心の中であげながら家に帰って即ゲームを始めた。
そして3日後の放課後に会う約束の時間の前に俺はトイレがしたくなりトイレに向かい教室に戻って近くにまで戻ると教室から笑い声が聞こえてきた。俺はひっそりと教室を覗くと君塚さんと君塚さんの周りの女子が3人くらい集まって大爆笑していた。
「ねぇ愛子。私のゲームは?」
・・・は?私のゲーム?何のことだ?これは君塚さんのゲームじゃ。
俺がゲームカセットを見ながら思っていると君塚さんはげびた笑いをしながら
「あー。あれね。あれはあのクソオタクに任せてあるから今日来るはずよ。あんなオタクに頼みたくもなかったけどあのいつも暇そうにしてるゲームオタクに任せておけば楽だからね。あはは!」
君塚さんはげびた声で高らかに笑う。やめて、やめてくれ。そんな声で笑うのはやめてくれ。