番外編 忍者屋敷
某所某日
「晶さんいるぅ~?」
「はっ、お嬢様」
「学校では『お嬢様』じゃなくて『藤林先生』って呼びなさいって言ってるでしょ~。
まあ良いわ。
百地さんがね、あなたが住んでた忍者屋敷に住み始めたらしいわよ」
「・・・そうですか・・・」
「私も責任を感じてるのよ~。
あなたの住んでいた家を忍者屋敷として一般公開するためにあなたをあの忍者屋敷へ引っ越させたのは私だからね~。
まさかあなたが床の間に隠されていた忍法帖の巻物を読んで女の子になるとはねぇ~」
「・・・・・」
「私も責任を感じてあなたを側近として雇ったという訳よ~。
私があなたを引っ越しさせなかったら、あなたが女の子になる事もなかったものね~
あの忍者屋敷はあなたを私の側近として私の邸宅に住ませる事で空き家になったの。
でも不思議な事もあるものね~。
今年入学してあそこに住む予定だった『石川早』って男の子が急遽入学取り消しになって『石川早』って女の子の入学が百地さんのゴリ押しで決まったのよ~。
しかも今その女の子は百地さんと一緒にあなたが住んでいたあの忍者屋敷に住んでいるらしいわ~。
不思議な偶然もあるものね~。
・・・私、子供の頃から他人の持っているおもちゃが欲しくなっちゃったのよ~。
晶~?
二度は言わないわ。
命令よ。
『鬼斬忍法帖』を読んで女の子になった『石川早』を私の仲間になさい。
晶は男に戻りたいんでしょ~?
あなたが男に戻るための研究には莫大な資金がかかるのよね~?
だから藤林家の資金提供がどうしても必要なのよね~?
・・・失敗は許されないわよ~」
「・・・御意」
高山晶は闇に消える瞬間、誰にも聞こえないようにそっと呟いた。
「この悪魔め」




