4 劣等生と、優等生
そしてその予感は、その日の午前中の授業で早くも的中した。
まずは、一時間目の国語での事。
先生「それでは心野。この時の主人公の気持ちを説明してみろ」
俺「え?えーと・・・・・・分かりません・・・・・・」
先生「マッタク、こんな初歩的な問題も分からんのか」
俺「す、すみません・・・・・・」
先生「それじゃあ、心野よりもはるかに男前な室戸、答えてみろ」
俺「今は男前がどうとか関係ないでしょ⁉」
室戸「はい、この時の主人公の気持ちは、『生米は硬くて、とても食べられたものではない』です」
俺「どんな気持ちやねんそれ⁉主人公が生米の硬さについて考える物語って何なん⁉」
先生「正解だ」
俺「当たってるし⁉」
二時間目の歴史ではこうやった。
先生「それではこの写真の人物を、心野君、答えてみなさい」
俺「え~・・・・・・分かりません・・・・・・」
先生「お前の脳ミソは宇治金時か⁉」
俺「言いすぎでしょ⁉いや、言い過ぎなんか⁉」
先生「女子に全くモテない心野君はほっといて、女子にモテまくりそうな室戸君、答えてみなさい」
俺「今は女子にモテるモテへんは関係ないでっしゃろ⁉」
室戸「はい、その人物の名前は、『ジェイムス・トシオ』さんです」
俺「誰やねんそれ⁉そんな名前の奴が歴史の授業に出てくるか⁉」
先生「僕の妻の不倫相手だ」
俺「不倫されてんのかい⁉ていうか歴史の授業と全く関係ない!」
更に三時間目の数学の時間。
先生「それじゃあこのXの値を、心野、答えんと喉笛カッ切るぞ」
俺「答えるからカッ切らないでくださいよ!え、え~とですね、3、ですかね・・・・・・?」
先生「あははは」
俺「何を笑うてんの⁉違うなら違うって言うてくださいよ!」
先生「それでは室戸様、答えていただけますか?」
俺「生徒によって態度が違い過ぎと違いますか⁉」
室戸「はい、Xの値は、3です」
俺「うわ、アホやこいつ。俺と同じ間違いしとる」
先生「正解です」
俺「ええええっ⁉何でですのん⁉さっき俺が3って答えたときは、正解って言うてくれなかったやないです
か!」
先生「エコひいきをしているんだ」
俺「露骨すぎる!」
四時間目の英語・・・・・・。
先生「心野、どついてええか?」
俺「もはやハナから授業と関係ない!」
先生「それじゃあ室戸君、今の文章を英訳してみたまえ」
俺「何て暴力的な問題文!」
室戸「はい。『Kokorono Dotsuite eeka?』です」
俺「それただ単にローマ字に直しただけやんけ!」
先生「正解だ」
俺「あってるんかい⁉もうヤメさしてもらうわ!」