表彰と訓練
体が揺さぶられる。普段とは異なる時間に起床する。
「ヒルデさん起きてください。朝の七時ですよ」
「普段よりも一時間32秒早い。もう一時間寝ても問題は発生しない」
机の上に置いてある腕時計に目をやり、時間を把握する。そして体をひねり寝ようとした瞬間に布団を取られ、窓とカーテンを開けられた。
眩しい日光がルナの髪に触れると成形されたダイアモンドが光を乱反射をするかの如く輝いた。その彼女の表情はとても美しかった。
「それに、朝食をもう作っちゃたからね。冷める前に早く食べましょ」
「そうか。ありがとうな」
「えへへ、それほどでもありませんよ」
二人で朝食を食べ、それぞれの行動を行う。ヒルデは時間が余り過ぎたので新聞やテレビを見ている。ルナは後片づけと清掃を行う。すべてが平和であった。
ヒルデは食卓の上にお金を置くと出勤の準備を始めた。ルナはシャワーを浴びていたのでヒルデはお金の上に紙を置き、基地に向かった。紙には〝好きなように使え‴と書かれていた。
普段より早く出勤するので、見る光景も異なるので新鮮だった。
基地に到着し、自身の装備を点検し、射撃訓練を開始する。スペイン内戦に行っている間に射撃訓練場が改良され、的が動くようになり、偏差射撃の訓練が可能となった。
それでも、ヒルデの命中精度は変わらなかった。そのうち、隊員も集まり以前と同じような光景になった。隊長も訓練場に到着し点呼が始まる。
「全員いるな。ヒルデは点呼終了後指令室に向かえ。今日の訓練はランニング20キロだ。その後、街の清掃活動を行う。以上だ、では諸君走るぞ」
ヒルデ以外は全員街へと走り始めた。そして、ヒルデは指令室へと向かう。扉をノックし階級と名前をいい言い入室する。指令室内には美しい総統閣下とその付き添いがいた。
「君の活躍はフランコ将軍より聞いている。そして、その胸についている勲章がフランコ将軍が報告しなくても君の活躍が伺える。私たちとしてもかなり鼻が高い。君に一級騎士勲章の授与に伴い今後の活躍を祈り二階級特進を授ける。今日より君は大尉となる」
「ありがたきお言葉です」
総統閣下から一級騎士勲章を授かり、襟元に取りつける階級章を渡される。
「ヒルデ大尉君には我々の直属の部隊の隊長として以後働いてもらう。明日から出勤場所は地下壕となる。既に隊員も集めてある。別れは今日中に済ませておくように。それと、武器は自己管理となる。悪用はするなよ」
「了解です」
ヒルデは退出すると20キロのランニングを開始した。途中で自身の部隊と合流し、後の清掃活動も共に行った。
「みんな、聞いてくれ。明日ヒルデは総統直属の部隊の隊長として転属する。今日は俺とヒルデの奢りで宴だ!」
ヒルデだけが唖然として、他は騒いで宴を喜んだ。今日はもう解散となり、6時に宴会場に集合となった。
自宅に帰る頃には時計の短い針は五時を指していた。家の中ではルナがソファで寝ていた。近くにより、顔にかかっていた髪を退けると幼い顔が映り込む。ヒルデが若干微笑んでいるとルナが目を覚ました。
「ん、ヒルデさんお帰りなさい。夕飯の支度をするのでちょっと待っててください」
「その必要はない。今日は俺の昇級祝いとして俺と隊長の奢りで宴が開かれる。一緒に行くぞルナ」
「はい!」
ヒルデは荷物を全て置き、財布だけ携えて身なりを少し小奇麗にするだけで準備を終わらせた。ルナは今日買ったと思われる衣装選びに多少の時間を掛けたがそれでも、直ぐに出る準備は終わった。
粛清中