白薔薇が深紅に染まる時。
月光に照らされた一輪の白。
白薔薇。
透明な雫に濡れた純白の白薔薇。
まだ、この世の穢れを知らない、白薔薇。
やがて月が雲に隠され、辺りが闇に包まれる。
そんな闇の中でも、白薔薇は白く艶やかに輝く。
だが、そんな白薔薇に忍び寄る影。
その影が、白薔薇に触れる。
白薔薇を優しく撫でながら、白薔薇の棘で赤く染まる手。
その手で、白薔薇の純白の花弁を赤く染める。
優しく囁きながら、ゆっくりと白薔薇を深紅に染めてゆく。
白薔薇は深紅の薔薇に染められ。
そして…
気が付けば、深紅の薔薇は黒薔薇に。
そこにはもう、純白の美しい白薔薇は存在しなかった───