ボローニャの森の山賊
王子一行の二頭立ての馬車は、ボローニャの森入り口にいた
わずかのお供(護衛等6名)で、馬車の前後に見張りを配置した最低限のものだ
更に、いつもの月1度の予定より1週間も早い期日だった
早朝に城を立つ前に、既に有事専用の伝令鳩を、時間を空けて複数飛ばしてあった
そのような事は普段は決してやらないのだ
伝令鳩の到達成功率は極めて低い
猛禽類に襲われたり、罠や銃弓矢などに狙われる
悪天候などで方向を見失うなど
最悪の場合、全部駄目になる事も少なく無かったからだ
しかし、それだけ緊急性が高いとの判断でもあった
ボローニャの森はわずか標高300メートル程度の高さこそ無い丘だが、長さが10数キロにも連なる厄介なもので
全体的に樹木が繁り森を形づくっていた
ところどころに切り崩したり、自然に谷戸になってる部分もあったが
昼なお暗い森を通り抜けるのにはもう1つ厄介な存在があった
ボローニャの森を巣窟とする、浪人傭兵崩れの群れ、山賊ジマーニオ一味である
都から辺境の国境の町へ抜けるのに、ボローニャの森を迂回すると半日程余計に掛かるのが普通である
その為、経済効果を考えれば早急な幹線整備が急務であった
いったいどうして、国はそのような不逞の輩らを退治しないのか?
噂では王室と対立する実力者の某伯爵の後ろ楯が付いているらしいとの事だ
山賊らを一掃する為、討伐隊が何度か出動したが、その際には必ず情報が漏れて、隠れ家などは蛻の殻だったりした
隠れ家等を焼いたりしても、再び舞い戻り別の場所へ隠れ家を作るいたちごっこなのだ
その為、このボローニャの森付近は夜間は出歩き禁止との令が出されていた
王子ら一行がボローニャの森の入り口に着いたのは、陽が落ちかけた夕刻間近だった
予め伝令鳩でボローニャの森到着時刻を伝えてあったので、切通の細道を反対側から王室の警護の一団が抜けて来て落ち合う事になっていたのだ
未だ書きかけですが随時追加修整します
m(_ _)m