一話
不定期でこちらも更新していく予定。
僕が唐揚げの精霊を召喚したことは瞬く間に学園内に広がった。いや、もしかしたら実家にまでこの事実が知れ渡っているかもしれない。
エリート家系であり、僕もその血を引くもの、期待されて送り出されただけに、何を言われるかわからないので、胃がきゅーっと痛む。
最悪勘当もありうるだろう。
というわけで、精霊召喚の儀の翌日である。
僕が教室に着くと、一斉にざわついていた教室が静まった。
そりゃそーだ。今までやれ、エリートだやれ天才だともてはやされていた人間がいざ、精霊を召喚してみたら、唐揚げの精霊。
しかも、唐揚げの精霊なのに名前はアリシア。
意味がわからない。客観的に見て、こいつやばい。
主観的に見ても、僕がやばいことは明白であった。
これで入学早々ぼっち確定演出である。期待と不安に胸を膨らませ、これから一緒に勉学に励み、たまに訓練を積んでいく、クラスを氷つかせてしまうような存在に僕はなってしまったのだ。
悲しい事実を胸にしまい込み、僕は下を向いて自分の席を目指す。
「うわっ」
歩いていると何かが急に僕の足元に飛び出てきて、躓いてしまった。
どうやら僕は足をかけられたらしい。無様に転げると、なんだかコソコソと聞きたくない言葉が聞こえてきてしまった。
「おっおい!いいのかよ。そいつの"家"」
「いいんだよ!どーせ退学だし、こいつの実家もこんなやつ家に置いとけないだろ」
どうやら僕の前に足を出したのはこいつらしい。
名前はジャン・ハルトマン。最近勢力を伸ばしてきた貴族の家の長男だ。
ちなみに彼は炎系の精霊と契約したらしい。契約精霊はその人を表すとはよく言ったものである。
すると、僕はからあげで表せるのだが、意味がわからなくなる。もしかしたら、関係ないのかもしれない。
だが、今はどうでもいい。こいつは上位貴族である僕を転ばせた。
本当なら許せないところだが、今の僕には威厳もなければそもそも家を勘当されるかもしれない身。
何も言い返すことは出来ず、ひと睨みして起き上がり、自分の席に着席する。
「ほらな!言ったろ?おもしれー」
「こっ声がでかいよ!ジャン君。」
また、コソコソ話になってないコソコソ話が聞こえてくる。
ジャンに子分のように従っているのはレトルト。平民の出だが実家が商業で成功し、今はそこそこな資産を持っているため、息子である彼もこの学園に入学できている。
所謂2人は成り上がりコンビ。でかい顔をしているが、彼らをよく思っていない生徒も多いようで、静まったクラスが、ジャンに対する牽制の目線でピリピリし始める。
「おー!力を持った貴族様は怖い怖い」
と、さらに余計な一言をジャンは残し、レトルトに強制的にクラスの外に連れ出された。
ひと騒動が済み、ポツポツと会話も増え始めたが、僕の周りからは人が避け、陸の孤島と化してしまった。
こんなんで僕はやっていけるのだろうか...




