レポート81
2015/4/11 加筆修正
よし、言ってやったぞ。
言ったぞ、俺!
反応は……。
「…………」
無言で固まっちゃってる。
どうしよう、これどうしよう。
「あ、あの……ほ、本当の本当ですか」
「え? は、はい……本当です。嘘なんかつかない!」
駄目ってことなのかなこれ。
やっぱり俺の勘違いだったのかな。
いや勘違いだったとしても俺の気持ちは本当だし悔いはない。
「す、すいません。返事少し待ってください!」
「あ、ちょっと…………」
慌てるようにそう言って走って行ってしまった。
「ということがあったんだけど、蘭これはどういうことだと思う」
「兄が自分の同級生に告白した話を聞かされる妹の気持ちってどうだと思うかな」
ですよね、ごめんなさい。
「まぁ……すぐふられなかったし大丈夫じゃない?」
「恋ってこんなに待つことに体力を使うことだったんだね」
「初恋のくせに何をいってるの……」
俺ってどんだけ今まで無関心だったんだろう。
考えるのを中断したかったのもあって俺はそのまま寝た。
「おはよう」
「どうした、大将……テンションすごい落ちてるな」
いつもハイテンションな夕二がこの反応するとは俺はどれだけ普段元気なんだろう。
「夕二は恋をしたことがあるか」
「ん? まあ中学の頃にあるな。ふられたけど」
「うぐっ」
「どうした大将!?」
ふられてはいない、まだ俺はふられてはいないんだ。
放課後まで俺は悶々としながら過ごした。
今日に結果が出るとは限らないのになぜここまで考えてたんだろう。
それに気づいたのは今日の最後の授業が終わった時だった。
いつもどおり帰路について歩く。
俺の家に向かう道は途中からほとんど同じ学校の生徒はいなくなる。
理由はわからないけどな。
「はぁ……なんか疲れたな。一旦忘れよう」
気持ちを切り替えて見る。
そうして前を見たら見覚えのある子がいた。
「愛姫ちゃん……?」
目が合うとこっちへと小走りでやってくる。
俺はどう対応すればいいんだろう。
ていうか
「なんでこんな所にい――」
言葉を言い終わる前に口が塞がれる。
ほんの一瞬だがキスの感覚が体に響き渡った。
「え……?」
「こ、これが答えです」
そう言って愛姫ちゃんは昨日と同じように走り去ってしまった。
俺はその場に立ち尽くすしかなかった。
◆
「お兄ちゃん、それご飯じゃなくてリモコン」
俺は家に戻って夕飯時になっても頭の整理がつかずにいた。
箸でリモコンを掴んでしまうほどに。
夕飯を食べ終えたあとに部屋でベットに寝転がっていると携帯が震える。
確認すると愛姫ちゃんからのメールだった。
――夜分遅くにすみません。
こんばんは、今日は突然あんなことをしてしまいすみません。
謝ってばかりになってしまいました。
でも自分で言葉にして返事しようとしたら緊張してしまって先輩を目の前にしたら声が出ませんでした。
だからあんなことに。
でも文でも文字でもしっかりと伝えたいと思います。
真弓先輩、私も先輩が好きです。
ずっとまえから大好きです。
本当に、私で良いならよろしくお願いします。――
「……はぁ」
読み終わったあとため息がでた。
すごい嬉しいし叫びたいぐらいのはずなのに、でたのはため息だけだった。
でもそのため息はとても心地よいものだった。




