1 怒り狂う悪の科学者
「むきょぇあああああっ!」
毎度おなじみ、町外れの研究所の一室で、白髪に白衣の男、プロフェッサーワルダーが、怒りに満ちた奇声を上げた。
「おのれぇっ!黒タイツの平蔵だけでなく、ハッスルマッスルストロングファイヤーバーニングサンデーモーニングコーヒー春男までやられるとは!おのれおのれおのれぇっ!あのひょっとこ仮面という輩、思っていたよりも厄介な相手だ。このままでは私の地球破壊計画が達成出来ぬ!それもこれも、全てはあの裏切り者のエリックのせいだ!おのれエリック!生の親、いや、生みの親であるこの私に歯向かいおって!ひょっとこ仮面もろともあの世に送ってくれる!おい!レラ!レラは居るか⁉」
ワルダーがそう叫ぶと、
「はい、ここに」
と背後から、フリルとリボンがふんだんにあしらわれたゴスロリ風の黒ドレスを身にまとった、金髪でロングヘアーの少女が現れた。
歳は十代半ばといったところだろうか。
まだあどけなさの残るその少女は、見た目に似合わぬ怪しい笑みを浮かべている。
そんな彼女に対し、ワルダーは険しい顔つきで言った。
「残念な事に、黒タイツの平蔵とハッスルマッスルストロングファイヤーバーニングサンデーモーニングコーヒー春男がやられた。これで残る人造怪人はお前一人。そのお前に、小中守菜の誘拐を頼みたいのだが、出来るか?」
「お任せください。ワルダー様のご命令とあらば、例え胃の中腸の中」
「火と、水だ、レラ。まあいい、それよりも、あのエリックが作り出したひょっとこ仮面という輩。見た目はフザケているが、かなり手ごわい相手だ」
「ご心配には及びません。戦いとは腕力だけでなく、頭も使うもの。こんな事もあろうかと、小中守菜を誘拐する為の策は既にうってあります」
「それは頼もしい!やはりここ一番で頼れるのはお前だけだ!必ずや小中守菜をさらってくるのだぞ!」
「お任せくださいワルダー様」
「クァーックァックァックァ!」
「オーッホッホッホ!」