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天使にアニメソングを!〜才女とクズ男の89秒〜  作者: 師走乃 スピカ
ネットアイドルと稀代の歌姫
9/13

第9話「にゃんバスのリリにゃんにゃ〜ん❤︎」

「お、おお…………」


 どうやら、音々(ねね)さんの曲、しいては俺の作詞した曲、と言ってもいいんだろうか……『たわわな☆パンケ〜キッス❤︎』を、どこぞのネットアイドルが、生配信で”歌ってみた”らしく、そのせいで原曲の方もおかしな再生数になっている、らしい。


 というのも、肝心の配信動画のアーカイブが残ってないんだよな。


「……すーげえ。『NENE(ネネ)』の順位、ドリコンで123位って、音々さん582位から爆上がりじゃん」


 やっぱボキュート全盛の時代とはいえ、生声で歌える歌手やアイドルの拡散力は強力らしい。そこに付いてるファンのクチコミってのはすげえんだなあ……と俺はオタクの力に改めて感心した。


 「しかし、誰が歌ってたんだろうなあ……」


 俺もネットアイドルにはそこそこハマっていた時期があったので、気になるところだ。ドリコンの『NENE』のページを見てみると、『歌ってみたからきますた』等のコメントは散見しているのだが……お、よく見たらミラー動画のリンクが貼ってあるじゃんか。


「……有能有能、っと……おっ?」


 机の上でブブブと震えるスマホを見ると、メッセージアプリの通知がポンと光っているのに気づく。俺はマウスから手を離してアプリを開いた。



【差出人:音々さん】


『 でんわして

  050-XXXX-XXXX 』



 メッセージには携帯の番号が記載されている。こりゃあ思わずして音々さんの番号ゲットだぜwwwなどと喜んでる場合じゃないか。


「──あ。もしもし邪念場じゃねんばですけd」


「どどどーすんのよっ!! バズってるじゃない!!」


「いや、それを望んでたんじゃないんすか」


「そ、そうなんだけど……でも私はアニメを!」


「いいじゃないすか。話題になった方が、個人アニメーターからも打診来やすいんじゃないすか?」


 知名度を上げてアニメーターからのお声がけを待つなら、願ったり叶ったりじゃないか、と俺は思う。


「それは、そうなんだけど! な、なんか全然違うとこから来ちゃったから困ってんのよ!」

「えっ、なんかオファー来たんすか?」


 音々さんは、取り乱して荒くなった呼吸を整えてから、一呼吸おいて続ける。


「なんか、その歌ってくれたアイドルの事務所の人からDMが来て」


「あ、そうそう。ちょうどその動画、見ようとしてたんすよね」


 俺は思い出したように、先程のリンクアドレスをマウスでクリックする。


「その子の楽曲を作ってくれないかって──」


「へえ〜、誰です? ──ん?」


 すると、目の前のディスプレイには、あざとい猫耳の被り物をつけた、ゴスロリ衣装の銀髪少女が映り、俺は自分の目を疑った。


「私、よく知らないんだけど、『にゃんころバスターズ』ってグループの──」


 そこには、俺がかつて、まだ『カリジョ妄想❤︎マル秘手帳』を書き始める前に、追っかけていたネットアイドル──


「──にゃ、にゃ、にゃ」


『どうも〜! にゃんバスのリリにゃんにゃ〜ん❤︎』


 にゃんバスのリリにゃ(俺の推しメン)、が映っていたのである。



「にゃんバスですとおおおおおおおおおおお!?」



 あろうことか、俺の書いたクソみたいな詞を口ずさんで──。



「──音々さん」

「ん?」

「その話、受けましょう」

「……はい?」



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