プロローグ
ある、激しい雨が降りしきる夜。
とある町外れにある小さな研究所の一室に、一人の男が居た。
歳はゆうに六十をこえているだろうか。
頭髪はすっかり白くなり、それとほぼ同じ色をした白衣を身にまとっている。
そして一枚の写真を覗きこみながら、何やら悪企みをするような笑みを浮かべていた。
その写真に写っているのは、一人の少女の姿だった。
紺色のセーラー服を着た、黒髪のロングヘアーの少女。
彼女は写真の中ではじけるような笑みを浮かべていて、その写真から、彼女が明るく活発な性格である事が、容易に想像出来る。
「くっくっく。まさか、こんな所に居たとはなぁ」
男は写真の少女を眺めながら、不敵に呟く。
「この娘さえ居れば、私の計画は全てうまくいくのだ!クァーックァックァックァ!」
高笑いをする男。
その姿はいかにも悪どく、まるで、これから世界征服でもしようとしている悪の科学者の様だ。
ぶっちゃけて言うと全くその通りなのだが、この男が次に登場するのはもう少し先になるので、ここではこれ以上の事は伏せておく。
そんな中男は、いつまでも高笑いを続けるのだった。
「クァーックァックァ!クァーックァックァ!」
外では雨が一層激しくなり、時折雷も、空に轟音を響かせていた。
ゴロゴロピシャーン!(雷が鳴る音)
そろそろみかーん!(そろそろみかんが欲しい時に言う言葉)
という訳で、始まり始まり。