第8話 アジトを探して
今、色々と書き方を試して自分のベストを探しているので、これからもコロコロと変わっていくと思います。
ですが、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
「オズ、この道ってどっち?」
「多分、こっちだな」
枝分かれした道を、俺とアウラは歩いていた。
それにしても、アウラが地図を持ってたとは思ってなかった。
あの斧男のロケットに大事そうに折りたたんで入ってたって事は……まぁ、そういう事だね。
そのお陰で俺も助かったし、アウラが死体探ったのは気に留める事でも無いからいいとして、野蛮人が几帳面って、ギャップが凄い。
しかも、どんだけアジトまでの道のり複雑なんだよ……。
そうして思う。
何度も、仲間が迷って魔物に食われてたりしてたんだろうな。
「って、オズ! 敵、敵!」
「え、マジ? ……うっわ、黒光りの虫かい」
と言いつつ、塵に変える。紅い稲妻、怖い。
だって、フォ〇スライトニングよろしく伸びるんだもん。
でもって、後には何も残らね。
話は変わるが、孤児院は燃え落ちたらしく、俺ら以外の生存者はいなかったらしい。
俺の中では、院長辺りが、真っ先に逃げるイメージがあったんだけど……。案の定、その通りだった。
一人で逃げようとした所を、斧で真っ二つにされていた。
それ以外は、残念ながら全員焼死。
だが、俺には助ける義理も無いし、アウラも同じく、気に病んだ様子は無かった。
と、その時。
「ね……ねぇ、ここって……?」
「明らかにアジトじゃないね、逃げよう」
洞窟の奥から漂う悪臭。カサカサという嫌悪感を感じる音。
Gだ。間違いない、さっきの比じゃないほど多い。
虫嫌いのアウラは、大丈夫そ……?
「……キュウ」
うん、そうなるわな。それでも笑顔の俺、怖い。
そんでもって、自分で効果音付けるやつ、初めて見た。
そんな風に倒れたアウラを横目に、掌を前に向ける。
すぐに紅い稲妻が迸り、爆発を引き起こした。
未だに、稲妻が爆発する原理が分からんが、洞窟が崩落し、Gは餓死する以外道は無くなったから良しとしよう。
「オ……オズゥ……」
うつ伏せの状態で、俺の裾を掴むアウラ。
顔面蒼白でかなり震えている。
俺、かなり性格変わったな。
「もう、出てこれないから大丈夫だよ」
俺は、笑顔で答える。多分、笑顔だよな?
出てこれないだけで、死にはしないんだけど。
「ホント……」
「うん、本当」
ごめんね、死にはしないんだ。
と思いつつ、時限爆弾だけは設置させて貰ったけど。これで、完全に死滅するかは怪しい所だった。
「さてと……戻ろうか、大丈夫? 立てる?」
「も、もちろんよ!」
と言って、アウラは立ち上がった。
「いや、大丈夫そうに見えないんだけど……」
めっちゃ脚震えてるし。
「仕方ないでしょ!」
これが世に聞くツンデレって奴なのか。
クラスメイトが、可愛い可愛いって言ってたのも頷けるわ。
と思って、アウラを抱っこした。
こういう時、抱っこすると大抵殴られるらしいんだけどね。
「……!?」
内の姫さんはそうはならないみたいです。
赤い顔のまま、恥ずかしそうにしているだけなんです。
「……これも、アレのせいなのかな……」
血を見ても平気だし、Gを見ても平気だし、羞恥心すら感じないし。
どれも、前世の俺には無かったわ。超苦手だったわ。
「まぁいいや、今度は逆の道に進んでみよう?」
と、言うとアウラが僅かに頷いた。
……可愛い。
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ゴキブリに遭遇して。
「こ、怖くないわ!!」
健気だなぁ。
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ゾンビに遭遇して。
「かかってきなさい!」
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黒光りのカサカサに遭遇して……。
「……ヒ!」
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高所から飛び降りて。
「キャァァァアアアアアア!」
ちょっとアウラさん? ひょっとして、楽しんでません?
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G、以下略。
「」
あ、気絶した。
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生き残りの盗賊と遭遇して。
「死になさい!」
「んだとゴラ゛ァァァァアアアアアアアアアッ!!」
「感情豊かだなー」
と、なんだかんやあって、ようやく目的の場所に辿り着いた。
姫さま抱っこされたアウラを降ろし、洞窟を覗き見る。
そこで気づいた。
あれ? アウラどこいった?
と、後ろを振り向くと、アウラが抱っこして欲しそうな目で、こちらを見ていた。
「今度な」
「い、要らないわよ!」
可愛い。
「で、ここで本当にあってるの?」
「もちろん」
「オズがそういうなら、そうなのね!」
納得はっや!! まぁ、あってるんだけども。
だって、例の盗賊の生き残りを尋問したから。アウラ抜きで。
何でも、俺が気づかないうちに逃げ出したらしく、森の中を走ってる途中に『アニキのかたき!』って言って襲いかかってきた。
無視すれば良かったものを。結果的に俺が助かったから、良いんだけど。
でも、嘘をつかれる可能性もあったと思う。
けれど、その可能性は潰しておいたから、もし嘘付いたらどうなるかを長々と話して、真実だけを言わせたから、大丈夫だ。
「で、ここからは気をつけていこう」
「分かったわ!」
「……多分、今のでバレたぞ」
足音が近づいて来る。
やっぱりバレたようだ。
「おい、テメェら……どっからーー」
と、ガリガリの男が姿を現し、言い終わる前に、ポトリと首が落ちた。
アウラだ。アウラが、刀を振ったのだ。
そして、ふぅと息を吐く。凄い様になっていた。
本人は、刀の使い道は体が覚えていると言っていた。
これが、適性Aの実力らしい、痺れます。
そして、両手に持つ2本の刀、名をムラマサとマサムネ。アウラ命名だ。
見た目は、青く透き通った水晶の刀。
使い手が凄くて、刀も凄くて、センスも凄い。
もう言葉が出ねぇや。
それで、この刀をどこで手に入れたと言うと。
単刀直入に言う。宝箱に入ってた。今は亡き、金ピカに光り輝く宝箱に。
これは、俺がもしかしたらそれが魔物かもと思ってやったことなんだけど、宝箱はとても硬く、盗賊の短刀ぐらいじゃ傷付けられなかった。
なのに、アウラはそんな代物を一振りで真っ二つにしたんだ。たった一振りで。……怖。
それ程、刀が硬いって事でもあるんだけどな。
「大丈夫よ!」
と、アウラが胸を張る。
「うん、確かにそうだったな」
そう言って、洞窟の奥を進んでいく。
さっきから思うんだ、アウラって8歳だよ。
かなり精神図太くね?
「だ、誰だ!?」
途中でそんな叫び声が聞こえる。
すぐにアウラが刀に手をかけた。
奥は暗闇だ。いつ襲いかかってくるか、分からない。
けれど、聞こえてきたのは幼い声。そのイントネーションには、聞き覚えがあった。
構わず声のした洞穴の奥に進んでいく。
その間俺は、まさかな、と思いつつ歩いていた。