表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/20

年の差



「本気か?」


 ついに海斗の目から涙があふれて、伊吹がはっとして押し黙った。


「なんで泣いてんだ?」


 どうしたら、16歳の君を解放してあげられるんだろう…。


 海斗はぼんやりと考えた。

 彼を傷つけず、しかし、自由に羽ばたいてもらうにはどんな言葉をかければいいんだろう。

 海斗には分からなかった。

 ただ、安易にこの手を取っちゃいけないのは分かっていた。

 そして、繰り返すように、ただ彼を突き離しちゃいけないのだ。

 海斗は、ぐいっと頬をこすった。白い頬が赤くなる。


「伊吹」


 海斗は、伊吹の両手を握りしめた。

 伊吹の手がびくりと震えたのが分かった。


「僕は伊吹のことすごく大切にしている。死ぬまで一緒にいたいって思っているくらい、すごく大切なんだ」


 伊吹がほっと肩を下ろして、うん、と頷いた。


「だったら――」


 海斗は、わざと言葉を遮った。


「でも、それは恋愛とは違うんだよ。僕とキスしたりそういう意味じゃないんだ。気持ちいいから僕と付き合うではないんだ」


 伊吹はむっとした顔をする。


「よく考えて、僕は女の子じゃない。一緒にいて気が楽かもしれないけど、それと恋愛は別なんだ」


 伊吹の顔はむすっとしたまま、眉をひそめている。


「意味がわかんねえ」

「僕は、ずっと伊吹と一緒にいたい。けど、恋愛じゃなくて、今まで通りでいいんだ。だから、伊吹は、好きな女の子と付き合っていいんだよ」


 伊吹は納得のいかない顔で、海斗を見つめていた。


「お前は俺が好きじゃないのか?」

「好きだよ」

「そうじゃなくて、お前は、恋愛の気持ちで俺が好きじゃないのか?」


 伊吹が強く言い切る。

 海斗は、息を呑んだ。すぐに答えられない。


「僕は…伊吹のことが好きだ。大好きだよ。ただ、それだけだ」

「恋愛じゃないってことだな」


 伊吹の顔が怖い。

 もしかしたら、ここで見放されるのかもしれない。

 海斗はそれ以上何も言わなかった。

 伊吹の手が離れていく。


「分かった」


 冷たい声だった。

 海斗は大きく息を吐いた。

 それ以上言葉は見つからない。心が空っぽになった気がした。

 力も入らず茫然としていると、突然、伊吹がその場の空気を払拭するように、よしっと大きな声を出した。

 海斗はぎょっとして伊吹を見た。


「海斗、俺が高校生だからって甘く見ているみたいだけど、16歳だってそれなりにいろいろ考えているんだぜ」


 と、わけのわからないことを言いだした。


「は?」


 海斗が目をぱちくりさせる。


「時々、家に帰って来いよ。後、俺もこっちに遊びに来たいからさ」

「いいけど…、来るときは連絡してね」


 海斗が戸惑って答えると、伊吹が苦笑した。


「ちゃんと連絡するよ」


 そう言って、伊吹はごろりとふとんに横になった。


「ああ、疲れた」


 海斗がすぐに伊吹の頭を優しく撫でた。


「お前さ、俺のこと幼稚園児か何かと間違えてないか?」


 伊吹の言葉に、海斗は慌てて手を引っ込めた。


「気持ちいいからいいけどさ、勘違いするぜ」

「ごめん、僕が全部悪かったんだね」


 海斗がしょんぼりすると、伊吹がくすっと笑った。


「俺だけにしてくれるなら、いいけどね」

「気をつけるよ」


 海斗の言葉を聞いて、伊吹はごろりと背中を向けた。


「伊吹?」

「もう、寝るよ。明日朝一番に家に帰る」

「うん…」


 海斗の声を聞きながら、伊吹はじっと息を殺していた。

 背中越しに海斗が横になったのが分かった。

 伊吹は、くるりと振り向いて抱きしめたいのをこらえながら、壁を睨み続けた。




ここで、一度完結いたします。すみません、完結するつもりだったのですが、うまくいきませんでした。続きは、再度プロットを練り直して完結に向かって頑張ります。

ここまで、読んで下さりまして、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ