とある少女と少年の逃避行
はあはあと息を乱しながら黄色い髪の少年と桃色の髪の少女が街道をゆく。
ウエストタウンの外れ、まだ整地のされてない場所。
覇王戦役が終わっても魔物達の勢力は衰えずこの場所には誰も近寄らない。
「もうすぐだよ、ミンティア、もう少しであの人に会える」
「そうね、お母様達もここまでくれば…」
どこか高貴な雰囲気の少女に少し荒くれもののような少年、どちらも16歳だろうか、少年のほうは護身用の剣を持っている。
「…鈍らじゃこころもとかったかな」
少女をかばうように立ち、目の前の巨大な熊を見る
「ランクSSの月熊か、やばいね」
少年は冷や汗をかきながら悪態をつく。
「うん?」
カイトは散らかった室内を片付けながら反応する。
「やりー、ちょっといってくるわ」
「「あ!!兄ちゃん!!」」
妹二人の声を無視しながらカイトは姿を消した。
「…相変わらずっすね、兄貴」
「うるせえよ、ケンドリック、また厄介な事もってきやがって」
カイトはボロボロになった少年ケンドリックを見ながらはあとため息をつき月熊を一撃で粉砕する。
「戦闘描写もなしにやられる熊かわいそ」
「メタ発言反対っす」
ケンドリックの言葉に肩をすくめるカイト
ケンドリックとカイトの関係というのはいわゆる師匠と弟子の関係に近い、カイトは元々無手の技を極めた人間ではあるが、武は全に通じるという人間であらゆる武術や武器を修めている、ますます魔法使いとしては異様な人間なのだが、それはそれでカイトだからからこそとしか言えない。
ケンドリックはとあるスラム街の出身でカイトが世界を旅していたときに出会ったストリートチルドレンの一人だ、縁があり、剣術を教えた。
後ろの少女を見るとカイトは煙草に火をつける。
「四大マフィアの女帝ミルラージュの娘と逃避行とはなかなか豪気だな」
カイトはかかっと笑う。
「それで俺にどうしてほしい?」
カイトは面白そうに笑う。
カイトが王にならない理由、それは楽しみが減るからだ、何でも屋という事をしてるのはあらゆるトラブルを呼び込む事ができるから。
基本的に争いごとというか自分が楽しく思える事が好きなのだ。王になれば統治の必要性もあり民を守る必要もでてくる。
彼は気まぐれでありアマノジャク、自分の気に入った事しかやらない。