表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼斬忍法帖  作者: 海星
2/34

おにぎり

『あなたはおにぎりの海苔はパリパリ派?それともしっとり派?』


 これは何だ?というか巻物はかなり新しいのか?


 海苔パリパリのおにぎりってコンビニでおにぎりを売り出してから生まれた物で、どれだけ古く見積もっても昭和末期までしか遡れない気がする。


 「そうだな・・・どちらかと言うとしっとり派かな?


 というか、しっとりおにぎりの方が三角のパリパリ海苔のおにぎりより大きくて育ちざかりの高校生男子には向いてる気がする」


 「『しっとり派のあなたはしっとりとした女性になれるでしょう』って何だコレ?


 だいたいこういった性格判断っていくつかの質問に答えるもんじゃないの?


 それに質問が男女に分かれてるもんじゃないの?


 『しっとりした女性』って何だよ?


 女限定じゃねーか、出鱈目にもほどがあるだろ」


 ふと思う。


 パリパリ海苔のおにぎりを選んでいたら何と判定されていたのだろう?


 俺はパリパリ海苔を選んだ体で巻物を読んでみる事にした。


 「パリパリ海苔を選んだあなたは4へ」と巻物には書いてあった、アドベンチャーブックか。


 この巻物がけっこう最近書かれた疑惑がさらに深まった。


 そもそも俺が読めるという事が「古くない」証拠でもあるような・・・。


 情けない話ではあるが古文書などは俺は読めない自信がある。


 それにこの巻物、筆ペンで書かれてないか?


 間違えたところ、修正液で修正されてないか?


 この巻物の紙が貼り付けられている布、よく見ると化学繊維じゃねーか?


そんな事はどうでも良い。


 この巻物が新しいか古いかは本当にどうでも良い。


この巻物が本物の忍法帖で、これを読めば新しい忍法を身につけられるのであれば「巻物が新しいか古いか」などは些細な問題だ。


新しい忍法を身につければ「弱点:フローリングの部屋」とか言わなくても済む。


新しい忍法を覚えれば、オシャレなロフト付きのフローリングの部屋に引っ越せるんだ。


その部屋であれば女の子を連れ込める。


「彼女いない歴=年齢」に別れを告げ、童貞を捨てられるのだ。


「まるでお前が童貞なのは今まで住んでたところが和室だったから、みたいな言い方だな」とか言わないで欲しい。


「私がモテないのはお前らのせいだ」なんて言う人もいるし、余所にモテない原因があると思いたいじゃない?


「自分がモテないのは自分の顔と性格に難があるからだ」とは思いたくないじゃない?


責任転嫁したい年頃なんだ。




「パリパリ海苔を選んだあなたはパリパリ海苔みたいな女性になれるでしょう」


・・・なんだ、このテキトーな回答は。


「あなたはパリパリ海苔みたいな女性ですね」と言われても言われた人は喜んで良いのか、怒れば良いのか・・・それすらもわからないだろう。


「なんだ落書きか・・・」俺は肩を落とした。




小さい字で何かが書かれている。


「※双方は選ばないで下さい。


基本的に『鬼斬忍法帖』は女装の忍法です。


『鬼斬忍法帖』は簡単に言うと女性ホルモンを暴走させて女性っぽくなる忍法です。


ですが選択肢を双方とも選んでしまった場合、暴走する女性ホルモンの量は許容範囲を超えます。


そうした場合、そういったケースは今までありませんが(そんなバカがいるとは思えませんがw)、理屈上双方を選んだ方は忍法が発動している間、本物の女性になってしまうでしょう」


その後には選択肢がついていた、だからアドベンチャーブックか!


・「聞いてないよ!」と文句を言う。5へ


・あきらめる。8へ


つーか何で選択肢の数字がみんな10未満なんだよ!


実はそんなに選択肢ないだろ!


つーか「w」って何だよ!巻物の中で草生やしてるんじゃねーぞ!


俺は「『聞いてないよ』と文句を言う」を選んだ。


だが選んだ先にはこう書かれていた。


「言ってねーもん」


「何なんだ、これ・・・」俺は怒って良いのか、笑って良いのかわからない微妙な気分になった。


まだこの時俺は「巻物はイタズラの落書きだ」と思っていた。


桑名と言えば伊賀も近いし忍者も多いのかも知れないし、この手の忍者向けのイタズラが多いのかも知れない。


桑名が忍者が多い街、という事が世に知られていない理由は「忍者は忍ぶ者」だからだろう。


全く忍ばず、街道脇に『ようこそ忍者の街、桑名へ!』なんて看板が立って全く忍んでない訳がない。


などと考えていると次の瞬間、怪しいピンク色の煙が立ち込めた。


俺は忍者としての直感で「これは忍法の発動だ」と理解した。


俺は「まさか」と思い股間をまさぐる。


「ない・・・股間のあるべき場所にあるべき物がない・・・」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ