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鬼斬忍法帖  作者: 海星
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制服

 和歌山の俺の実家のそばにフィリピンパブがあった。


 田舎のフィリピンパブだ、「ワタシハタチヨー」という女性が平気で40歳だったりする。


 働いている女性はビザ取得のために日本人と偽装結婚していると父親は言っていた。


 その後、父親がフィリピンパブで働いている女性と月五万円の契約で偽装結婚していると知る。


 俺の知らない間にフィリピン人の義理の母が出来ていたらしい。


 それは別に良い。


 俺は父親に何も期待していない。


 だが偽装結婚で手に入れた金銭をどうしたのか?


 俺の家族の家計は祖父の万引きでまかなわれているはずだ。


 父親は一円も家計に金を入れていない。


 金があるなら何で俺は修学旅行に行けないのか?


 俺はこの時までフィリピンパブに全く興味はなかったが、少しフィリピンパブに注目するようになる。


 そして俺はこんな田舎のフィリピンパブに行列が出来る日がある事を知る。


 その日というのが「スクールデイ」だそうだ。


 「デイ」が複数形なら「誠氏ね」と言いそうになる。


 「スクールデイ」とはフィリピンパブで働く女性が学校の制服風の服装をしているという。


 40歳の女性の制服姿など需要があるのか?


 死ぬほど需要があるのだ。


 それくらい男は制服姿の女が好きで飢えているのだ。


 それが40歳の女でも関係ない。


 女子高生モノのAVを見た事があるヤツはロリコンではない。


 男にとって制服姿の女が好きなのは普通なのだ。


 そして俺もまだ高校生になっていないにも関わらず、制服の女性が大好きだ。


 いや、大好きだったと言うべきか・・・







 まさか俺自身が制服を着るとは思っていなかった。


 学生服と言えば「トンボ学生服」や「カンコー学生服」だと思っていたが、オーダーメイドで作る学生服はデザイナー制作だった。


 意味がわからない。


 高校の制服なんてデザインは決まっている。


 デザイナーの出番なんて全くないはずだ。


 だがデザイナーに制服を作らせるだけで値段が数倍に跳ね上がる。


 「こんな金の無駄遣いがあるか」とは思うが金を出してもらう立場の俺は何も言えない。


 



 手足の長さやスリーサイズをメジャーで測定される。


 体のサイズピッタリの制服を作るなら、オーダーメイドの意味もあるかも知れない。


 でもオーダーメイドで体にピッタリの服を作るという事は太れないって事じゃないの?


 どのくらい食べれば太るのかはわからないけれど、昨日の夕飯を食べた感じではかなり燃費の良い体だとは感じた。


 女の子になったショックもあって食欲がなくなったのもあるだろうが、昨日の夕飯では持って来たカップヌードルが一個食べられずにお腹パンパンになった。


 逆に言うとあれだけ食べただけでもお腹が出る可能性もある。


 別にスタイルには気は使ってはいない。


 でも制服を着れなくなったとしても制服を買うだけのお金を作る事は難しいだろう。


 そう考えるとある程度、サイズに余裕があったほうが良い。


 そう思っている時に採寸しているデザイナーが遠慮しながらボソッと言った。


 「胸、盛りますか?」  


 デザイナーの言いたい事はわかっている。


 「貧乳だけど見栄を張って沢山パッドを入れますか?あんまり体にピッチリとさせるとあんまり見栄を張って胸にパッドは入れられないけど良いですか?」と言いたいのだ。


 別に見栄は張ろうとは思わない。


 でも胸のサイズが変わって制服を買い替えるのは嫌だ。


 本音を言うなら胸だけでなくて全体的に余裕を持たせて、三年間着れる制服を作るのが経済的だ。


 でも悠子先輩は体のサイズに合った制服を作って欲しいのだろう。


 「えーと・・・多少盛れるように作ってもらえますか?」俺は言った。


 「意外だったわ。


 あなたが胸の小ささを気にしているなんて」悠子さんが驚きながら言う。


 金持ちに貧乏人のけち臭さはどうせ理解できないだろう。


 俺は微妙に微笑むと返事の替わりとした。 


 胸の大きさなどはもちろん望んでいない。


 それどころか女の子になってしまったが胸が小さくて動きやすいのは不幸中の幸いだと俺は思っていた。






 気に入らない事が1つある。


 胸を盛るのは本人の意思だ。


 本人に盛る意思があるかどうかをデザイナーは確認するしかない。


 だがそれ以外の希望は俺には聞かない。


 「百地様、スカートの長さはもう少し短くしましょうか?」


 「百地様、ブレザーの丈は通常で良いでしょうか?」


 「百地様、シューズは制服に合わせて作りますか?」


 もう俺の制服を作っているのに、常に悠子さんとデザイナーが話している気がするのは気のせいか?


 そしてついにデザイナー達は越えてはいけない一線を越える。


 「百地様、彼女はネクタイよりリボンタイの方が可憐だと思うのですがネクタイとは別にリボンタイもご用意させてもらっても良いですか?」


 ついに本性をあらわしたな!


 リボンタイは制服と関係ないじゃないか!


 そりゃ悠子さんみたいな金持ちに色んな物を売りつけりゃ、金になるだろうよ。


 だけど何でもかんでも売りつけようとしてるんじゃねーぞ!


 見ましたか?悠子さん!


 「そうね、生徒会長権限でリボンタイを着用しても良いようにするわ。


 ネクタイも作るけど、リボンタイも作ってちょうだい。


 それ以外でも彼女ににあいそうなアクセサリーも思いつく限り作ってちょうだい」と悠子さんは言うと食い気味みに「かしこまりました、百地様」とデザイナー達は頭を下げた。

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