一番恐ろしい感情とは?
この世界でもっとも恐ろしい感情とは何だろうか? と問いかければ人は何と答えるだろうか?
絶望? 悲しみ? 憎しみ? 怒り? 虚栄? 妬み?
―――などと大抵の人は負の感情を思い浮かべる人が多いだろう。それに対して私は否定的な意見はないが、本質的に恐ろしいは思えない。
何故なら、負の感情はどれも鍛錬すれば制御出来るからだ。制御できずに暴走すれば脅威としかならぬが、それは本人の資質による所が大きい。絶対的な恐怖とは少し違う。
私のような凡庸な人間は負の感情を抱いたとしても、すぐに忘れるようにしている。というよりも、負の感情に任せては身体に悪いなと、その憎い相手の為に嫌な気分になって体調を崩すのはバカバカしいなと思い、綺麗さっぱり忘れる事にしているのだ。
人はそれを「何を考えてるか分からん」とか「感情があるのか?」とか言われる事もあるが、この感覚は本人でなければわかるまい。
話が逸れてしまったが、一番恐ろしい…と云うよりも、私が制御出来なかった感情が一つある。それは…虚しさ。無気力感だ。
とにかく力が出ない。変り者の自分を理解してもらおうとする気力。何か精力的に仕事をしようとする気力。単純に趣味に没頭しようとする気力。誰かを愛そうとする気力。
全ての気力を失う時の恐怖、絶望感は恐ろしいはずなのに、不気味な程に無味無臭。何も感じる事が出来ない。
その地獄から抜け出す術があるかどうか、私には分からないが一つ簡単な小話をしようと思うので、ここに記す_
――――とある喫茶店にて。
「久しぶりにネコが飼いたい…」
「何を言っとるのいきなり?」
「もう飼い猫が死んでから数年経つし、そろそろまた癒されたいなと思ってさ」
「モフモフしたいの?」
「いや、モフモフはどうでもイイのよ。ただぬくもりを感じたいだけ。恋人相手でもそんなベタベタできないじゃないか? ネコなら出来るだろ」
「やめとけやめとけ、今のお前じゃ精力的に世話なんて出来ないだろ? その状態で飼ってもお前もそのネコも不幸になるだけだ…その顔…まるで老人みたいに老け込んでるぞ?」
「それは判ってるけどさ…嫌なんだよ。自分が無気力状態であると認めるのは…形だけでも精力的なフリをしたいのよ」
「精力的にね~。無気力じゃ生きた屍だものな。私からすれば無気力なのも悪くはないと思うがね…見える風景も違って新しい世界があるだろ?」
「そりゃ他人から見たら、面白いかも知れないが、当人には地獄よ?」
――――
無気力が地獄…とにかく時間を無駄にダラダラと過ごす事に対する焦りや、焦燥感だけは募り続ける。追いつけられているのに、どうすればイイか分からない。
誰かに相談しようにも、この無気力感だけは伝えにくい。実際になった者にしか分からないし、解決策を提示するのも困難。ただ、頑張れと言われてもがそれがツライ
――――
「マンガの主人公なんてさ、無気力状態でダウンした後に復活すると、バカみたいに吹っ切れてパワーアップしたりするだろ? 無気力ってのは一皮剝ける為の準備段階よ」
「マンガはな~。でも現実じゃそう簡単に無気力から脱しないから地獄なのよ?」
「そのマンガでは、どうやって復活していた?」
「どうってそりゃ…強い挫折を味わって、無気力状態になった後、さらに大切な物を失いそうになって、改めて大事な物を再認識して、それの為に頑張る…のかな?」
「パターンというか、王道だよね。つまりは大事な物を得るのが一番の近道?」
――――
マンガの王道にして定番。ではあるがバカに出来たモノでもなく、空しさ、無気力状態から回復するには大切なモノ…というのが一番のキーパーソンだったりする。
人間、自分の為にはそんなに努力しない生き物であるからだ。
――――
「でもなあ~、本当に虚しくなっていたら、大事なモノそのものを作る気力もないんじゃないか? 誰かを愛するという感覚そのものが鈍くなってる気がする」
「そうだな~だから虚しさでやる気のない人間がやるオススメの趣味が…人生相談だ」
「人生相談??? なんとまあ、いきなり凄い単語が飛んできたな」
「そうでもないぞ?無気力地獄を体感してるから分かるだろ? 誰よりも他人の痛みを理解できて、皆の相談事に対して助言する事が出来るようになってるはずだ」
「そりゃまあ…苦労は人並み以上にしてるからな」
――――
傷ついた人間の気持ちは、傷ついた人間にしか分からない。
なので人生相談やら、カウンセラーといった職業はわりと適性があったりする。
ただし注意点として、人の感情は移りやすく、鬱な相談事に心を持っていかれないように、達観とした価値観と、視点が必須。深入りしないように注意する必要がある
――――
「自分がどうしようもない所まで落ちてるから、他人をバカにしたりもしないし、どんな相談にも寄り添う事が出来る」
「そりゃまあ、誰かをバカに出来るほど、自分が出来の良い人間とは思っていないからな」
「だからいいんじゃないの? 出来の良い人間じゃないと思ってるから、皆気軽に相談してくるんだろ? 本当に困ってる人はわりと、立派すぎる人には相談しないものさ。物怖じしちゃうもの」
「立派でなければ相談を受けちゃいけない訳でもない…か。しかし、人生相談をしてどんなメリットがあるんだ?」
「誰かの役に立てる。それに相談者の中に自分の大事な人が見つける事が出来るかもしれないぞ? 親身になってる間に~波長の合う人が見つかる確率も高いぞ。似たような悩みを抱いてるのだからな」
――――
すごく打算的と言われればそうだが、決して涙を誘う話ではないと思う人が大多数だとは思うが~、これで泣くのは同じような悩みを抱いてるだけだろう 汗
――――
「今これを読んでる私と同じ無気力な人たちにも言いたいが、その無気力さを大事にしなさい。その時の経験、感覚を覚えていなさい。それは強くなるためのステップアップへと繋がるのだから、焦らずマイペースに、色々な人の相談事でも受けなされ」
「最後に質問。どうすればそんな相談者が来るようになるの?」
「私の場合はもう面倒で、マルチゲームでフレンド作って仲良くなって悩みを聞いていたね~」