はじまり
俺は幼い頃から虚弱だった。
病弱ではない。
体も人並みだし、運動だって人並みにできてる。
ただ、メンタルが弱すぎて、周りの環境が変わると大抵、体調を崩すし、人前に出て、人に注目されたら体調崩す。
なにかと環境の変化についていけない俺は、度々起きる体調不良という保健室通い。
勿論、頭脳も人並みだ。
ギリギリ馬鹿なんかじゃない。
「虎太郎はGW明けから、この学校に通うんだ」
と、父親に言われて、両親たちなりの苦渋の決断だったんだと理解ができた。
目の前に差し出されたのは、自然に囲まれた全寮制の高校のパンプレットだった。
「虎太郎を言葉の通じない外国へ連れていくのもな…言葉…環境の変化はきついだろ?」
父は海外赴任が決まっていて、母もついていくため、俺をどうするのか…と数週間悩まれていた。
「うん。まぁ…環境の変化だけのほうがありがたいし………でも、なんか高級そうな敷居の高いように見えるんだけど」
そうなのだ。
なんか、自然に囲まれているとはいえ、自然の木造建築!というより、ひっそりと建てられたお城みたいな…
「あぁ…ご良家が多いらしいが、特待生制度もある私立みたいところだ。
それに、この件は御子柴さんからの紹介でな、宗一君も通っているそうだ。
なーに。お前の話を聞いて快く引き受けくれたらしい。少しは心強くなっただろう?」
「うん。ありがとう。俺がんばる」
この時、恵まれた優しさに感謝し、新たな決意をしていた俺は、まさか転校と同時に起きる嵐の数々を予想などしていなかった。
GW明けまで、あと数日。